7月14日というと、フランスの革命記念日。1789年のこの日、バスチーユ監獄が民衆の手に落ちて、フランス革命が始まった。今日、この日はフランスの国祭日と定められ、世界各地のフランス大使館で、盛大な祝賀レセプションが開かれる。コートジボワールでも、もちろんである。そして、コートジボワールでの革命記念日は、世界各地に比べて特別である。なんと、軍事パレードがあるのだ。
朝8時からの開始ということで、早朝から身づくろいして出かけたのは、アビジャン空港の隣に広がる、フランス駐留軍の基地である。といっても、ここに長年駐留してきた第43海兵大隊は、先月に撤収していない。今年この行事を行うのは、「リコルヌ部隊」として駐留を継続するフランス軍である。最盛期には5千人を数えた兵員規模は、いまや千人を切っている。
基地の中心にある広場に、リコルヌ部隊が整列している。中心にあるセンターポールには、掲揚を待つフランスとコートジボワールの三色旗が、兵員にうやうやしく担がれている。アマニ・ヌゲサン国防相が車列で到着、フランス大使と並んで会場に入ると、式典が始まった。
号令のもとに、整列するリコルヌ部隊が威儀を正す。両国国歌が流れて、国旗が高々と掲揚される。巨大な国旗が二つ、空にはためく。次いで、リコルヌ部隊の司令官が、音楽に合わせてゆっくりと、整列した部隊員を閲兵する。国家も音楽も、録音したものを流している。
「あれ、昨年は軍楽隊だったのに。」
と、隣に座っている、もう何年もここに勤務する某大使が私に囁く。第43海兵大隊が撤収すれば、もはや軍楽隊もいない。
勲章の授与があり、殉職者への献花があり、ひととおりの行事が済むと、いよいよ軍事パレードである。整列していた部隊が、号令とともに歩調をそろえて私たちの目の前を行進する。空には爆音がして、軍用ヘリコプターが飛んでいる。なにやら機体にロープでぶら下がっているのは、レンジャーの兵員たちだ。
兵員の行進に続いて、軍用車両が登場。水陸両用車が車列を作って目の前を通り過ぎる。お尻にスクリューが付いている。アビジャンは、湖沼の入り組んだ地形だから、陸を走ってそのまま水に入ればモーターボートのようになるこうした車両は、さだめし実用的だろう。次に、装甲兵員輸送車が続く。大きな鉄の箱に、大きなタイヤが6つ並ぶ。暴動などが起こったら、乱暴な人々をかき分けて兵員を動員する。これも実用的だ。
続いて、大きな大砲を乗せた、自走砲車両が登場。戦車に似ているけれど、タイヤで走る軍用車両である。これは実用的だろうか、この大砲で、いったい何を攻撃するというのだろうか。コートジボワール軍の軍隊を攻撃することがありうる、とでもいうのだろうか。
「まあ、必ずしも無用の長物というわけでもなくて、威厳ですかね。戦車がないと、軍としては弱そうに見えますからね。」
と、隣の某大使。
とはいえ、千人を切った軍は、もうあまり強そうではなかった。リコルヌ部隊は、コートジボワールが危機脱出を目指すにあたって、フランスとして国連軍を支援するために駐留する。大統領選挙を行ってコートジボワールの政治が正常化すれば、存在意義がなくなって、これも撤収するということだ。今年の11月に、その大統領選挙が実施されれば、少なくとも規模はさらに縮小されるであろう。
「この伝統ある軍事パレードも、今年が最後ですかね。」
隣の某大使がつぶやいた。11月29日に大統領選挙が無事に行われるなら、リコルヌ部隊も撤収し、来年の革命記念日は、軍事パレードが無くなって寂しくなるかもしれない。しかし、それがこの国の正常化を意味するのならば、おおいに歓迎したいと思う。
朝8時からの開始ということで、早朝から身づくろいして出かけたのは、アビジャン空港の隣に広がる、フランス駐留軍の基地である。といっても、ここに長年駐留してきた第43海兵大隊は、先月に撤収していない。今年この行事を行うのは、「リコルヌ部隊」として駐留を継続するフランス軍である。最盛期には5千人を数えた兵員規模は、いまや千人を切っている。
基地の中心にある広場に、リコルヌ部隊が整列している。中心にあるセンターポールには、掲揚を待つフランスとコートジボワールの三色旗が、兵員にうやうやしく担がれている。アマニ・ヌゲサン国防相が車列で到着、フランス大使と並んで会場に入ると、式典が始まった。
号令のもとに、整列するリコルヌ部隊が威儀を正す。両国国歌が流れて、国旗が高々と掲揚される。巨大な国旗が二つ、空にはためく。次いで、リコルヌ部隊の司令官が、音楽に合わせてゆっくりと、整列した部隊員を閲兵する。国家も音楽も、録音したものを流している。
「あれ、昨年は軍楽隊だったのに。」
と、隣に座っている、もう何年もここに勤務する某大使が私に囁く。第43海兵大隊が撤収すれば、もはや軍楽隊もいない。
勲章の授与があり、殉職者への献花があり、ひととおりの行事が済むと、いよいよ軍事パレードである。整列していた部隊が、号令とともに歩調をそろえて私たちの目の前を行進する。空には爆音がして、軍用ヘリコプターが飛んでいる。なにやら機体にロープでぶら下がっているのは、レンジャーの兵員たちだ。
兵員の行進に続いて、軍用車両が登場。水陸両用車が車列を作って目の前を通り過ぎる。お尻にスクリューが付いている。アビジャンは、湖沼の入り組んだ地形だから、陸を走ってそのまま水に入ればモーターボートのようになるこうした車両は、さだめし実用的だろう。次に、装甲兵員輸送車が続く。大きな鉄の箱に、大きなタイヤが6つ並ぶ。暴動などが起こったら、乱暴な人々をかき分けて兵員を動員する。これも実用的だ。
続いて、大きな大砲を乗せた、自走砲車両が登場。戦車に似ているけれど、タイヤで走る軍用車両である。これは実用的だろうか、この大砲で、いったい何を攻撃するというのだろうか。コートジボワール軍の軍隊を攻撃することがありうる、とでもいうのだろうか。
「まあ、必ずしも無用の長物というわけでもなくて、威厳ですかね。戦車がないと、軍としては弱そうに見えますからね。」
と、隣の某大使。
とはいえ、千人を切った軍は、もうあまり強そうではなかった。リコルヌ部隊は、コートジボワールが危機脱出を目指すにあたって、フランスとして国連軍を支援するために駐留する。大統領選挙を行ってコートジボワールの政治が正常化すれば、存在意義がなくなって、これも撤収するということだ。今年の11月に、その大統領選挙が実施されれば、少なくとも規模はさらに縮小されるであろう。
「この伝統ある軍事パレードも、今年が最後ですかね。」
隣の某大使がつぶやいた。11月29日に大統領選挙が無事に行われるなら、リコルヌ部隊も撤収し、来年の革命記念日は、軍事パレードが無くなって寂しくなるかもしれない。しかし、それがこの国の正常化を意味するのならば、おおいに歓迎したいと思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます