今さら「南京事件は捏造」、批判する人は「非国民」… 政治家が、主義主張で「日本人」を選別してしまう怖さ

2025年8月1日 06時00分 有料会員限定記事
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 7月の参院選で初当選した参政党の初鹿野裕樹氏(神奈川選挙区)が参院選前の6月、Xで旧日本軍による南京事件を否定する書き込みをしていたことに交流サイト(SNS)などで批判が広がっている。初鹿野氏は参院選の街頭演説で、抗議する人らに向かい「非国民」とも発言していた。(森本智之)

参政党の初鹿野裕樹氏が6月18日にXに投稿した南京大虐殺をめぐる主張(スクリーンショット)

◆虐殺があったことは日本政府も公式に認めている

 初鹿野氏は6月18日付のXの投稿で「捏造(ねつぞう)された南京事件」「南京大虐殺が本当にあったと信じている人がまだいるのかと思うと残念でならない」などとつづっている。
 今夏、「南京事件 新版」(岩波新書)を出版した都留文科大の笠原十九司(とくし)名誉教授(中国近現代史)は「推定される被害者数に幅はあるが、虐殺があったこと自体は、学問的には当たり前の定説で、とっくに片が付いている。日本政府も公式に認めている」と批判する。
 日中両国政府による「日中歴史共同研究」の日本側の報告書(2010年)は「日本軍による集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強姦、略奪や放火も頻発した」と認定している。被害者数は中国側の見解で「30万人以上」、日本側の研究では「20万を上限として、4万人、2万人と様々な推計がなされている」などと両論併記している。この報告書は外務省のホームページ(HP)で読める。これを踏まえ、外務省はHPで「非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない」と説明している。

◆事件を否定する政治家は過去にも

 笠原氏は「被害者の推計に幅があるのは、事件当時の記録や資料にどうしても限りがあるから。この点をもって『事件はなかった』とするデマは1980年代ごろからずっと続いていた。そのたびに反論し打ち負かしてきたが、第2次安倍政権(20...

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