大統領選挙の予定期日を11月29日に控えて、選挙人名簿の準備が進まない。8月初めに発表された「工程表」に従えば、10月22日には「確定版選挙人名簿」が出来ていなければならないのに、その前の段階の「暫定版選挙人名簿」さえまだ公示されていない。となると、これはもう、選挙までにはとても間に合わないと、殆どの人があきらめている。
ところが、「工程表」にはもう一つの日程の流れがあって、それは立候補側の日程である。「工程表」では、「10月16日 立候補締め切り、翌日より立候補資格審査開始」となっている。そして、こちらの方は、きちんと日程どおりに進んでいる。すなわち、立候補受付が始まって、先週末(10月16日)に締め切られた。そして、たくさんの人が、選挙管理委員会に立候補の届を出した。全部でなんと20人。
立候補者の名前は、届け出順に発表されている。ここに一覧してみる。
(1) フェリックス・アコトヤオ: 無所属
(2) アンリ・コナン・ベディエ: 民主党(PDCI)
(3) アダマ・ダイコ: 無所属
(4) ボアニョン・ブレイゲ: 無所属
(5) ガーデニャ・イポリット: 独立自由社会戦線(FSIL)
(6) アナキ・コベナン: 未来勢力運動(MFA)
(7) フランシス・ヴォディエ: 労働党(PIT)
(8) ニャミアン・コナン: 統一党(UPCI)
(9) ティエモコ・ケイタ: 無所属
(10) クアディオ・コナン: 無所属
(11) アベル・ゲデ・ジョゼ: 正統権利党(PIDA)
(12) ナブレ・ヤヤ・クリバリ: 無所属
(13) アラサン・ウワタラ: 共和連合(RDR)
(14) トアケッセ・マブリ: 民主平和連合(UDPCI)
(15) ロラン・バグボ: 人民党(FPI)
(16) ジャクリーヌ・ロウエ=オブレ(女性): 無所属
(17) エノー・アカ・ンドゥバ: 無所属
(18) ゴバ・ダヴィド: 無所属
(19) アンリ・トフ: 国民社会党(USP)
(20) パスカル・タグア: 無所属
以上である。大統領選挙は、主要な3人の間で、つまり(2)ベディエ元大統領、(13)ウワタラ元首相、(15)バグボ大統領、の間で争われることは、もう初めから分かっている。だから、それ以外の人は、大統領に選ばれる可能性は限りなくゼロであるけれども、立候補して論戦に加わろうという、その意気や良し。それにしても、様々な政党があるものである。幾人かの候補者については、けっこう面白い背景がある。
(7)フランシス・ヴォディエは、労働運動の闘士として有名である。ウフエボワニ大統領の頃に、何度も投獄された。そして、ベディエ大統領の時代になって、政権側に入り、1998年から高等教育相を務めている。彼が党首を務める「労働党」は、党大会なども行う、かなりちゃんとした政党のようである。ヴォディエ党首は、最近も新聞各紙で、他の政党の批判などを繰り広げており、国民への知名度も高い。
続いて、バグボ、ベディエ、ウワタラの3候補の陣営にいるはずだったのに、独自に立候補した人々がいる。この人たちは、それぞれ3巨頭の親分に、堂々と盾突いているわけである。
(1)フェリックス・アコトヤオは、前はベディエ大統領の民主党(PDCI)の幹部だった。また、(15)のジャクリーヌ・ロウエ=オブレは、唯一の女性候補で、彼女はウワタラ前首相の共和連合(RDR)に所属し、ウワタラ首相の内閣で司法相を務めていた。(6)アナキ・コベナンに至っては、人民党(FPI)をバグボ大統領とともに創設した重鎮である。そして、2006年までバグボ大統領のもとで、運輸相を務めていたのである。その彼が、バグボ大統領に対抗して立候補している。
バグボ、ベディエ、ウワタラの3候補の、どの陣営も支持することができない人々もいる。それは、ゲイ将軍の一派である。ゲイ将軍は、1999年12月のクーデタで政権を取ったのに、2000年の選挙で敗れ、さらに2002年の反乱が起こった時に殺された。ゲイ将軍が出身の、リベリアやギニアとの国境近くの地域の西部地域の人々は、ゲイ将軍を殺した中央に反感を持って、独自の政党である「民主平和連合(UDPCI)」を結成した。(14)トアケッセ・マブリは、その民主平和連合の党首である。そして、マブリ党首とは別に、ゲイ将軍の顧問であった(5)ガーデニャ・イポリットも、独自に立候補した。
