『鬼滅の刃』原作者が“描けなかった”猗窩座の裏話 「見る目が変わる」苦しすぎる過去とは?
配信
猗窩座の得意技「鈴割り」はどのように誕生したか?
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が爆発的なヒットを記録しています。物語のカギを握る登場人物が、タイトルにも記されている「猗窩座」です。上弦の鬼である猗窩座は、「竈門炭治郎」をはじめとする鬼殺隊と激闘を繰り広げます。 【画像】え、ぱっちり瞳が「そっくり」 こちらが猗窩座(狛治)の最愛の人「恋雪」を演じた美人声優です ※以下、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の内容に一部触れる箇所があります。未見の方はご注意下さい。 映画のなかでは、猗窩座の悲劇的な過去についても語られていました。原作者の吾峠呼世晴先生によると、猗窩座には原作でも語られていないサイドストーリーがあるのだそうです。 猗窩座は人間時代、江戸時代に生まれた「狛治(はくじ)」という名の青年でした。病気の父親のため、スリで薬代を稼いでいましたが、何度も捕まって刑罰を受けていました。心を痛めた父親は自殺し、狛治は罪人として江戸を追放されてしまいます。 自暴自棄になっていた狛治は、「素流動場」という武術道場を営む「慶蔵」と出会います。狛治は武術を学びながら、娘の「恋雪」の世話をし、やがて恋仲になりました。しかし、土地と道場を狙っていた隣の剣術道場の人間が井戸に毒を入れて、慶蔵と恋雪は毒殺されてしまいます。怒り狂った狛治は、隣の道場の門下生67名を拳で惨殺し、うわさを聞きつけた「鬼舞辻無惨」に鬼にされてしまうのです。 これが原作と映画で描かれた猗窩座の物語です。そして、描かれなかった猗窩座のサイドストーリーが存在します。それは次のような内容です。 隣の道場には、恋雪と同じ年頃の道場の跡取り息子がいました。彼は恋雪のことが好きでしたが、乱暴で横柄な性格をしており、体の弱い恋雪を無理やり外に連れ出した上、発作を起こした恋雪を放置して逃げ出すようなこともありました。狛治が見つけなければ、恋雪は死んでいたかもしれません。 怒った慶蔵は隣の道場と試合を行いましたが、狛治がひとりで9人を倒し、恋雪と道場にかかわらないよう約束させます。跡取り息子は真剣で狛治に斬りかかりますが、狛治は振り下ろされる刃を側面から拳で真っ二つに折りました。これが猗窩座になってからも使う「鈴割り」という技です。隣の道場主は狛治の技に感動し、負けを認めて跡取り息子の無礼を詫び、素流道場への嫌がらせをやめます。 数年後、隣の道場主が亡くなり、狛治と恋雪の結婚の話を聞きつけた跡取り息子は、門下生たちに焚き付けられて、道場の井戸に毒を入れます。向かいに住んでいるおばあさんが跡取り息子と門下生たちを目撃していました。 毒を飲んでしまった後、慶蔵は恋雪を抱えて、医師の家まで血を吐きながら走りました。恋雪は慶蔵の腕のなかですでに亡くなっていましたが、慶蔵は亡くなるまで長い時間苦しんだそうです。 この内容は、吾峠先生が構想したものの、長すぎて本編で描くことができなかったエピソードです。隣の道場の跡取り息子の卑劣さ、狛治の強さとまっすぐさ、娘を思う慶蔵の思いがよく表現されています。これらの設定は単行本18巻の空きページに記されており、吾峠先生による跡取り息子の顔のスケッチも添えられています。興味のある方はぜひご覧ください。
大山くまお
- 76
- 238
- 125