どっちかじゃない。どっちもだ。
聖人になることにした私は山に篭って隠遁生活を送ると宣誓したが、あえなく一日で玉砕した。東京在住の女性K様から「一度お目にかかりたい」とご連絡をいただき、うわ〜い!!遊びの予定が入ったぞ〜!!と、荷物をまとめて山を降りた。K様は誰もが認める身体感覚界の天才で、二十五歳とは思えない重厚なオーラに人々は戦慄し、多くの迷える仔羊たちを救っている。そんな人が、交通費を出してまで私に会いたいとご連絡をくださった。私の身体は、破裂寸前にまで強張った。
K様が常日頃投稿している内容があまりにも濃厚で呪いがかかっているとさえ思っていた私は「人生が辛過ぎたのですか?」と尋ねた。K様は爆笑しながら「たくさん本を読んできたのかとか、たくさん勉強してきたのかと聞かれることは多いけど、そんな聞かれ方は滅多にしない」と言った。天才と会う時は身構える。張り合いのある話し相手でありたいと自我が暴走して、結局ロクでもない会話しかできなくなる。見事に自爆した四十歳の私は、二十五歳の女性を前に敗北宣言をした。
K様は「会ったら叱られるものだと思っていたけど、たくさん褒められてしまった」と言った。私は、自分が逆に叱られているような気持ちになった。張り合いのない人間だと言われた気がして、気が気ではなくなり、自分の存在価値が失われ、アイデンティティを喪失しかけたので「俺の可愛げに射抜かれてたもれ」と神に願った。聖人君子ぶってみたがダメだ。すぐにボロが出る。深い会話は無理。ただ、一緒にいたら楽しいとは思う。最後の拠り所は『可愛げ』だった。知的な会話はできないが、俺の可愛らしさに癒されてなんだかとってもいい一日だったと思ってくれと願った。
K様が何を思ったのかは不明だが、何度か爆笑をしていただけたので「よし」と思った。K様の笑い方は、ビー玉が破裂するような活きの良さがあった。笑っていただけたのであればよしとする。それにしてもなんなんだ俺は。すごすぎて無力。しばらく肉は食わないと決めていたのに、K様が「お肉をご馳走しますよ」と言ってくださるものだから、あれよあれよとヒレステーキにかぶりつき「うめえうめえ」と舌鼓を打っていた。俺はもう何も誓えない。誓った直後に誓いを破る。聖極まって俗となり、俗極まって聖となる。どっちかじゃない。どっちもだ。聖も俗もどっちも俺だ。
私の生きるよすがは『可愛げ』にあると自分で思っていたのは発見だった。私は私のことを意外と可愛い奴だと思っていて、ここまで生きてこれたのは私に文才があったからとかサバイバル能力があったからではなく、ただ単に可愛げがあったからだ。聖人になりたくて山に篭って瞑想しても、楽しそうなお誘いが来たら即下山。都会にいると自然に触れたいと思い、田舎に行くと文化がないと嘆き都会に憧れる。都会か田舎か。どっちかじゃない。どっちもだ。俺はどっちも欲しいのだ。左手に俗を。右手に聖を。地獄も天国もあったものじゃない。赤ちゃん最強説に全振り。天使にも悪魔にもなれる赤ちゃんに残りの人生を賭ける。
おおまかな予定
8月4日(月)東京都渋谷区界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)
連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z
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ばっちこい人類!!うおおおおおおおおお!!


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