科目:地理
(第二問)次の文章を読んで、問いに答えなさい。
「賞賛され、羨望され、あるいは恐れられ、模倣され、神話化されている日本。その日本は、かつて騒音を立てながら20世紀を迎えたことを思えば、今はそれに比べて随分気力を失った様子で、21世紀を歩み出した。
日の出ずる国、世界第二の経済大国は、いわゆる「失われた十年」をやり過ごしたばかりである。1990年代初頭からのこの時期を通じて、日本モデルは息切れしてしまった。かつては、輸出戦争の最強兵器であった日本の産業も、生産拠点の中国への移転を、余儀なくされている。
その状況が変わり始めている。例えば、日産はルノーにより買収されたが、その大なたをふるった改革を経て、ルノーは日産の売り上げを復活した。日本の経済は、引き続き活発な消費に支えられ、購買力は全く衰えない。失業率は5%前後で留まっており、人口の高齢化もまだその悪影響が出てくるようには思えない。
日本の青少年たちは、彼らの先輩達が受け入れてきた社会のしがらみを、もう窮屈なものと見つつある。もっと自由に、もっとおおっぴらにやっていきたいと、考えている。日本の底力は、何でもうまく適応する能力にある。時には難しく、あるいは時間がかかっても、外の世界や動きに適応する能力である。」
(パトリス・ドゥベール筆、ルモンド紙月刊資料2004年11月号記事)
質問1:文章の大意を要約せよ。
質問2:「かつては、輸出戦争の最強兵器であった日本の産業も、生産拠点の中国への移転を、余儀なくされている。」の部分について、説明せよ。
質問3:「日本の底力は、何でもうまく適応する能力にある。」という筆者の意見に賛同するかどうかを述べよ。
********
コートジボワールの学期は、9月に始まって6月に終わる。フランスなどと同じだ。それで、6月の授業が終わった後、7月は試験である。今年も7月の第二週に、高校卒業資格試験、いわゆるバカロレアが行われた。
試験の後、問題が公表された。その問題を見ると、地理の学科で、日本のことが取り上げられていた。なかなか良くできた質問である。日本のここ数十年の経済の変化を叙述した、分かりやすいいい文章を題材に取り上げ、日本についての知識だけではなくて、日本をとおして中国の台頭についての理解も必要である。日本人の私たちにも、けっこう難しい質問かもしれない。私だったら、どう答えるだろうか。「適応する能力」ももちろんながら、日本には「時代の先端を行く能力」もあるのですよ、と答えようか。
コートジボワールの高校生が、もし欧米のことばかり勉強していたのなら、おおいに反省しただろう。出題した先生方は、これからはアジアにも目を向けよう、という気持ちを込めたのかもしれない。この問題を見て、日本のことをもっと知ろうという生徒たちが、これから出てくるかもしれない。大使として、大使館として、そういう要望が出てきたら応えられるようにしよう。
さて、受験生たちがどういう答えを書いたのか。皆、いい点が取れていたらよいのだが。そして私は、何より出題した先生に、百点満点をあげたいと思ったのだ。
(第二問)次の文章を読んで、問いに答えなさい。
「賞賛され、羨望され、あるいは恐れられ、模倣され、神話化されている日本。その日本は、かつて騒音を立てながら20世紀を迎えたことを思えば、今はそれに比べて随分気力を失った様子で、21世紀を歩み出した。
日の出ずる国、世界第二の経済大国は、いわゆる「失われた十年」をやり過ごしたばかりである。1990年代初頭からのこの時期を通じて、日本モデルは息切れしてしまった。かつては、輸出戦争の最強兵器であった日本の産業も、生産拠点の中国への移転を、余儀なくされている。
その状況が変わり始めている。例えば、日産はルノーにより買収されたが、その大なたをふるった改革を経て、ルノーは日産の売り上げを復活した。日本の経済は、引き続き活発な消費に支えられ、購買力は全く衰えない。失業率は5%前後で留まっており、人口の高齢化もまだその悪影響が出てくるようには思えない。
日本の青少年たちは、彼らの先輩達が受け入れてきた社会のしがらみを、もう窮屈なものと見つつある。もっと自由に、もっとおおっぴらにやっていきたいと、考えている。日本の底力は、何でもうまく適応する能力にある。時には難しく、あるいは時間がかかっても、外の世界や動きに適応する能力である。」
(パトリス・ドゥベール筆、ルモンド紙月刊資料2004年11月号記事)
質問1:文章の大意を要約せよ。
質問2:「かつては、輸出戦争の最強兵器であった日本の産業も、生産拠点の中国への移転を、余儀なくされている。」の部分について、説明せよ。
質問3:「日本の底力は、何でもうまく適応する能力にある。」という筆者の意見に賛同するかどうかを述べよ。
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コートジボワールの学期は、9月に始まって6月に終わる。フランスなどと同じだ。それで、6月の授業が終わった後、7月は試験である。今年も7月の第二週に、高校卒業資格試験、いわゆるバカロレアが行われた。
試験の後、問題が公表された。その問題を見ると、地理の学科で、日本のことが取り上げられていた。なかなか良くできた質問である。日本のここ数十年の経済の変化を叙述した、分かりやすいいい文章を題材に取り上げ、日本についての知識だけではなくて、日本をとおして中国の台頭についての理解も必要である。日本人の私たちにも、けっこう難しい質問かもしれない。私だったら、どう答えるだろうか。「適応する能力」ももちろんながら、日本には「時代の先端を行く能力」もあるのですよ、と答えようか。
コートジボワールの高校生が、もし欧米のことばかり勉強していたのなら、おおいに反省しただろう。出題した先生方は、これからはアジアにも目を向けよう、という気持ちを込めたのかもしれない。この問題を見て、日本のことをもっと知ろうという生徒たちが、これから出てくるかもしれない。大使として、大使館として、そういう要望が出てきたら応えられるようにしよう。
さて、受験生たちがどういう答えを書いたのか。皆、いい点が取れていたらよいのだが。そして私は、何より出題した先生に、百点満点をあげたいと思ったのだ。
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