外国人の免許切り替え、試験10問→50問に 観光客は認めず
海外の運転免許証を保有する外国人が日本の免許証を取得する「外免切り替え」を巡り、警察庁は10日、厳格化する手続きの詳細を明らかにした。住所確認のため原則として住民票の写しを求める。交通ルールを確認する問題を5倍に増やし、9割以上の正解率を要件とする。
外免切り替えの外国人らによるひき逃げや逆走が続発しており、安全性を高める。住所地の確認強化は道路交通法施行規則の改正が必要で、11日からパブリックコメント(意見公募)を実施する。新たな仕組みを10月1日にも導入する方針。
外免切り替えは、道路交通に関するジュネーブ条約に加盟していない国から来日した外国人を中心に利用されている。筆記試験が簡単なうえ、ホテルで短期滞在中の観光客でも取得できる点を問題視する声があった。
改正規則の施行後は国籍にかかわらず住民票の写しの提出を原則必須とする。住民票がない外国人観光客には切り替えを認めない。海外に転出中の日本人が一時帰国時に切り替える場合などには、例外的に戸籍謄本といった別の方法で住所地を確認する。
交通ルールの理解度をみる知識確認は現在、イラストが付いた計10問の二択問題で70%以上の正解を求めている。見直し後は問題数を50問に増やし、イラストは廃止する。必要な正解率も90%に引き上げる。20言語への対応は変えない。
問題は警察庁が配布する例を参考として各都道府県の公安委員会が作成する。警察庁の担当者は「50問に増やせば交通ルール全体を網羅して出題できる」とみる。
運転技術を調べる技能確認は、横断歩道や踏切の通過といった場面を課題として加えたうえ、新規の免許取得時と同等に厳しく採点する。現行制度での技能確認の通過率は23年29%、24年30%だった。知識・技能確認の厳格化は警察庁が通達で示す。
24年に外免切り替えをした外国人は6万8623人に上り、15年(2万8886人)から2倍超に増えた。ベトナムからの切り替えが1万6681人と最も多く、中国(1万5251人)、韓国(4901人)が続く。技能実習生や訪日外国人の増加が要因とみられる。
埼玉県三郷市で5月に発生した小学生のひき逃げ事件で逮捕された中国籍の男は中国からの外免切り替えだった。同月に三重県亀山市の新名神高速道路で逆走したペルー国籍の男も外免切り替えだったとされる。
一連の事件や事故を受け警察庁の楠芳伸長官は5月の記者会見で、「日本の交通ルールが十分に理解できているか、知識確認や技能確認の方法を厳格化する必要がある」と見直しの方針を表明した。
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