祝福擬きで行く先を決めたのは間違っていただろうか


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作:刈刈シテキタ刈
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第2話【Dungeon】


 

 

 

 祝福擬きで行く先を決めたのは、間違いだっただろうか。

 

 

 

 身体に纏わり付く海藻を払い除けて起き上がり、褪せ人はそう思う。

 

 【祝福擬き】が指し示す方角を愚直に進んだ果てには、大海原があった。

 そうして、他に通れそうな道も無いので、断崖絶壁から身を投げてみた結果。

 褪せ人が漂着したのは、海の底でも狭間の地でもなく、見知らぬ海岸だった。

 

 「………………」

 

 一先ず、何かめぼしい物は無いのか。褪せ人は周囲を見渡しながら、砂浜から抜け出す。

 しばらくの間歩き続けて、海から程近い丘を登った先。そこで、とある物が褪せ人の視界に映る。

 

 それは、地平線をなぞる要塞めいた石壁。

 

 そして、天高く聳え立つ白亜の塔だった。

 

 小規模な村落などであれば迂回したが、これには一見の価値あり。

 そう判断した褪せ人は、指笛を鳴らしてトレントを呼び出す。

 

 そのまま、褪せ人は左足を鐙に掛けて騎乗し、建造物の方角へと駆け出した。

 

 

 

 彼我の距離が縮まるにつれて、目的の建造物の巨大さが少しずつ顕となる。

 目と鼻の先まで近づけば、それが都市である事が分かった。

 

 そうして、都市の壁に辿り着くと同時に、褪せ人は壁に沿って右折。

 向かう先は、壁の内部に入る為の門ではなく、何も無い筈の地面から空へと舞い上がる風。

 

 【霊気流】。霊馬であるトレントのみに許された、地形を無視するほどの跳躍を可能とする射出装置のようなものだ。

 

 如何なる理由でこのような場所にあるのか。という疑問は不要である。

 そもそも、褪せ人はこの気流の仕組みを理解していないのだから。

 

 一も二も無くそちらに突っ込み地面を蹴れば、上向きの流れに乗ってトレントは急上昇する。

 その跳躍は、都市を取り囲む巨大な石壁の高さを、悠々と越えた。

 

 

 

「──────」

 

 

 

 刹那、褪せ人の視界に飛び込んでくるのは、何処までも続く街並みと人の往来。

 風の音に混じって褪せ人の鼓膜を揺らすのは、人類の栄華を極めたかのような喧騒。

 各々が各々の生を謳歌している光景が、壁の向こう側には広がっていた。

 

 やがて、霊気流による推力は重力に切り替わり、落下が始まる。

 蹄を打ち鳴らしながら壁の上に着地し、褪せ人はトレントから降りた。

 

「………………」

 

 眼下で繰り広げられている営みを狭間の地の住人が見れば、何らかの念を抱かせるかもしれない。それが、明るい憧憬か暗い妬心かはさておき。

 だが、褪せ人にとってこの都市の景色は単なる情報でしかない。狭間の地に関連性が有るか否かを切り分ける為の。

 そのまま、無感動な面持ちで望遠鏡を取り出し、褪せ人はこの都市に住まう人々の観察を始めた。

 

 人間、耳長、寸足らず、混種、褐色肌、子ども。

 

 些細な違いはあれど、彼らの持つ特徴は、只人の域の範囲内。

 

 やたら色白で手足が長かったり、身体中に角が生えていたり、青ざめた蛙のような顔をしていたりもしない。

 手足の生えた蛇だったり、二足歩行の獣だったり、人肉を詰め込んだ壺だったりもしない。

 

 列挙した以外にも狭間の地には多種多様な種族が存在するが、いずれにも合致する者はいなかった。

 この都市に、狭間の地との関連性は無い。必ずしも壁内まで進む必要は無い。というのが、一通り眺めた所感である。

 

 「………………」

 

