逆行兎


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作:サイコロコロロ
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謎の女の爆音波 ベルは目を覚ました






 

愉快犯どもに遊び半分で過去に飛ばされた若干不幸体質な英雄、ベル・クラネル。目が覚めるとどこかもイマイチわからない路地裏で寝ていた彼は、あまりに唐突すぎる出来事に苛まれたため現状を整理する事にした。その時間、実に10分。

割と早かった。

 

 

(とりあえずどうしよう・・・・・・。リューさんとヘルメス様から軽く聞いただけで、この頃のオラリオの事はほとんど知らないのに・・・・・・)

 

転生前に愉快犯の一人から『存分に俺TUEEEEEっ!!しても大丈夫だから!』と期待のこもった言葉と視線を浴びせられたベルであったが、もはやそんな言葉は記憶に残っていない。

どうしようどうしようと考えた末、何故か持っていたモンスターのドロップアイテムを換金した後、とりあえず灰色のローブを購入した。どうやら服や装備は死ぬ直前そのままのようだ。

 

今のベルにわかっている事はただ一つ。7年後には、自分がこの地に訪れるという事だけだ。

だからこそ、ドッペルゲンガー現象を防ぐため、自分の顔や正体はなるべく隠しておく事に決めたのだった。

 

(僕が僕に会うのは流石にまずいよね・・・・・・。なるべくオラリオにいたいけど、時期が迫ったら・・・・・・ううん、今は未来の事を考えても仕方ないよね)

 

今は現状を整理し、情報を集める事が大切だと判断したベルは、オラリオの街を練り歩きながらあちこちを見て回った。

一言で言えば、それはもうひどい有様である。

すれ違う人々・・・・・・冒険者や一般人関係なくその顔は暗く、建物もぼろぼろ。世界で最も熱い都市と称されてたベルの知るオラリオとはあまりにもかけ離れていた。

 

(これが暗黒期・・・・・・こんなにひどかったんだ)

 

他人に聞いた話と自分の目で見たそれとは、やはり格差がある。とんでもない時代に来たなと愉快犯達に文句を言いたくなるベルであるが、言いたくても言う相手がいない。そもそもここが過去である以上、その愉快犯が目の前にいたとしても本人達からすれば未来の自分達がしでかすことなど知る由もないので、それこそベルが頭の痛い子で終わってしまう。

 

(何もしてないのにもう疲れた・・・・・・ホーム、はまだ【アポロン・ファミリア】のものだから・・・・・・)

 

時間も割と夕暮れであることに気づいたベルは、一夜を過ごす場所を考えた。結果・・・・・・

 

「懐かしいなぁ」

 

それはかつて、『竃火の館』を手に入れるまえ、【ヘスティア・ファミリア】のホームという名の廃墟である。

ベルの知る廃墟よりはいくらか綺麗ではあるものの、それでも人が住むべき場所ではない。

 

(というか、ここって教会だったんだ・・・・・・)

 

新事実ではあるが、ベルはそこまで気にしない。そもそも重要なのは地下なのだ。階段降り、地下室の扉を開けてみれば、そこには見覚えのある空間が広がっていた。もっとも、家具などがあるはずもないので全く一緒というわけでもないが、やはり謎の安心感があった。

 

(ベットは・・・・・・流石にないよね)

 

分かりきっていた淡い期待も消え失せた今、ほぼ一文なしのベルは身に纏っていたローブを脱ぎ、それを下にひいてベット代わりにする。もちろん本来の使用用途とは違うため、寝転がった際に感じる地面の感触は気休め程度しか変わらないのだが、それでも少しはマシだ・・・・・・と、言い聞かせて、ベルは眠りについた。

 

それから数時間後・・・・・・地下でぐっすりと熟睡しているベルの知らぬうちに、上の教会では二つの勢力が睨み合っていた。

勢力と言っても、片方はたった一人なのだが。

ベル同様に灰色のローブを纏い、フードを必要以上に深く被っているため露出させているのは口元のみ。ミステリアスというわけではないが、ベル以上に正体を隠す事に力を入れているのはたしかである。

 

対するもう片方の勢力は、全員が武装し、その大多数は訳の分からない仮面を付けている。そして限りなく半裸に近い服装。それは彼等の主神である神ガネーシャの服装に限りなく近く、都市の憲兵と一発でわかる印のようなものでもあった。

 

「逃すと思っているのか、女?」

 

そう言い放つのは、仮面軍団もとい【ガネーシャ・ファミリア】の団長である、シャクティ・ヴァルマだ。女性である彼女は当たり前ではあるが、男団員達とは違い至って普通の戦闘衣を身につけている。普通と言っても、戦闘衣そのものが物珍しい作りをしているのだが、それは置いておく。

 

「捕らえられると思っているのか、小娘?」

 

そう言い返すのは灰色のローブを纏う謎の存在。ドレスのような服にフードから覗かせる灰色の長髪、そして声音から女性だということはわかっているが、それだけだ。にも関わらず、憲兵であるシャクティ達は彼女を取り囲んでいた。理由は簡単。彼女の足元には、白いローブを纏った者達が倒れているからである。それも一人や二人ではなく、二桁の数である。

倒れている者達は闇派閥(イヴィルス)であり一応悪サイドの存在なのだが、それでも灰色ローブの身元がわからない以上、念のために捕縛するつもりなのだ。

 

「お、お姉ちゃんを小娘扱い・・・・・・!?」

 

この緊迫した状況にやや不釣り合いな言葉を口にするのは、シャクティの実妹であるアーディ・ヴァルマだ。彼女の年齢は15、対して姉であるシャクティは・・・・・・深くは言えないがアラサーである。そんな(シャクティ)を小娘と呼ぶことに驚くのはそこまで不思議な話ではない。

 

「ふざけているな、アーディ!全隊、かかれ!!」

 

『おおおおおおおおおぉおっ!!』

 

アーディ本人は至ってふざけているわけではないのだが、状況にそぐわない事は確かである。そんな彼女に軽く一喝を加えたシャクティが、己の部下である団員達にすぐさま指示を出す。

【ガネーシャ・ファミリア】は、オラリオでは上位の力を持つ派閥である。団員の数も多く、団員達の連携力も申し分がない。それはひとえに主神であるガネーシャと団長であるシャクティへの厚い信頼あってのものなのだ。彼等は団長からの指示に従い、素早い動きで目の前の女を捕らえようと動き出す。

 

五月蝿い(ゴスペル)──」

 

しかし、女は更に早かった。鬱陶しそうに詠唱文(ワード)を口にし、音による蹂躙を体現して見せた。

 

『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?』

 

Lv.1や2の団員は当然とし、Lv.3のアーディはおろかLv.4のシャクティでさえなす術なく吹き飛ばされる。

次に彼女達が目を開いた時、既に灰色ローブの女の姿は無かった。

 

 

 

一方その頃

 

 

「すぅ・・・・・・すぅ・・・・・・『五月蝿い』っ!?っっ!?」

 

熟睡から叩き起こされたベルは、心臓をバクバクと言わせると同時に、自分でも何故かわからないが、妙な懐かしさを感じたのだった。

 

 

 

 





質問① この時代に【アポロン・ファミリア】ってありますか?

質問②この時代のシャクティのLv.は5で合ってますか?

マジでわからないので、有識者の方教えてくださいm(_ _)m
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