(写真)康楽館。
2025年(令和7年)7月、秋田県鹿角郡小坂町にある芝居小屋「康楽館」を訪れました。「小坂町の映画館」からの続きです。
1. 康楽館を訪れる
1.1 建物
(写真)下見板張の外壁。
(左)破風。(右)建物入口。
(写真)康楽館ののぼりが立つ明治百年通り。
(写真)北側から見た建物。
広間
(写真)広間。
(写真)2011年の「坂東玉三郎特別舞踊公演」の際の隈取手ぬぐい。
1.2 客席
1階客席
康楽館の客席に入ってまず感じたのは部隊までの距離が近いということです。これまでに八千代館、内子座、永楽館などの芝居小屋を訪れていますが、康楽館は建築面積に占める桝席部分の比率が小さく、舞台、桟敷席、向う桟敷の比率が高いようです。どの座席からの役者が近くに見え、舞台が大きいので迫力ある芝居が可能です。
(写真)康楽館の館内。
(写真)康楽館の平面図。
(写真)桝席と1階桟敷席。
向かって左手には一般的な芝居小屋より広い花道がありますが、向かって右手にも細い板敷きの通路があり、こちらも花道として扱われているようです。桝席にはもともと座布団が置かれていたようですが、時代の変化に合わせて数年前に椅子席に改めたとのことでした。なお、桝席に桝状の木組みはありません。
(写真)花道と桝席。
(左)提灯。(右)臨監席。
2階客席
2階の向う桟敷部分の広さは康楽館の大きな特徴だと思われます。大向うは舞台から最も遠い座席ですが、最も安い席でもあるため常連客の定位置となっていたとのことです。
(写真)2階の向う桟敷。
(写真)2階の向う桟敷。
(写真)2階桟敷席。
康楽館の天井は洋風の棹縁天井であり、チューリップ型の電灯を囲むように八角形の枠組みが施されています。
各地の芝居小屋はそれぞれ天井に見どころがあり、例えば八千代座は丸枠内に鮮やかな広告画が描かれており、シャンデリアが吊るされています。内子座は全面が棹縁天井で中央部が折上格天井となっており、永楽館は八千代座や内子座と比べるとシンプルな棹縁天井ですが、昭和初期を再現した洋風の照明が吊るされています。
(写真)洋風天井と照明。
1.3 舞台・舞台裏
康楽館の廻り舞台は直径9.73mあり、重要文化財の芝居小屋4件の中では最大です。康楽館の6年後に竣工した内子座の廻り舞台は直径8.2mに留まっているため、廻り舞台を人力で回す時代にはこの程度の規模が運用面の限界だったのかもしれません。舞台奥には楽屋があり、来演した役者などによる墨書きがありました。
(写真)舞台から見た客席。
(左)上幕に記された小坂町のロゴ。(右)廻り舞台。
(写真)楽屋。
多くの芝居小屋では奈落も見学コースに含まれています。八千代館・内子座・永楽館などでも廻り舞台の下部を見学していますが、康楽館の廻り舞台下部は他の3館と比べると圧倒的に木組みが複雑であり、廻り舞台の大型化の影響を感じさせられます。他の3館と同様に4人で回すとのことでした。滑車の利用で労力の軽減が図られているのでしょうか。この滑車は小坂鉱山で製造された物と聞きました。
(写真)廻り舞台。
(写真)廻り舞台の滑車。