 なので。ここまでの流れに則って、【祝福擬き】に判断を委ねる事にした。

 地面に放り投げ、褪せ人は待つ。不定形に揺らめく光が指し示す方向は、何処になるのかを。

 

 そして、光跡が伸びた先には。

 

 都市の中心部、白亜の摩天楼。

 

 偽りの導きは、相も変わらず前進をご所望らしい。進行方向が定まると同時に、褪せ人は長尾の黒猫を象ったブローチを身に付ける。

 

「──────」

 

 そして、壁から飛び降りた。そのまま、地面に激突して鮮血の花を咲かせる。

 といった事は無く。褪せ人は鳥の羽のような軽やかさで着地し、何事も無かったかのように立ち上がった。

 

 落下の直前、褪せ人が身に付けたブローチ。それはタリスマンという、装着者に様々な恩恵をもたらす物だ。

 今回身に付けた代物は【長尾猫のタリスマン】。落下の衝撃を完全に殺す効果を有している。

 

「………………」

 

 何はともあれ、壁内への侵入を果たした。だが、問題はここから。

 道を行き交う彼等に視認された瞬間、一斉に襲い掛かって来る可能性がある。

 

 狭間の地は褪せ人を歓迎しなかった。だからといって、狭間の地の外がそうで無いとは限らない。

 はたして、今回はどうなるか。左手の聖印を握り締め、即座に祈祷が発動できるように意識する。

 

 祈祷というのは、狭間の地に君臨していた様々な上位者が自らを信仰する者に与え賜うた御業だ。

 この力を用いて、褪せ人は数多の敵を屠ってきた。尤も、褪せ人が信じ仰ぐのは彼らではなく、彼らが持つ力そのものだが。

 

「………………」

 

 それはそれとして。路地裏から大通りまで出て行くものの。

 褪せ人の警戒を裏切るかのように、人々は何も仕掛けてはこなかった。

 こちらを一瞥もせず、誰も彼もが思い思いの時間を過ごしている。

 

 外敵と認識されなかったのか。外敵を意識する必要が無いほどに平和なのか。

 いずれにせよ、彼等の警戒心が薄かったおかげで、褪せ人は何者に阻まれる事なく摩天楼へと歩を進められた。

 

 

 

 やがて、都市の中心部に近づくにつれて物々しい防具を身に纏い、武器を携えている者が増えてくる。

 

「………………」

 

 褪せ人は推察する。それらが必要となる何かが、行く先に待ち構えているのだろうと。

 

 根拠はこの都市を囲む市壁と、その内側に施された修繕の跡だ。

 これに与えられた役割は、外敵を迎え撃つ為の防壁とは真逆。

 

 何かを封じ込める為の檻のように見える。

 

 そして、その何かが、この都市に栄華を齎しているのだ。そうでなければ、斯様な場所に人が群がる理由など有りはしない。

 

 どこか歪な都市の形態について思考を巡らせている内に、褪せ人の足は目的地である白亜の塔に行き着く。

 人の流れに沿って内部へと侵入すると、武装した人々の行く先には地下へと続く階段があった。

 

「………………」

 

 長旅で培われた勘が告げている。探索すべき場所は、上ではなく下であると。彼等が身に纏う武装の用途は、この先にあるのだと。

 

 今回に関しては、褪せ人は自らの直感に従う事にした。立ち止まる事なく、群衆に紛れ込むようにして進む。

 

 そうして、世界の中心とさえ呼ばれる大都市の、更に中心に位置する白亜の塔の地下深く。

 ダンジョンと呼ばれる迷宮へと、褪せ人は足を踏み入れた。

 

 

 

━━━━━━━━━─────────

 

 

 

 燐光が仄かに暗闇を照らしている。太陽の光が届かない地下であるにも関わらず、一定の明るさが確保された其処に、褪せ人は居た。

 周囲に散らばっているのは、紫紺の石と色なき灰。それは、先程まで戦闘を繰り広げていた怪物達の残骸である。

 

「………………」

 

