就職おめでとうございます。共に業界を盛り上げていきましょう。
コード以外で書くものと言ったらDD(デザインドキュメント)がもっぱら多いです。要するに基本設計書です。しかし、重要なのは業界に渡って「設計書」の指す内容には明確な合意や基準がないという事です。つまり僕のいう基本設計書があなたの会社での標準的な基本設計書ではないでしょうし、どちらが優れているという話でもありません。
人間の脳は有限なので叩き込んでおけるソースコードの量は限度があります(その限度に10倍以上の個人差があるのも事実ですがそれはそれで置いておきます)しかし、プロジェクト全体像を頭に収めておかなくてはならない立場の人間は必ずいます(大抵管理職)。Googleの場合はプロジェクト内の人間は全員プログラミングの心得がある前提で動いているので、書かれるドキュメントはプログラミングの心得がある人に向けて「普通のプログラマ感覚から見たらこの辺が要所になるであろう」という箇所、例えば素直に書こうと思うと苦労する場所とか、非直感的な勘所とか、単純にデカすぎるのでその概形を示すとか、そういう点にフォーカスを当てて書くことが多くて逆に誰が書いても同じようにしかならない細部は言及すらされません。そうして書かれるドキュメントは自分が書いてない範囲のコードを理解する必要に駆られたプログラマを想定している物ですから問題の形に合わせて柔軟なフォーマットで自由作文していますしおよそブログといっても差し支えないものかもしれません。ただしGoogle Docs上で書いていて、チームメンバーが相互に編集者コメントをつけてそのスレッド上で議論がドバドバと長引く事もあるので英語ネイティブではない僕には残念ながら心理負荷は高いです。かといってせっかく書いたのにコメントの一つも付かないと読んでもらえてないかなという寂しい気持ちになることもあります。
あと、チームで開発する以上は自分の書くコードはあらかじめチーム内で合意が取られたものであって当然なので、まとまった量のコードを書く前には常に「こういう方向でやっていこうと思いますヨロシク!」みたいな感じでドキュメントを書いてコードを書くたびにわかった事実に基づいて適宜修正するスタイルでやっています。
Googleが具体的にどういうドキュメンテーションをしているかというのは文化的な背景まで踏まえたほうがよくわかると思いますし、Googleのソフトウェアエンジニアリングという本の10章ではまるごとドキュメンテーションについて章を割いて説明しています。これが絶対の答えであるとも各社真似するべきであるとも思いませんが、参考の一つにはなると思います。
https://www.oreilly.co.jp/books/9784873119656/
Googleの現役ソフトウェアエンジニアたちが、超大規模ソフトウェアの開発と保守を長期的に支えてきたGoogle社内の多様なベストプラクティスを、文化、プロセス、ツールの側面からこの一冊に凝縮。時間と変化、規模と成長、トレードオフとコストという3つの基本原理に沿って、コードを持続可能にする方法論を紐解きます。「謙虚、尊敬、信頼」、心理的安全性、ダイバーシティとインクルージョンなど公正を重んじる文化から、コードレビューやテスト構成法など人間の行動を規定するプロセス、継続的インテグレーションや大規模変更システムなど変化への対応を支援する自動化ツールの基盤技術まで、Googleが試行錯誤を経て獲得した教訓を余すところなく紹介しています。経済学、心理学、マネジメント論などを背景にした人間への深い洞察をふまえ、データ駆動かつトレードオフから導かれる、定量的かつ定性的な決定プロセスも解説。Googleの成長力の源泉を理解でき、得られる知見は、学生から組織の意思決定者、小規模スタートアップからデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指す大企業まで、幅広く活用できます。
www.oreilly.co.jp
何が非自明な要点なのかというのは全然基準がないのですが、プログラムの設計についてチーム内でチャットが盛り上がった場合、そのレスの応酬の果ての結論はドキュメントする価値があることが多いです。なぜなら非自明だからこそチャットが盛り上がったのですから。
質問の内容に立ち戻って「どういったものが普通なのか」という観点でいうと僕は正直な所知らないです。僕のいたNTTとGoogleの間で違うところが多すぎますし2社の例で全部を語る事はできないからです。「どういったものが効率的なのか」というのは読む人次第です。例えば非プログラマな管理職に向けて予算配分やスケジューリングの意思決定の手助けになるようなドキュメントを書かなくてはならない場合、それはGoogleで書いているのとは違うフォーマットが効率的である事は間違いないからです。