内閣支持率が急回復!? 選挙プランナーの内閣支持率・政党支持率月次調査レポート(2025年8月1日)

大濱崎卓真選挙コンサルタント・政治アナリスト

この記事では、世論調査会社グリーン・シップの「GS選挙調査センター」が全国規模で毎日実施している情勢調査のデータ提供を受け、内閣支持率や政党支持率の分析を7月度の月次レポートとしてお送りします。

内閣支持率

グリーン・シップ「世論レーダー」をもとに、筆者作成
グリーン・シップ「世論レーダー」をもとに、筆者作成

グリーン・シップ社の調査では、内閣不支持率は3月以来微減となっていますが、月次でみたところ大きな変動はありません。参議院議員選挙のあった7月も、6月と比べると微減したようにみえます。

グリーン・シップ「世論レーダー」をもとに、筆者作成
グリーン・シップ「世論レーダー」をもとに、筆者作成

ただ、内閣支持率は、7月24日頃から急激な上昇傾向にあり、年代別でみると特に50代以上では既に支持が不支持を上回る逆転現象が確認されています。特に支持が回復している層を深掘りしていくと、女性票や無党派層、立憲民主支持層で急激な回復の伸びを見せている一方で、国民民主党や参政党では支持率の回復が全く見られないことが特徴です。

参議院議員選挙で大きく負けたはずの石破総理が、なぜ支持率を回復してきたのか、考えてみたいと思います。まず、回復傾向が顕著に表れているのは「50代以上」「女性票」「無党派層」「立憲民主支持層」などです。この対極にいるのが、「49歳以下」「男性票」「国民民主支持層」「参政支持層」です。接触するメディアの違いやインターネット世論の影響を受ける度合いや投票行動につながるかどうかが世代によって大きく異なることは参院選で明らかになったと思いますが、まさにその世代分裂のなかで石破総理への支持不支持が分かれつつあります。

内閣支持率がなぜ急激に回復しているのか

7月25日、自民党の中堅・若手による両院議員総会開催を求める署名集めが規定数そろったことが報道され、事実上の「石破おろし」が表面化しました。同日夜には首相官邸前で〈石破辞めるな〉を掲げるスタンディングデモが発生し、SNS上でも「石破やめるな」がトレンド入りしています。権力者が外部ではなく身内から攻撃されると、有権者の一部が被害認知やバランス感覚を働かせて、一時的に支持を獲得する現象と似ています。特に女性層と50代以上は 「党内政局より安定」を重視する傾向が強いとみられ、党内抗争が過熱するほど、逆に「辞めさせられる首相を見たくない」という同情的反応が誘発される構図です。

報道各社が行う次期首相(総裁)調査でも、小泉進次郎氏や高市早苗氏が名前を連ねるものの、いずれも支持率は1〜2割台に留まります。毎日新聞調査では内閣を支持する理由について、「他に良い人や政党がいない」が49%で最多でした。言い換えれば、消極的支持が石破内閣を支えている状況です。
その背景には「首相交代疲れ」という制度的疲労も無視できません。菅政権が短命に終わった記憶はまだ新しく、世論は「再度のリーダー交代=政策停滞」と結びつける傾向にあります。今回、無党派層が「退陣より継続」に転換したのは、コスト最小化の合理的選択とみることができます。

さらに言えば、自民党支持率が回復基調にあるわけではないことから、あくまで石破氏と自民党との評価を切り分けて考える層が、石破氏の日米関税交渉などの評価をして、「政局より政策」あるいは「政局より政策実現力」と捉えている可能性があります。表面化した「石破おろし」がスピード感を失いつつあることもまた、旧態依然の派閥構造から脱却できない自民党所属議員らによる権力闘争と相まって、「石破やめるな」につながっているともみえます。とはいえ、内閣改造でもしたのかというぐらいの回復具合であり、石破内閣の組閣時に近い数字まで戻していることには注目です。

政党支持率

グリーン・シップ「世論レーダー」をもとに、筆者作成
グリーン・シップ「世論レーダー」をもとに、筆者作成

つづいて政党支持率です。参議院議員選挙のあった7月の値ですから、選挙の様子が色濃く反映されています。参政党の支持率が急激に上昇し、国民民主党と肩を並べるまでになりました。立憲民主党とともに、「野党」が横並びになったのは、参議院議員選挙における比例議席が7議席で揃ったことの証左ともいえます。公明党や共産党は選挙の期間であっても大きく伸びずに既存政党としてのあり方に黄色信号が灯っています。

調査会社:グリーン・シップ(GS選挙調査センター)
調査日:2025年 7月1日〜31日
調査手法:電話調査(RDD方式)
サンプル: N=11,999(有権者ウェイトバック集計)

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選挙コンサルタント・政治アナリスト

1988年生まれ。青山学院高等部卒業、青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。不偏不党の選挙コンサルタントとして衆参国政選挙や首長・地方議会議員選挙をはじめ、日本全国の選挙に政党党派問わず関わるほか、政治活動を支援するクラウド型名簿地図アプリサービスの提供や、「選挙を科学する」をテーマとした研究・講演・寄稿等を行う。『都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ』で2020年度地理情報システム学会賞(実践部門)受賞。2025年度経営情報学会代議員。日本選挙学会会員。行政書士。

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