 腹の裂け目から零れ落ちる臓腑。中途半端に繋がったそれらを、【炎術のロングソード】の根元で切り捨てる。

 そして、左手の聖印で【大回復】を発動し、その傷を癒した。

 

 直感は見事に当たった。褪せ人はこれまでに遭遇した出来事について思案する。

 塔の内部の階段を下った先には広大な迷宮が広がっており、そこは怪物達の巣窟となっていた。

 

 怪物達は迷宮の壁面から産まれ落ちてくる。まるで、雛鳥が卵の殻を破るかの如く。

 現状、その生成に際限は見えて来ない。倒せど倒せど、時間が経てば次が補充されてゆく。

 

 地上を駆け抜けていた時にも度々遭遇していたが、あれらはこの地下世界から産まれ落ち、外に進出してきた個体なのかもしれない。

 

 だからこそ、人々は白亜の塔という蓋を、それを取り囲む石壁を建設したのだろう。

 怪物達を食い止める手段が無ければ、忽ちの内に外へと溢れ出てしまうから。

 

 だが、おそらくは怪物の駆除だけが目的ではない。人々が挙ってこの地下に潜る理由はもう一つある。

 モンスターだった灰の中から紫紺の石を拾い上げ、褪せ人はそれを見つめる。

 

 それは、言うなれば怪物達の核だった。これを喪うと怪物達は形を保てずに灰と化してしまう。

 此処までの道中でも一つとして落ちていなかった事から、価値のある物なのだと褪せ人は推察した。

 

「………………」

 

 そして、この地下世界の特異性はそれだけに留まらない。下へ下へと下る度、その姿を変えていったのだ。そこに出現する怪物達も含めて。

 

 最初は岩肌が張り巡らされた洞窟。ありふれた、誰もが思い描く普遍的な地下世界という様相。

 道中、怪物が湧き出て来ない階層があり、人々の手によって集落めいたものが形成されていた。立ち寄る事もせずに素通りしたが。

 

 次に、木肌が連綿と続く樹洞。多種多様な植物が繁茂する密林めいた空間。

 ここから、毒を攻撃手段とする連中が現れ出した。解毒手段を持ち合わせていなければ、踏破まで相当に手こずっていただろう。

 

 地上に近い上層では、まだ人々の往来は盛んだったが、ここまで来ると閑静なものとなっている。

 

「………………」

 

 これまでの探索を振り返り終えたところで、褪せ人は手にした紫紺の石を再び見つめる。

 そのまま、手に力を込めて砕いた。硝子が割れるかのような甲高い音が響き渡り、紫紺の光が散らばる。

 

 そして、その光は褪せ人の中へと収束し、取り込まれていった。

 これまで、褪せ人が幾度となく他者から奪い取ってきたルーンとして。

 

 この現象が指し示している事実は一つ。

 

 続々と現れる怪物達は祝福されている。

 

 神の如き何者かの手によって。

 

「………………」

 

 しかし、所詮似ているだけの紛い物というのが、褪せ人が抱いた感想だった。

 この紫紺の石に込められた祝福は律されていない。ただ、無秩序な力が混ざり合うばかり。

 大いなる意志や狭間の地に遍く黄金律とは、全くもって無関係である事が伺えたのである。

 

 だからといって引き返す理由も無いので、褪せ人はこれまで通りの歩調で進んでゆく。

 

 褪せ人は、この迷宮に何も求めない。この迷宮に何も欲さない。

 類稀なる強者との戦いも、誰も手にした事の無い秘宝も、地下深くに隠された秘密も。

 【祝福擬き】が指し示したという動機だけで、粛々と進み続ける。

 

 だが、褪せ人は知らない。この地下世界には数え切れぬ人々の思惑が渦巻いている事を。

 渦に足を踏み入れた以上、否が応でもそれに巻き込まれてしまう事を。

 

 褪せ人が立ち去った樹洞の通路にて。

 

