昨年元日の能登半島地震後、奥能登4市町で正規雇用されていた行政職員の退職者が計102人に上ることが31日、各自治体への取材で分かった。家屋の被災や生活環境の変化に伴って奥能登以外に移ったケースが大半とみられる。公立病院に勤めていた正規採用の看護師も計96人が離職。各市町は募集を続けているが、深刻化する人手不足が復興の足かせになる可能性がある。
4市町はいずれも、退職理由などの追跡調査は行っていないものの、若い職員ほど被災地外での生活を選んだ人が多いとみられる。
3月末で能登町を辞めた30代の男性は、妻子とともに石川県内の別の自治体に引っ越した。余震への恐怖や、児童生徒数の減少による部活動の縮小、学校再編による教育環境の変化を考えて決断したという。
北國新聞社の取材にこの元職員は「本当は辞めたくなかった。でも、家族のこれからを考えると仕方ない」と胸の内を吐露する。
被災地では、復旧復興に関する事業のほか、被災者の見守りなど自治体職員の業務量は震災前から大きく増加。職員数の減少がそうした取り組みの遅れにつながる恐れが出ている。各市町は定年者の再任用を増やすとともに、採用での対策として、公務員経験者の優遇、年齢上限の引き上げ、年間通しての受け付けなどを実施し、人員の補充を進めている。
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