学校現場は精神科医の助けを求めている
と題して、あるサイトが先日(6月4~6日)行われた第111回日本精神神経学会学術総会のシンポジウムについて紹介している。
シンポジウムのタイトルは「学校現場と精神科医の連携向上に向けて:学校が精神科医に求めること,学校に必要とされる精神科医とは?」。
正直、ここまで来たのかという驚きを隠せない。
学校現場は精神科医の助けを求めている……!?!?!?
このサイトはログインをしないと全文を読めないので、大まかな内容をここでお伝えする。以下部分的に引用。
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精神疾患の多くは半数以上の例が学齢期に初発することが近年の疫学研究から明らかにされている。思春期に問題となる疾患の多くが精神疾患であることも知られている。子供たちが日常の大半を過ごすのが学校であり,学校現場がさまざまな精神保健問題を抱えていることは想像に難くない。一方,精神保健・医療の専門家である精神科医と学校の連携はほとんどない上に,子供の精神保健問題や治療に当たる精神科医は非常に少ないのが現状だ。
(感想:これは、この記事のリード部分だが、なんともへたくそな文章である。)
学校現場からの声
養護教諭は精神科医とつながりたい!
初めに登壇した女子栄養大学の大沼久美子氏は,養護教諭を養成する立場から,学校保健活動の中核を担う現職養護教諭たちの声を届けた。
同氏が現職養護教諭に「学校が精神科医に求めること」を尋ねたところ,精神科医療につなぐ基準やポイント,精神的な救急処置対応に関するアドバイス,連携の取り方,受診先の判断,保護者への対応に関する情報提供を求める声が寄せられた。また,学校医として精神科医を配置して定期的に相談できる仕組みが欲しい,集団生活の場で規律的な生活を送る学校現場の状況を知ってもらいたいなど,学校と精神科医の間での情報共有の機会を求めていた。
同氏は「心の危機管理は日常管理が重要。日常的につながっていればこそ,より良い対応が可能になる」と考える。学校保健委員会への招聘や研修会への参加,講師の依頼など,精神科医とつながる機会を積極的に設けていきたいという。「養護教諭は精神科の医師とお近づきになりたい。どうぞ学校に来てください。先生方のクリニックを訪問させてください」と同氏は呼びかけた。
今すぐに,精神科医に相談できたら…
次に登壇した東京都足立区立六木小学校の東真理子氏は,現職の養護教諭の立場から,学校現場が抱える苦悩を語った。
集団になじめない,すぐにキレる,不登校,ささいな切っかけで生じる暴力,いじめ,学級崩壊。その背景に,精神疾患の可能性や保護者の精神疾患の影響をうかがわせるケースが少なくないという。「今すぐに,精神科医に相談できたら」と東氏は願う。同氏が「今」を強調する理由は,保護者を説得してなんとか受診につなげても「子供は診ない」と拒絶されることや,診てもらえても3~6カ月待ちを強いられることが非常に多いためだ。
中略
同氏は,学校現場の1日を紹介した。連絡なしで登校しない子供への対応,発熱やけがなど身体的不調への対応,保護者からの相談,強迫性障害や自閉症スペクトラムなどを抱えた子供たちに休息の場を提供し,教室から突然姿を消す子を探し回ることや,時に窓から飛び降りようとする子をなだめることもあるという。
「いろんな子供がいろんな場面でいろんな問題行動を起こす」と同氏は言う。個別指導の比重が増しており,担任教諭単独ではなく組織で対応しているものの限界がある。「適切な対応の指針が欲しい。精神科医の助力を切に願っている」と語った。
スーパーバイザーとして学校精神保健に参画を
東京都品川区立東玉川小学校長の新村出氏は,精神科医と連携した学校メンタルヘルスプログラムの実践状況などを紹介し,学校精神保健活動への精神科医の積極的な参画を求めた。
学校メンタルヘルスプログラムは,佐々木氏(東京大学大学院教育学研究科教授・佐々木司)らのグループが開発した授業を活用し,高学年児童を対象に実施されている。心の病気を発症,クリニックを受診して立ち直り,成長して精神科医になるというアニメーションを見せ,子供たちに問題の所在と解決方法を考えさせる内容だ。「心の不調は誰にでも起こること,起こりにくくするためには,生活習慣を整えることや信頼できる誰かに相談することを教えている」という。その内容を保護者や地域住民に紹介したところ,「自らの心の不調に悩んでいた保護者が“これから受診してきます”と校長室を訪れた」という予想外の効果もあった。
同校は,世田谷区が設置する思春期青年期精神保健対策推進協議会の下で事例検討会を実施しているが,精神科医の介入によって不登校を克服したケースもあるという。「専門家の助言の効力は,おそらく想像を超えるものがある」と同氏は言う。
小学校は,小学生だけが集まる場ではない。保護者や地域住民,教職員などさまざまな人が関わっており,それぞれがさまざまな心の不調を抱えている。同氏は「学校は人間関係ストレスの宝庫であり,教職員の精神疾患による休職も深刻な問題。子供,保護者や教職員が簡単にメンタルヘルスをチェックできるシートがあれば」と述べている。
精神科医からの声
東京都医学総合研究所の安藤俊太郎氏は,「学校に精神科医は必要」と述べ,学校精神保健や精神疾患を抱える子供への対応において精神科医が担うべき役割を提言した。
助けを求めない子供がむしろ要注意!
