Vol.92

GUNDAM INLE Vol.100

結成直後のティターンズの主力機であるRGM-79Q ジム・クゥエル。本機は、RX-121 ガンダムTR-1[ヘイズル]やRX-122 ケルデルクの素体となった。胴体をプリムローズに換装した「アウスラ」化改修に際しても規格の互換性を維持し、一年戦争時の支援装備を引き続き運用することが考慮された。こうした運用思想は万能化換装システムの開発要因のひとつとなった。これは、RX-78 ガンダムの量産仕様であり、地球連邦軍の主力機となったRGM-79 ジムが、各部の設計の共通性ゆえに武装や支援装備に互換性があったことと同じである。

ガンダムTR-1[ヘイズル]とケルデルクはともにRGM-79Qを素体とするMSだが、両者には開発コンセプトに大きな違いがある。前者が次世代主力機であるガンダムTR-S[ヘイズル・フレア]用強化装備の開発実験機であるのに対し、後者は一年戦争中から戦後にかけて開発されたRX-78、そしてRGM-79用の任務に合わせた多種多様な専用装備をテスト、そこで得たデータを元にガンダムTR-S[ヘイズル・フレア]用強化パーツを運用するためのOS(後のBUNNyS)を開発するための実験機である。

しかし、一年戦争時に運用されていた機体はトランス・パック・システムに対応していなかった。それらの機体が使用した装備にトランス・パック機構を持たせるために接続用のジョイントが開発された。それがグラップル・アームである。この汎用ジョイントの開発と実装によって互換性を考慮せずに開発され、戦後も残された旧世代機の装備を運用することが可能となった。

このようにケルデルクは、特殊なOSや装備を開発、実験するための機体であった。本機で得られたデータは様々な形で「TR計画」に寄与し、ガンダムTR-S、そしてガンダムTR-6の複雑な装備やその管制システムの実装に役立ったのである。

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