ちょっと番外というか、タレント候補というか、まあ本来は政治と縁がないのに立候補している人々もいる。
(4)ボアニョン・ブレイゲは、1969年生まれ。キックボクシングの元世界チャンピオンである。お隣のリベリアでも、サッカー選手が大統領選挙に立候補して、もう少しで勝ちそうなほど善戦したから、全く見当外れの立候補だというわけではないかもしれない。
極めつけは、(3)アダマ・ダイコ。1968年生まれの、当代きっての漫談家である。以前に、学校給食の式典で日本車の小話を披露してくれたのは、この人であった。彼は毎年、アビジャンの文化会堂を借り切って、お笑い全国大会を催している。そして、「冗談党(Parti Doromikan)」という党を設立、半分不真面目、半分本気の政治風刺を続けている。
さて、バグボ大統領は、なかなか立候補届を出さず、世間をやきもきさせた。一時は、人民党の中で、バグボ大統領ではない人を推す一派があって、もめているのではないか、という噂さえ立った。でも、最終日になって、ちゃんと選挙管理委員会に現れた。それだけでなく、翌日(10月17日)の「友愛朝報」の裏表紙に、堂々と全面広告を出して「私は立候補する」と派手に立候補宣言である。ほかの立候補者はこんな広告など出していないのに、現職大統領だけはこういう扱いとなると、これは少しずるい気がする。
このように、大統領選挙の実現自体は、だんだん遠のきつつあるなかで、立候補者だけは多彩な面々が集まった。これから、この人たちの立候補資格について、憲法院が審査を開始し、月末(10月28日)に審査結果が発表される。もし選挙の延期が決定されないと、選挙運動に突入するという段取りになる。
たとえ投票日が延期されたとしても、もう立候補は締め切られたわけだから、候補者が並んだまま、あとは選挙活動期間が始まるのを、ただひたすら待つということになるのだろうか。何となく変だけれど、ともかくも、大統領選挙に向けてもう一段、引っ込みがつかないところまで進んだ、ということは言えそうだ。
ところが、「工程表」にはもう一つの日程の流れがあって、それは立候補側の日程である。「工程表」では、「10月16日 立候補締め切り、翌日より立候補資格審査開始」となっている。そして、こちらの方は、きちんと日程どおりに進んでいる。すなわち、立候補受付が始まって、先週末(10月16日)に締め切られた。そして、たくさんの人が、選挙管理委員会に立候補の届を出した。全部でなんと20人。
立候補者の名前は、届け出順に発表されている。ここに一覧してみる。
(1) フェリックス・アコトヤオ: 無所属
(2) アンリ・コナン・ベディエ: 民主党(PDCI)
(3) アダマ・ダイコ: 無所属
(4) ボアニョン・ブレイゲ: 無所属
(5) ガーデニャ・イポリット: 独立自由社会戦線(FSIL)
(6) アナキ・コベナン: 未来勢力運動(MFA)
(7) フランシス・ヴォディエ: 労働党(PIT)
(8) ニャミアン・コナン: 統一党(UPCI)
(9) ティエモコ・ケイタ: 無所属
(10) クアディオ・コナン: 無所属
(11) アベル・ゲデ・ジョゼ: 正統権利党(PIDA)
(12) ナブレ・ヤヤ・クリバリ: 無所属
(13) アラサン・ウワタラ: 共和連合(RDR)
(14) トアケッセ・マブリ: 民主平和連合(UDPCI)
(15) ロラン・バグボ: 人民党(FPI)
(16) ジャクリーヌ・ロウエ=オブレ(女性): 無所属
(17) エノー・アカ・ンドゥバ: 無所属
(18) ゴバ・ダヴィド: 無所属
(19) アンリ・トフ: 国民社会党(USP)
(20) パスカル・タグア: 無所属
以上である。大統領選挙は、主要な3人の間で、つまり(2)ベディエ元大統領、(13)ウワタラ元首相、(15)バグボ大統領、の間で争われることは、もう初めから分かっている。だから、それ以外の人は、大統領に選ばれる可能性は限りなくゼロであるけれども、立候補して論戦に加わろうという、その意気や良し。それにしても、様々な政党があるものである。幾人かの候補者については、けっこう面白い背景がある。