精神疾患の半数は14歳までに発症するが,精神的不調を抱える児童の6割以上は専門家の助けを得ていないことが疫学研究で示されている。さらに,抑うつ症状が重症化している子ほど援助を求めないという調査結果もあり,「助けを求めない子はむしろ要注意」と安藤氏は警鐘を鳴らす。
診察経験がない年代でも躊躇せず診る姿勢を
安藤氏は「自分が診察した経験のない年代の子供でも躊躇せず診療すること,その際には,子供のころの感覚での"信頼できる医師像"(笑顔で優しく接するなど)を体現すること」とした。(略)
全ての精神科医が学校精神保健活動に貢献を
安藤氏は「精神疾患発症好発年齢に当たる中学・高校の数は約1万5,000校,精神科医の数は約1万4,000人。全ての精神科医が積極的に若年者症例を受け入れ,要請があればアウトリーチの学校精神保健活動に貢献すべきだ」と提言。
(感想: つまり、理想は1つの学校に1人の精神科医をということだろう。)
そのために必要なこととして,積極的に若年者を支援する精神科医の養成,援助希求を促す学校精神保健教育,養護教諭を中心に家庭訪問が可能な保健師も交えたチームでのケースマネジメントを挙げた。さらに,世田谷区で実施している相談事業「こころスペース」を紹介しながら,学校外で精神保健相談をできる無料の機会を提供することの意義を語った。
(感想: この構想は以前、岡崎祐士氏を取材したとき、「学校外で精神保健相談をできる無料の機会」を実施しているオーストラリアの例を挙げて、日本にも必要と言っていた、それが実現した形である)。
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引用が長くなったが、正直、『ルポ 精神医療につながれる子どもたち』を書いた人間としては頭が痛くなるような内容である。
教育現場からのお三方の発言は、どれも「精神科医という専門家」に対する「過剰なまでの信頼」が土台になっている。
「専門家の助言の効力は,おそらく想像を超えるものがある」……新村出校長。
さらに、2人の女性教諭の発言に至っては、まるでラブコールのようである。
とくに、東さんという方の発言――いろんな子供がいろんな問題を起こし、学校だけでは対応に限界がある。だから、精神科医の助力が必要――ということで、養護教諭としての責任放棄に近い発言と感じる。
「適切な対応の指針がほしい」と言い訳のようにおっしゃっているが、それが結局は病気でもない子どもを「医療」に手渡してしまう可能性を大いに孕んでいることに気づいていない(意地の悪い言い方をすれば、子どもを医療化することで問題の解決を図りたいだけ)。そして、そもそも精神科医に「適切な対応」ができるのかという疑問があり、なによりそれが問題なのだが、「専門家信仰」を持つ現場の教諭の頭には、一瞬たりともそういう疑問が浮かばないらしい。
日本精神神経学会の総会に、わざわざ学校現場の人間を登場させて、「お願いします、精神科医を学校に!」と言わせている点、何とも精神医学界の本音が透けて見え、この先、精神医療における子どもの被害者は確実に増大していくものと思われる。
すべての国民を「精神医療化」して、何らかの病名をつけ、薬を飲ませる……それが究極、彼らの目的なのだ、という穿ちすぎの考えを否定する気にさえなれない気分だ。
会長・岸本年史氏の過去の人体実験
ところで、この第111回日本精神神経学会学術総会の会長を務めたのは奈良県立医科大学精神医学講座教授の岸本年史氏である。
この岸本氏については、過去、忘れてはならない事件がある。
じつは、この事件については匿名の方からメールで知らされたのだが、事件の概要はすでに他のブログでも触れられているし、こういう形で伝えられた情報に踊らされるのは(とくに最近ネット上の出来事でうんざりしている私は)意に染まない気持ちだったので、書かずにいた。
しかし、今回の日本精神神経学会学術総会のシンポジウム、「学校に精神科医を送り込む」という内容を見て、彼らの本当の狙いがどういったものなのか、その間接的な証拠ともなる岸本氏の事件を伝えることにした次第である。
1997年1月21日の毎日新聞のスクープだ。
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兵庫県宍粟郡千種町内の特別養護老人ホームを舞台に一昨年秋から約3か月間、痴呆老人に対し新薬の臨床試験(治験)が行われていたことが20日、毎日新聞の調べで分かった。実施したのは奈良県立医科大学精神科の岸本年史教授(41)で、この特養ホームは治験実施契約外の施設。教授の親族が経営し、奈良医大の外来患者に見せかけ、家族への説明は教授本人が行っていなかった。製薬会社もこうした治験について把握していた。教授は取材に対し、ホームでの治験を認めたうえで「私自身が診療すれば外来患者とみなすことができる」などと釈明。専門家は「契約外の施設で治験を行うことは、薬事法に基づく『医薬品の臨床試験の実施に関する基準』(GCP)に違反している」としており、厚生省は実態調査を始める。
つまり、この岸本年史という精神科医は、今から18年前、自分の弟の経営する特別養護老人ホームで、認知症の老人4人に対し、アルツハイマー病の新薬の治験を、家族の同意も得ずに、行っていたというのだ。しかも、同意書を岸本氏が偽造した疑いもあるという。
治験を行ってはならない施設で、弟の経営する(自分で好きなようにできる)施設で、認知症患者を人体実験した。しかも手続もまったく無視(家族の同意も得ず)したかたちである。記事を読んで感じるのは、この岸本氏にとって、施設にいる老人の命などどうでもよいということだ。
そういう倫理観、人権意識のなさ、人命軽視の医師が、日本精神神経学会総会の会長を務め、そこで「学校に精神科医を!」と訴える……。
老人相手に人体実験を行ったように、子ども相手に人体実験を行わない保証はどこにもない。そういう「精神性」をもった医師のいる団体(しかも公益社団法人!)なのである。いや、彼らにしてみれば、やって当たり前、そのための「学校に精神科医を」の運動なのだ。過去の事件がそのことをはっきり物語っている。
時代は確実に悪い方に流れている。