 人知れず、暗がりから黒い影が動き出した。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 現在、褪せ人がいる地点は樹洞の終わり際、氷のような結晶に覆われた洞穴の前である。

 奥から吹き込んでくるのは、地上のものとは異なる涼しい風。

 それは、その先に待ち受ける階層の変化を如実に表していた。

 

 洞穴に入り階層と階層の境目である長い下り坂を降りてゆくと、水の音が鼓膜を揺らし始める。

 そして、出口に足を踏み出せば。真っ先に視界に入ってくるのは、轟音と共に凄まじい量の水を吐き出す大瀑布。

 

 細かな水飛沫の向こう側には、谷や崖といった高低差の激しい地形が悠然と佇んでいる。

 更に、広々とした滝壺がこの階層を含めて三つ。階段のように連なっていた。

 

 つまり、この滝は三階層分の長さを有しているのだ。誤って足を滑らせれば、当然ながら死ぬ。そのうえ、死体が浮上するかどうかも怪しい。

 

「………………」

 

 下の層に続く道を、いつになく慎重な足取りで歩く。褪せ人は泳ぐのが苦手だった。足が着かなくなった瞬間に溺れる程度には。

 

 そうして、怪物との接敵と戦闘を何度も繰り返し、褪せ人は最後の滝壺に差し掛かった。

 此処を越えればこの大瀑布は終わり、更なる別世界が待ち受けているのだろうと、これまでの状況から予想する。

 

「………………?」

 

 だが、水煙が漂う湖の岸辺を歩いていると。褪せ人の頭上から小さい土塊が落ちてきた。足を止めて様子を窺う。

 

 刹那、階層全体が揺れる程の地響きが起こった。

 

 壁面に亀裂が走ったと思えば、何かが爆ぜたかのような水音が耳を劈く。

 音の方向へ振り返ると、身の丈を優に越した高さの津波が怒涛の勢いで迫って来ていた。

 

「………………!」

 

 それを見るや否や、褪せ人は直剣を地面に突き立て身を固定。両手両足に力を込めて堪える。咄嗟の判断が功を奏し、激流に飲み込まれずに済んだ。

 

 大空洞が止め処なく氾濫し、辺り一帯が水浸しとなる。波が引くと同時に、褪せ人は口に入った水を吐きながら顔を上げた。

 

 やがて、湖から姿を現したのは、途轍も無い巨躯を誇る怪物。

 

 首周りから背中にかけて生えた結晶。不揃いに伸びた牙。そして、二又に分かれた赤と青の竜頭。

 左右で色彩が異なる二対の眼光は、こちらに対しての害意を湛えている。

 

 双頭の竜が放つ威容を受け、褪せ人は悟った。目の前の存在は、これまでに倒してきた迷宮の怪物達とは一線を画す強大な敵なのだと。

 

 必然、避けては通れない。殺すしかない。

 

『『オオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!』』

 

 左右から二重に響く雄叫びが、開戦の合図。

 

 臨戦態勢に入ると同時に、褪せ人は左手の聖印を握り締める。

 駆け寄って切り付けようにも、戦場は足場の存在しない湖。否が応でも遠距離戦に臨まざるを得ない。

 

「──────」

 

 形成。褪せ人の手の中に、竜の祖、古竜に因る【雷の槍】が呼び出される。

 投擲。迸る稲妻や雷鳴と共に、鋭い軌跡が双頭の竜を穿たんと突き進む。

 

 だが、穂先が対象に到達する直前。

 

 赤鱗が赤い霧状の何かを噴霧する。それは、接触と同時に雷の槍を霧散させた。

 

 続け様に、蒼鱗が唸り声を上げる。口の端から漏れ出た吐息に蒼い火の粉を伴わせながら。

 ブレス。竜種であるのならば、持ち合わせていて当然の攻撃手段。相対する者に滅びを与える、純粋で圧倒的な力。

 