(7)フランシス・ヴォディエは、労働運動の闘士として有名である。ウフエボワニ大統領の頃に、何度も投獄された。そして、ベディエ大統領の時代になって、政権側に入り、1998年から高等教育相を務めている。彼が党首を務める「労働党」は、党大会なども行う、かなりちゃんとした政党のようである。ヴォディエ党首は、最近も新聞各紙で、他の政党の批判などを繰り広げており、国民への知名度も高い。
続いて、バグボ、ベディエ、ウワタラの3候補の陣営にいるはずだったのに、独自に立候補した人々がいる。この人たちは、それぞれ3巨頭の親分に、堂々と盾突いているわけである。
(1)フェリックス・アコトヤオは、前はベディエ大統領の民主党(PDCI)の幹部だった。また、(15)のジャクリーヌ・ロウエ=オブレは、唯一の女性候補で、彼女はウワタラ前首相の共和連合(RDR)に所属し、ウワタラ首相の内閣で司法相を務めていた。(6)アナキ・コベナンに至っては、人民党(FPI)をバグボ大統領とともに創設した重鎮である。そして、2006年までバグボ大統領のもとで、運輸相を務めていたのである。その彼が、バグボ大統領に対抗して立候補している。
バグボ、ベディエ、ウワタラの3候補の、どの陣営も支持することができない人々もいる。それは、ゲイ将軍の一派である。ゲイ将軍は、1999年12月のクーデタで政権を取ったのに、2000年の選挙で敗れ、さらに2002年の反乱が起こった時に殺された。ゲイ将軍が出身の、リベリアやギニアとの国境近くの地域の西部地域の人々は、ゲイ将軍を殺した中央に反感を持って、独自の政党である「民主平和連合(UDPCI)」を結成した。(14)トアケッセ・マブリは、その民主平和連合の党首である。そして、マブリ党首とは別に、ゲイ将軍の顧問であった(5)ガーデニャ・イポリットも、独自に立候補した。
ちょっと番外というか、タレント候補というか、まあ本来は政治と縁がないのに立候補している人々もいる。
(4)ボアニョン・ブレイゲは、1969年生まれ。キックボクシングの元世界チャンピオンである。お隣のリベリアでも、サッカー選手が大統領選挙に立候補して、もう少しで勝ちそうなほど善戦したから、全く見当外れの立候補だというわけではないかもしれない。
極めつけは、(3)アダマ・ダイコ。1968年生まれの、当代きっての漫談家である。以前に、学校給食の式典で日本車の小話を披露してくれたのは、この人であった。彼は毎年、アビジャンの文化会堂を借り切って、お笑い全国大会を催している。そして、「冗談党(Parti Doromikan)」という党を設立、半分不真面目、半分本気の政治風刺を続けている。
さて、バグボ大統領は、なかなか立候補届を出さず、世間をやきもきさせた。一時は、人民党の中で、バグボ大統領ではない人を推す一派があって、もめているのではないか、という噂さえ立った。でも、最終日になって、ちゃんと選挙管理委員会に現れた。それだけでなく、翌日(10月17日)の「友愛朝報」の裏表紙に、堂々と全面広告を出して「私は立候補する」と派手に立候補宣言である。ほかの立候補者はこんな広告など出していないのに、現職大統領だけはこういう扱いとなると、これは少しずるい気がする。
このように、大統領選挙の実現自体は、だんだん遠のきつつあるなかで、立候補者だけは多彩な面々が集まった。これから、この人たちの立候補資格について、憲法院が審査を開始し、月末(10月28日)に審査結果が発表される。もし選挙の延期が決定されないと、選挙運動に突入するという段取りになる。
たとえ投票日が延期されたとしても、もう立候補は締め切られたわけだから、候補者が並んだまま、あとは選挙活動期間が始まるのを、ただひたすら待つということになるのだろうか。何となく変だけれど、ともかくも、大統領選挙に向けてもう一段、引っ込みがつかないところまで進んだ、ということは言えそうだ。
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