健康

2024.12.16 09:15

まずは富裕層向け。銀座から世界一を目指す「長寿クリニック」

「THE HUNDRED ロンジェビティハウス」は銀座駅から徒歩2分のビルの5フロアで展開。写真は会員向けのVIPフロア

「THE HUNDRED ロンジェビティハウス」は銀座駅から徒歩2分のビルの5フロアで展開。写真は会員向けのVIPフロア

「再生医療においてはトップランナーですよ、日本は」。そう話すのは、iPS細胞由来心筋細胞シートによる心筋再生治療を24年前から研究してきた大阪大学名誉教授の澤芳樹だ。AIや半導体、宇宙などの成長産業でことごとく遅れをとっている日本が「世界で唯一勝てる技術じゃないですかね」と言う。
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10月、澤がCTO(最高技術顧問)として指揮する再生医療を中心とするウェルネス複合施設「THE HUNDRED ロンジェビティハウス」が銀座にオープンした。アンチエイジング医療における第一人者である日比野佐和子が総括院長をつとめ、施設内には、アーユルヴェーダのサロン、発酵料理のレストランも入る。プロデュースするのはソルトグループ代表の井上盛夫だ。

ロンジェビティとは長寿の意味で、昨今、医療や健康領域のキーワードとして注目されている。ヒトiPS細胞由来心筋細胞の研究や開発、その普及も含めて“治療”に軸足をおく澤が参画をした決め手は何だったのか。他のクリニックと何が違うのか。澤、日比野、井上の3者に聞いた。


THE HUNDRED ロンジェビティハウス(以下、THE HUNDRED)は、人生100年時代を心身ともに健康に生きるために必要な「先端的な再生医療・古来の伝統医学・伝統的な日本の食文化」を融合させた複合施設。銀座のど真ん中で、古くは5000年前のアーユルヴェーダから最新テクノロジーを駆使した治療までをワンストップで提供する。
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ほとんどのメニューはビジターも利用可能だが、澤による年一回の健康診断、VIPルームの利用など一部は会員限定となっており、その入会金は数百万円を超えるいわゆる富裕層向けだ。医療ツーリズムで日本を訪れるインバウンドもターゲットに見据えている。
澤と日比野が指揮する「THE HUNDRED CLINIC」は5階・6階の2フロアで複数の個室を備える

澤と日比野が指揮する「THE HUNDRED CLINIC」は5階・6階の2フロアで複数の個室を備える

究極の再生医療で、予防医学を前進させる

目玉は、世界で初となる「iPS細胞由来心筋細胞培養上清」だ。澤はヒトiPS細胞から心筋細胞シートの作製に成功し、弱った心筋の機能を回復させる治療を開発してきた。17年にはその製造販売を目的とした医療ベンチャー、クオリプスを設立。近年は、スタンフォード大学とも連携しながらアメリカでの実用化に向けた研究を進めている。

「iPS細胞由来心筋シートを使った治療は、科学的なエビデンスが揃っていて安全性も実証済み。GCTP基準(再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準)も満たしている。実際に、患者さんが治療から4年間生きており、元気に社会復帰している例もあります」と澤。
次ページ > 価値の高い成分を応用

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経営・戦略

2024.12.03 14:15

ゲストを街に放つ 京都に誕生した富裕層向け「分散型ホテル」とは

高台寺と八坂神社の間に位置する一棟貸し切りのホテル「HOTEL VMG VILLA KYOTO」

高台寺と八坂神社の間に位置する一棟貸し切りのホテル「HOTEL VMG VILLA KYOTO」

日本には歴史ある伝統建築が多くあるが、細かい修理などで、毎年相当の維持費がかかるという。受け継ぐにあたっては相続税なども加わるため、やむなく手放したり、周囲に惜しまれつつも取り壊したり、というケースも少なくない。

そうした名建築をオーナーとともに修復し、現代に蘇らせているのが、文化の継承や地域経済の活性化に取り組むバリューマネジメントだ。現在、日本全国に12のホテルと、「ユニークベニュー」と呼ぶ結婚式場やレストランなどの10の建物をもつ。GINZA SIX内にある1カ所を除き、すべてが歴史的な建造物となっている。

同社が力を入れているのが「分散型ホテル」というスタイル。もともとあった文化財や歴史的建造物などを修復・再生し、客室、レストランなどの機能を街に分散配置することで、周辺一帯を一つのホテルとして見立てるというものだ。

