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大阪・関西万博

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大阪・関西万博は「失敗」 ライターたちが開幕前にあえて断じる理由

インタビューに答える松本創さん=大阪市北区で2024年12月17日、村田貴司撮影

 2025年大阪・関西万博(4月13日~10月13日)は「失敗」だ――。目前にせまった国家プロジェクトを、開幕前からこう断じた本がある。

 24年8月刊行の『大阪・関西万博「失敗」の本質』(ちくま新書)。国民の関心が高まらない万博を5人の書き手が多角的に検証する。なぜ「事後」ではなく「事前」か。執筆に加わり、編集も務めたノンフィクションライターの松本創(はじむ)さん(55)が恐れるのは「『なんとなくやってよかった』という空気感」。過去に開催した巨大イベントが念頭にある。

 インタビュー前後編の前編です
 後編・理念や哲学なき大阪万博 松本創さんが指摘するメガイベントの空疎さ

40年前の「名著」にヒント

 本書の源流は、21年の東京オリンピック・パラリンピックまでさかのぼる。

 開幕前日の7月22日、松本さんはX(ツイッター)でこんな投稿をしていた。

 「『失敗の本質2020―東京五輪の組織論的研究』というのを所属を越えた記者有志で分担執筆するのはどうだろう」

 「失敗の本質」は、1984年刊行の名著『失敗の本質――日本軍の組織論的研究』から引いた言葉だ。同書は、敗戦が見通せていたにもかかわらず旧日本軍は太平洋戦争へと突き進んだとして、組織運営と軍事史の視点から問題点をあぶり出す。6人の研究者が執筆を担当し、日清・日露戦争といった過去の「成功体験」に固執したことで、環境の変化に合わせた柔軟な組織変革がなされなかった点などを「失敗の本質」とした。

 東京五輪も開幕前から既に「失敗」の気配が漂っていた。

 大会組織委員会の会長だった森喜朗氏の女性蔑視発言が取り沙汰された他、開会式の楽曲担当者が過去に障害者の同級生らをいじめた過去が明らかになり辞任。演出担当者も、お笑い芸人時代にホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)をコントのネタにしてやゆしていたとして解任されるなど、開幕直前まで不祥事が相次いだ。

 「準備段階でSNS上に投稿された『国際イベントとしてのオリンピックは失敗した』との指摘に共感した。まさに日本軍の『失敗の本質』と通じると思いました」と松本さん。ただ関西を拠点に取材活動をしていることもあり、この時の松本さんの東京五輪に関する投稿はアイデアにとどまった。

 この約2年後、五輪をほうふつさせるごたごたが、松本さんの地元でも噴出した。大阪・関西万博だ。海外パビリオンの建設工事の遅れや参加国の撤退、会場建設費の度重なる上振れなどのお粗末ぶりが指摘され始めた。五輪の「構想」を生かして急ピッチで出版への作業を進めたのが本書だ。

「成功」の基準がないからこそ…

 それにしても、なぜ開幕前のタイミングで検証が必要なのか。

 「はじめに」で松本さんが理由を述べる。

 <メガイベントというのは(略)どんな形であれ、終わってしまえば、なんとなく「やってよかった」という空気ができ、それに乗じて関係者は「大成功だった(私の手柄…

インタビューに答える松本創さん=大阪市北区で2024年12月17日、村田貴司撮影

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