新幹線は「無法地帯」なのか? 多国籍トラブル急増の現実、不正占拠・特大荷物と性善説の壁――解決策はあるのか
指定席混乱の構造問題
新幹線の指定席を購入しても座れない──そんな体験談がSNSで拡散され、利用マナーや制度運用をめぐる議論が広がっている。 【画像】これが「勝ち組」? 第15回「結婚したい企業ランキング」を見る!(計10枚) 筆者(高山麻里、鉄道政策リサーチャー)は東海道新幹線「S Work Pシート」の頻繁な利用者だ。座席が広めで快適なためか、何も知らずに着席する外国人に何度も遭遇している。そのたびに、自席であることや7号車の性質を英語で説明せざるを得ない。 さらに出張中の車内では、車両前後の荷物スペースにおける無断使用、ルールを理解せずに座席を占拠する旅行者への注意など、秩序の乱れが目につく。乗務員の存在感も薄く、同乗している警備員の役割が見えにくいのが実情だ。 これらの単発トラブルが積み重なれば、現行の運用体制の綻びが表面化しかねない。公共交通の現場では、治安維持の観点から制度設計の見直しが求められている。 問われているのは、 ・秩序 ・ルール をどう守るかという基本的な姿勢だ。本稿では、新幹線の快適性と安全性を両立させるために、今後あるべき制度や運用体制を考察する。
新幹線マナーの限界点
筆者が主に利用するのは東海道・山陽新幹線だ。車掌による車内アナウンスに耳を傾ければ、今どんな問題が起きているかは概ね察しがつく。 近年、車内トラブルの“3大課題”とされるのは、 ・特大荷物スペースの無断使用 ・指定席の不正占拠 ・貴重品の盗難 である。混雑時には、空いている席に荷物を置く乗客や、勝手に席を移動する例も多い。インバウンドの増加にともない、トラブルも多国籍化している。文化の違いという説明もあるが、 「郷に入れば郷に従え」 は公共交通の基本である。日本の新幹線を使う以上、そのルールに従う必要がある。 実際、グリーン車・テレワーク車両・一般車両の違いがわからない、特大荷物スペースが予約制と知らない、大声で飲食をする──そうした行為は日常的に見られる。 外国人旅行者の受け入れを重視する政策は、国家戦略として推進されてきた。その是非が問われる段階に入りつつある。何より、新幹線が前提としてきた秩序モデルが崩れつつあることは否定できない。 東海道新幹線だけでも、年間利用者数は1億人を超える巨大輸送システムだ。文化やマナーのギャップは、もはや一部の問題ではない。だが、誰がそれを是正し、秩序を保つのか。その責任の所在が曖昧なままであることが、根本的な課題となっている。