大型ホテルを建築する敷地がない京都のような場所にも、スモールラグジュアリーなホテルをつくれるアプローチであり、あえて「ホテル内で完結させない」でゲストを街に導くことは、他の場所では感じられない「その土地らしさ」を感じたいという旅慣れた富裕層旅行客のニーズにもマッチする。

京都・東山で料理旅館だった建物を改修、3つの客室をとラウンジを設けた「HOTEL VMG RESORT KYOTO」

京都・東山で料理旅館だった建物を改修、3つの客室をとラウンジを設けた「HOTEL VMG RESORT KYOTO」

11月15日、バリューマネジメント京都の6つ目の施設として、東山八坂の高台寺のそばに「HOTEL VMG VILLA KYOTO(ホテル・ヴイエムジー・ヴィラ・京都)」がオープンした。

今から約120年前、遠州流の茶人、鵜野吾一が茶会を催すためにつくった私邸を、最大8人が宿泊可能な一棟貸切のホテルに改装。本格的な茶室や大正ガラスをはめ込んだリビングの広い窓からは近くの寺院や見事な紅葉が眺められる。低めのベッドを配した寝室が4室、浴室が2つあり、家族や友人とのステイにも向いている。
次ページ > 「文化のデザイン」ともいうべき過程

取材・文=仲山今日子

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ラグジュアリーにおける「わかりやすさ」と「複雑性」とは

大阪府和泉市に拠点を置く堀田カーペットの工場

大阪府和泉市に拠点を置く堀田カーペットの工場

「外国人が欲しがる日本のラグジュアリーとは」
「日本が育んだ本物とは」
「世界で評価される日本的要素とは」

これらが今、「日本 ラグジュアリー」と検索すると上位に表示されるヘッドラインです。多くの団体やメディアが、外国人が何を日本らしさとして期待しているのかを語り、それを戦略的に、相手が分かるようにプレゼンテーションしていく必要性を訴えています。

たしかに、異文化間のビジネスでは、相手の文脈に沿ったシンプルで明確なコミュニケーションが不可欠です。「自分のデザインを5歳児にも分かるように説明しなさい」とは、私自身がここ欧州で、耳が痛いほど教わってきたことでもあります。

常に生産的であるためには、表現の曖昧さや抽象性は、技術不足や配慮のなさと取られます。しかし、物差しに多様性がなく、円滑で摩擦が起きない安全地帯で、果たしてこれまでの枠組みを問うことはできるのでしょうか。

これからのラグジュアリーにとって、「わかりやすさ」は敵ではないか──。それを強く実感したのが、先月最終回を迎えた今シーズンの新ラグジュアリーの講座でした。

今回、参加者には、ゲスト講師のレクチャーや他の参加者とのディスカッションを重ねながら、2つのワークに取り組んでいただきました。1つは「各自の持つ素材(事業やアイデア)を欧州に発信する想定で深めること」。そしてもう1つは「そのためのコラボレーターを国外から3人ピックアップし、コンタクトすること」。

本記事では、参加者2人の最終発表の模様を紹介しながら、新ラグジュアリーにおける「わかりやすさ」との向き合い方について、考えてみたいと思います。

一眼で捉えられない複雑性

参加者の1人、堀田将矢さんは、大阪府和泉市に拠点を置く、1962年創業のカーペットメーカー「堀田カーペット」の3代目です。「カーペットを日本の文化にする!」をビジョンに掲げながら、カーペットのある暮らしの価値を普及する活動に取り組んでいます。


最終発表では、ご自身の考えるラグジュアリーを「『哲学』と『学び』の一貫性」と「『文化』と『デザイン』の複雑性」という言葉で表現していました。

「自分がこれまで魅了されてきたモノや場所を振り返ると、そこにはいつも、一眼で捉えられない複雑性があった。講座を経て、これがラグジュアリーではないかと思うようになった」

現在施工中の施設「CARPETLIFE BASE」

そう語る堀田さんは、現在施工中の施設「CARPETLIFE BASE」で、この“複雑性”を表現していくといいます。
次ページ > 複雑を「複雑なまま」受けとめる

文=前澤知美(前半)、安西洋之(後半)

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ポストラグジュアリー -360度の風景-

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