「石破やめるな」、首相官邸前でデモ 自民党内から退陣要求出る中で
参院選(20日投開票)の結果を受けて進退が取り沙汰されている石破茂首相の続投を求めるスタンディングデモが25日夜、東京・永田町の首相官邸前で行われた。「石破辞めるな」と書かれたプラカードなどを掲げた人々が集まり、官邸に向かって「石破は踏ん張れ」などと訴えた。
デモ開催を呼びかけたX(旧ツイッター)の投稿では、デモの目的について「抗議でもほめ殺しでもなく、激励です」と記載。首相について「政治信条を支持しているわけではありません」としつつ、「近年の自民党には稀(まれ)な『言葉が通じる』政治家です」「国会論戦で野党とまともに議論ができる」と主張している。
投稿者という女性はデモの会場で取材に対し、「健康状態が優れないため、取材に応じられない」と話した。
SNSで広がり
この投稿にも付けられている「#石破辞めるな」というハッシュタグは、SNSでも広がりを見せている。
デモには性別や年齢を問わず多くの人が集まった。取材に答えた参加者は野党支持者が目立った。
福島市の男性会社員(23)は立憲民主党の支持者。「政権交代がベストだと思うが、今すぐにとは思わない。(石破首相の退陣で)これ以上政治が悪くなってほしくないから石破さんを応援している」と話した。
兵庫県尼崎市から駆けつけた派遣社員の男性(70)はれいわ新選組の支持者という。「日本の安心のためには石破さんに総理を続けてほしい」。埼玉県の大学生の女性(21)は立憲支持者。「責任をとって辞めるより、排外主義や戦争に向かう不安をなくすように続投してほしい」と話した。
「排外主義や戦争に向かう不安をなくすように」
参院選では、外国人の権利の制限などを打ち出して勢いを見せた参政党に対し、石破政権は省庁横断で外国人政策を担う事務局組織を設置するなど、取り組みを強化する姿勢をアピールしていた。選挙結果は自公が過半数割れを起こす大敗だった。
首相は23日、歴代首相である麻生太郎、菅義偉、岸田文雄の3議員と会談。その後、自身は即時退陣を全面的に否定したが、出席者によると、会談時に首相続投を容認する意見は首相経験者からは出なかったという。自民党奈良県連などが首相の退陣を求める意見書を提出するなど、地方組織からも批判の声が上がっている。
加速する「石破おろし」
このほか、自民党の中堅・若手国会議員らの間で「石破おろし」の動きが加速。自民党執行部が早々に開催を表明した両院議員懇談会を議決権のある「総会」に格上げしようと署名集めが進んでいる。総裁選の実施などを決定したい思惑があるという。