投資商品「みんなで大家さん」に異変…配当支払い遅延を通知 成田開発の現況は? 出資者は「覚悟」

2025年8月2日 06時00分 有料会員限定記事
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 多数人で出資し合い、不動産物件を共同で所有・運営する不動産投資商品「みんなで大家さん」を巡り、成田空港近くの大規模開発事業について、運営企業が出資者に対し、分配金(配当)の支払いが遅れると通知したことが関係者への取材で分かった。出資残高は今年3月末時点で約1500億円に上るとみられ、影響が広がりそうだ。(井上真典) 

◆計画の2.3%しか進んでいない開発 2021年3月末完了の予定が

開発工事が遅れている45万平方メートルの事業地。上方は成田空港=7月23日、千葉県成田市で、本社ヘリ「あさづる」から(石橋克郎撮影)

 投資商品「みんなで大家さん」は、時代劇に似せたテレビCMで高齢者を中心に出資者を募ってきた。運営企業「都市綜研インベストファンド」(ファンド社・大阪市北区)が、取得した不動産を賃貸し、賃料収入を出資者に分配する仕組みになっている。
 成田空港北西の開発事業は、東京ドーム約10個分に相当する約45万平方メートルが対象。ファンド社は商業や宿泊施設などを建設する計画で、用地を資本関係のある開発業者に賃貸している。1口100万円から出資を募り、出資者には年間7%の想定利回りで2カ月に1回配当が出ていた。
 しかし、実際の開発工事は進んでいない。東京新聞が千葉県や成田市への情報公開請求で入手した資料によると、ファンド社の親会社が2019年10月、成田市から用地の開発許可、千葉県から農地転用許可を得て、造成工事を始めた。完了時期は当初、2021年3月末としていたが、3度にわたって延長を申請。4年8カ月の遅れが出ている。今年1月時点の進捗(しんちょく)状況は土木工事が8割ほど終わったが、プロジェクト全体では2.3%にとどまっている。

◆ファンド社に説明を求めたら「営業上の機微情報で差し控える」

 大阪府と東京都は昨年6月、計画変更の際に出資者らに十分な説明を怠ったとして、ファンド社などに一部事業の営業停止を命じていた。
 ファンド社は東京新聞の取材に、配当が遅延した理由を「行政処分後、風説・風評で開発事業者の資金確保に悪影響があったため」と説明。成田での開発事業の出資者数や総額などの詳細については「営業上の機微情報で差し控える」とした。
 関連会社を巡る民事訴訟の資料などによると、同社への出資者は昨春時点で約3万8000人超で出資総額は約2000億円。行政処分の影響などで解約申請が増加し、昨年度に延べ約4500人に対して計約120億円の返金に応じたとみられる。
   ◇  ◇

◆「名前の売れている商品だしちゃんとした事業だと…」

 約1500億円を集めたとされる大型の不動産投資商品の先行きが、不透明になってきた。配当金の遅延通知を受け取った出資者は、投資商品「みんなで大家さん」の運営側への不信感を募...

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