 斯くして、褪せ人の予想は的中した。大きく開かれた顎門から、蒼い炎が堰を切ったかのように放たれる。

 それは、辺り一帯の水気が一瞬で蒸発する程の熱量でこちらに襲い掛かって来た。

 躱し切れないと判断し、褪せ人は再度祈祷を発動。思念に呼応して聖印が発火する。

 

 しかし、迎え撃つ間も無く、ブレスは褪せ人に直撃。炸裂音と同時に、大空洞が蒼に照らし上げられる。

 莫大な熱量の蒼い炎。それは、水の上であろうと轟々と燃え盛り、対象を焼き尽くす。

 

「──────」

 

『───ガアッ!?』

 

 だが、火勢が途切れた瞬間、一筋の稲光が瞬いた。その軌跡は赤鱗の口内を破壊した。

 発射地点には、腕を振り抜いた褪せ人の姿。所々が焼け爛れているものの、尚も健在である。

 

 【火の護りよ】。褪せ人は火を放つのではなく、己の内に取り込んだ。それによって、ブレスの威力を大きく減衰させたのだ。

 呆気に取られている赤鱗に対して、褪せ人は第二射、第三射と雷槍を投げる。それは、鱗を容易く貫通し、肉体を穿った。

 

 やがて、赫怒を示す咆哮が大空洞を揺さぶる。がなりたてる轟音に込められたものは、この身に傷を齎した褪せ人に対する殺意。

 

「………………」

 

 誰も彼もが恐れを成す竜の威圧を平然と受け止めながら、褪せ人は指笛を鳴らす。

 虚空から現れたトレントに跨り発進する。そして、機動戦に移行した。

 

 どのような悪路であろうと、殆ど壁と呼ぶべき傾斜であろうと、足の踏み場さえあれば駆け抜けられる。それほどの走破性を、この駿馬は兼ね備えているのだ。

 

 左手に握る手綱でトレントを駆り、攻撃を躱す。右手に持ち替えた聖印で雷槍を投げ放ち、鱗を貫く。

 そんな工程を淡々と繰り返し、褪せ人は双頭の竜を追い詰めてゆく。

 

 しかし、敵の生命が六割程度に差し掛かった頃合い。

 

 そこに、悪意を持った第三者が介入した。

 

「──────!」

 

 飛び魚。此度の戦場たる巨大湖に棲まうそれは、自らの身体を弾丸とし、トレントの後脚に食らい付いた。

 

 大きく体勢を崩し落馬、慣性に従って派手に転倒。褪せ人は急勾配の岩肌を滑落し、湖の浅瀬まで転がり落ちてゆく。

 

 そのような致命的な隙を、この大瀑布に君臨する竜が見逃す筈もなく。

 赤鱗が自らの頭を金槌のように振り下ろし、褪せ人を叩き潰した。

 何度も、何度も。これまでの鬱憤を晴らすかの如く、執拗に。

 

『オオオオッッ!!』

 

 そして、とどめと言わんばかりに蒼鱗が大きく口を開き、ブレスを吐き出した。

 

「……、……、……」

 

 手足はひしゃげて曲がり、立ち上がれない。臓腑は満遍なく潰れて歪み、呼吸も儘ならない。

 更に、眼前には自らを葬り去らんと滾る業火。完膚なきまでの詰みである。

 だが、荒れ狂う湖の水面とは裏腹に、褪せ人の心は凪いでいた。何度か繰り返せば勝てると思ったから。

 

 そのまま、褪せ人は身じろぎもせず、迫り来る烈火を受け入れる。悲鳴の一つも漏らさずに焼き尽くされる。

 そして、熱風によって舞い上げられた黒い布の切れ端が、人知れず大空洞の暗闇へと消えていった。

 

 

 

 褪せ人は死んだ(YOU DIED)

 

 

 





アンフィス・バエナ、初見撃破ならず。

現在、褪せ人は一切の寄り道もせずにダンジョンへ直行しておりますが、ようやく次回で原作キャラクターが登場する予定です。

読んでいただきありがとうございました。
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