円売り呼んだ植田総裁2度目の「失言」 1ドル150円、広がる先安観
外国為替市場で円安が再燃している。1日の東京市場で対ドルの円相場は一時1ドル=150円台に下落した。円売りにつながったのは日銀の植田和男総裁による「失言」だ。昨年4月以来となる円安を呼び込む発言を受け、市場では円の一段安を見込む声が増え始めている。
「不用意な発言だった。植田総裁は何をしたかったんだろうか」。ある市場参加者は記者会見を聞き終えたあとに首をかしげた。
「円安容認」と捉えた市場
日...
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(更新)- 小黒一正法政大学経済学部 教授分析・考察
デフレ経済からインフレ経済への転換が進むなか、年金のマクロ経済スライドは着実に発動されており、医療・介護費の伸びも物価や名目GDPとの相対で見れば一定の制御可能性が確保されつつあります。ですが、より本質的な問題は、政府が抱える巨額債務や、日本銀行が保有する膨大な国債にあります。これらが金融政策の柔軟性を制約し、利上げの余地に構造的な限界をもたらしているように見受けられます。その結果として、金融政策が財政に従属する傾向が強まりつつあり、実質政策金利は依然としてマイナス圏にとどまっています。このような財政・金融政策の相互依存構造こそが、現在の政策運営上の最大の制約要因となっているように思います。
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(更新) - 竹中治堅政策研究大学院大学 教授別の視点
円安の本質的な理由は財政状況の継続的悪化という構造的問題である。財政状況が悪化しているにも関わらず、自民党は岸田内閣のもとで4兆円の減税を実施、ガソリン・電力価格などを下げるための巨額の補助金の支給を始めた。石破内閣は給付金を約束した。野党も国民民主党の消費税の5%への減税をはじめ様々な形の消費減税を訴える。ガソリン暫定税率の廃止はほぼ確実である。一連の政策は財政状況をさらに悪化させ、円の信認を一層傷つける。さらに財政状況の悪化の根本的原因は高齢化に伴う社会保障支出増である。与野党は目先の物価対策を競うのではなく社会保障費削減に向け、社会保障制度の抜本的改革に取り組むべきである。
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(更新) - 小山賢太郎ドイツ証券 調査部長・チーフエコノミストひとこと解説
今回の日銀の会合前には、ECBとFRBの政策決定と記者会見があり、いずれも想定よりもタカ派と受け止められました。そうした流れの中で、昨日の植田総裁の発言は、金融市場からすると、格好の円安要因と捉えられたと考えられます。米国が関税を引き上げる中、対ドルでの円安はその負の影響を一部緩和する効果があります。一方記事にもある通り、個人消費にとっては負の影響が大きいですし、参議院選挙において示された国民の物価高への不満を更に高めかねません。加えて、米国との関税交渉の一部にまだ流動的な部分がある中で、円安が進むことは好ましくないでしょう。日銀は、もう一度円安に対する感度を高める必要がありそうです。
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(更新) - 滝田洋一日本経済新聞社 客員編集委員ひとこと解説
①植田総裁の発言がうまく届かないことはたびたびですが、今回はそれだけでしょうか。もうひとりの総裁、石破自民党総裁(首相)の進退問題が影を落としているように。 ②与党が衆参ともに過半数割れ、政権基盤が極めて脆弱なうえに、経済政策の軸足も定まらない。そんな時、えいやと利上げのシグナルなど出せるでしょうか。 ③債券市場参加者もメディアも、日銀への無いものねだりはやめた方がいい。もっとも、そう言っているうちに、トランプ政権から円安批判が飛び出すかも知れませんが。
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