いまだ残る森友の小学校 17万ページの文書開示開始、真相見えるか

岡戸佑樹 大滝哲彰

 学校法人・森友学園(大阪市)への国有地売却に関する文書の開示が4日、始まる。土地はなぜ大幅に値引きして売られ、関連文書の改ざんは誰が指示したのか。問題発覚から8年。全部で17万ページ以上という文書で、今も残る謎が明らかになるか注目される。

 「最低限の不開示(黒塗り)処理の方針で臨んでいく」。3月21日の参院予算委員会で、石破茂首相は森友文書の開示についてそう述べた。

 文書の開示は、改ざんを強いられて自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻、雅子さんが求めた。「財務省が検察庁に任意提出した文書」を情報公開請求し、不開示決定を取り消した大阪高裁判決が2月に確定。財務省は主要な文書を1年以内に順次公開する方針を示した。

 財務省によると、関連文書は17万ページ以上の紙と電子データがあり、4日に公開されるのはそのうち約2千ページ分。土地取引に関するものが中心で、雅子さんが求める改ざん関連は少ないとみられる。

 財務省は今後、6月上旬をめどに、俊夫さんがとりまとめたとみられる文書を開示し、来年3月までに他の職員らの個人的な手控えなどの関連文書を開示するとしている。

改ざんを指示したのは誰なのか

 森友学園問題では、土地取引での大幅な値引きと、その発覚後の公文書改ざんの二つの焦点がある。雅子さんは改ざんの経緯や指示系統の解明を求めている。

 朝日新聞が2018年3月に文書書き換えを報じると、財務省は改ざんを認め、同年6月に調査報告書を公表。大幅値引き問題が17年2月に発覚した後、「私や妻が関係していれば首相も国会議員も辞める」という安倍晋三首相(当時)の国会答弁を起点に、記録が廃棄され、「特例的な内容となる」「本件の特殊性」といった文言や、安倍首相の妻、昭恵氏や元閣僚秘書らの関わりについての記載が消された。報告書は、佐川宣寿・理財局長(当時)が廃棄や改ざんの「方向性を決定づけた」と結論づけた。

「赤木ファイル」に記された指示

 しかし、麻生太郎財務相(当時)は報告書公表後の会見で「佐川自身が改ざんしろと、書き直せと言った形跡がない」として、具体的な指示を確認できなかったことを示唆。改ざんがなぜ必要だったのかという点についても、「それが分かりゃ苦労しない」と答えていた。

 21年6月には、赤木俊夫さんが改ざんの経緯をまとめた「赤木ファイル」が開示された。ファイルは500ページ以上あり、佐川氏について「国会答弁を踏まえて文書を修正するよう指示があった」と記されていた。

 ただ、赤木ファイルは近畿財務局職員だった本人の手控えや周辺のメールの文面などで、本省理財局や佐川氏周辺で当時、どんなやりとりがあったかまでは判明していない。

 赤木ファイルは、雅子さんが国や佐川氏を相手に起こした訴訟の際、国に開示を求めた。この訴訟をめぐっては、国が21年12月、損害賠償を求めた雅子さん側の請求について「認諾する」と述べて受け入れ、終結。雅子さん側の代理人弁護士は「改ざん問題が追及されることを避けるため訴訟を終わらせた」と批判していた。

はげた校舎、地中に眠るごみ

 国に所有権が戻った大阪府豊中市の現場の土地には、いまも森友学園が開校を目指した「瑞穂の國記念小學院」の校舎が立つ。建設当時は朱色に染まっていた建物ははげが目立つ。敷地はフェンスで囲まれている。

 この建物と地表の下に、大幅値引きの根拠とされたごみが眠っているとされ、野党は掘り返して調べるよう繰り返し求めてきた。国は応じず、検証はなされていない。建物の扱いをめぐる司法の争いが続いているためという。

 校舎を建てた「藤原工業」(大阪府吹田市)は、土壌対策も含めた費用約20億円の大半を学園から回収できていないが、土地を学園から買い戻した国は、売却時の特約に従って更地にすると通告。同社は債権を回収できるまでは留め置ける「留置権」があるとして、国と学園の管財人に対して19年12月、費用回収のため建物と土地の一括売却を求める民事調停を大阪簡裁に申し立てた。

 訴訟関係者によると、これまでに30回以上の協議があった。今年3月末までに国による土壌汚染や埋設物の調査が終わり、今年度以降に一括して売る方向でまとまりつつあるという。この関係者は「時間はかかったが、ようやく最終的な方向へ進み始めた」と話す。

 学園は15年5月、10年以内に買い取る前提で土地を借りる契約を締結。16年6月、地中ごみの撤去費を根拠に8億2千万円値引きしてもらい、1億3400万円で土地を購入した。この際、10年間の分割払いも認められた。いずれも学園の要望に応える形で実現した異例の対応だった。小学校の名誉校長に昭恵氏が就いていたことが国会で追及された。

 会計検査院は17年11月、調査内容を公表。地中ごみについて、国が売却契約時に推計の理由としたデータは根拠が不十分とした上で、独自の試算では最大で約7割減ることなどを指摘した。

森友学園問題とは

 森友学園問題 財務省近畿財務局は2016年6月、小学校の開校を目指していた森友学園に、鑑定価格から地中ごみの撤去費用8億1900万円などを値引きし、1億3400万円で国有地を売却した。17年2月に朝日新聞の報道で発覚。安倍晋三首相(当時)の妻の昭恵氏が小学校の名誉校長だったことに財務省が忖度(そんたく)したのではと野党が追及した。土地取引に関する国の公文書が書き換えられた疑いを18年3月に朝日新聞が報道すると、財務省は昭恵氏らの名前を削除するなど14件の改ざんを認め、18年6月に佐川宣寿・元理財局長らを処分。佐川氏らは有印公文書変造容疑などで告発され、大阪地検特捜部は不起訴処分に。検察審査会の「不起訴不当」議決後に改めて不起訴とし、捜査は終結した。

「デジタル版を試してみたい!」というお客様にまずは1カ月間無料体験

この記事を書いた人
岡戸佑樹
大阪社会部次長
専門・関心分野
調査報道、選挙、災害・防災