2023年06月25日

そこを通り過ぎれば・・・鶯谷「信濃路」

IMG_20230624_165536土曜日(24日)の午後1450分ごろ、山手線外回り電車に乗っている。この時間、乗客は少なくて、目黒駅からすんなり空席に座ることができた。仕事を早く終えて、とりあえず、新宿に向かっているところ。ぼんやり車窓の景色を見ながら、さてどこに寄り道をしようか、などと考えている。時間が早過ぎて、この時間に開いている店が思いつかないのだ。

 

スマホでいくつかの店を検索してみるが、早くて午後430分開店、ほとんどは5時開店だ。それに土曜日定休の店も意外と多いことに気づく。とりあえず、上野になかなかよさそうな店があったのでそこに向かうことにして、スマホのアプリをKindleに切り替える。少し時間がかかりそうだからだ。

 

西暮里を過ぎるあたりで、ふとある店を思い出す。そういえば「鶯谷」駅の近くに「信濃路」という店があって、朝7時から夜の1130分まで開いていると聞いたことがある。とてもディープな店で、かつては24時間営業だったこともあって、一日中酒を飲む客で賑わっているとか。そこにしようかなー。スマホで調べると「通常より混み合っています」の表示。うーん、微妙。

 

IMG_20230624_165616そうこうしているうちに日暮里を過ぎて、次は鶯谷。よし、行ってみよう。決断して電車を降りる。「信濃路」は北口近くとのことだが、降りた位置が南口に出る階段の近くだったので、まあいいかと南口から出る。この駅に降りるのは2007年に「鍵屋」に行った時以来だ。あの時もここから出て、何本もの線路を跨ぐ鉄橋を渡った。懐かしなあ、とキョロキョロしながら歩く。鉄橋を渡り、階段を降りる。するとすごく賑わっている焼き鳥屋がある。どうやら立ち飲みのようで、店の中はもちろん外にもテーブルがある。若い女性の姿もある。みんな楽しそうだなー。「ささのや」という店名を記憶して通り過ぎる。

 

スマホのマップを確認して、左へ。左手に公園がある。そして右手にはホテル。気づくとずっとホテルが続いている。こんなにたくさんのホテルが林立しているところは見たことがない。そういえばこの道を歩いているのはカップルばかり。早く抜け出さなくてはと焦る。それにしても・・・つい、時間を確認してしまう。

 

線路脇の道に出る。まだホテルは続いているが、その先に何軒かの飲食店が見えてくる。小走りに先に進む。あった。ここが「信濃路」だ。それにしても北口から本当に近いんだなー。こっちから出てればなー、などと考えながら「入口」と書かれているドアから店内に入る。「いらっしゃいませ。」とかの反応を待つが、誰もこっちを見ない。お客さんも自分の世界に入っているようだ。たまたま通りかかったお姉さんに「客です。」と告げる。「1人ですか?」「そう。」「じゃあ、左側に入ってカウンターへどうぞ。」


IMG_20230624_155538店は入口右がテーブル席と座敷、真ん中に厨房があって、左がカウンター。カウンターは厨房と通路を挟んだ壁に沿って2本ある。全部で20席ほど。椅子の感覚はゆったりととってある。先客は厨房側のカウンターに3人くらい。どこに座っていいのかわからないので、とりあえず奥に進み、奥から3番目くらいの席に座る。フロア係の人はいなくて、厨房の人たちも注文をとりに来てくれない。しかも、自分の前は冷蔵庫の背面で銀色の壁がそそり立ち、厨房自体よく見えない。えー、どうすりゃいいの?

 

右隣、といっても1mくらい離れているお客さんに聞いてみる。「すみません。注文は厨房に声を掛ければいいんですよね。」そのお客さんは、ん?という感じでこちらをチラッとみるが、答えはない。ただ厨房を指さしているので、それでいいんだと確認する。立ち上がって、向こうの方にいて背中を向けている厨房の店員さんに、「瓶ビール(キリンラガー大瓶590円)お願いします。」と声を張る。一瞬、間があって、「瓶ビール?」という答えが返ってくる。「そう。」「ご新規さん、瓶ビールです。」・・・ホッとして改めて椅子に座る。

 

IMG_20230624_154922程なく、目の前の冷蔵庫の背面とカウンターの20㎝くらいの隙間から、「瓶ビールです。」という声がする。え?どこから?するとその隙間から、斜めに倒したビール瓶が出てくる。もう中身がこぼれるギリギリの角度。慎重に受け取りる。ひえー。危ない、危ない。続いて出てきたグラスに注いで、とりあえず、一口・・・んめー。ここまでよく来たよ、自分。

 

IMG_20230624_155212さっきの隙間から、厨房の中が確認できることがわかる。それで、頭を低くして、そこから覗き、店員さんがそばに来たタイミングを測って、「イカゲソ唐揚げ(450円)と牛肉コロッケ(150円)をお願いします。」と注文する。コロッケは「大きくなりました。」という貼り紙に惹かれて、つい。カウンターの中ほどは大皿料理や天ぷらが置いてある棚の前なのだが、厨房の中はよく見えるようだし、店員さんも近いので注文しやすいようだ。今度来たときはそっちにしよう、と強く思う。

 

この店は、創業時は「立ち食いそば屋」たったとのことで、そば、うどんのメニューも安くて豊富。立ち食いそばの客は、厨房に注文を告げて、壁際のカウンターに座る人が多い。そこに店員さんが「わかめそばの方は?」などといいながが届けてくれる。へー。

 

IMG_20230624_155321例の隙間からイカゲソ唐揚げが届く。マヨネーズがたっぷり添えてある。では、一口・・・うん!コリコリして美味しい。ビールによく合う。天ぷらと違って、衣がない分直接的にイカの旨みを味わうことができる。ビール、ビール。・・・それにしても、さっき声をかけてしまった右隣のお客さんは、もう話しかけないでくれという感じでそっぽを向いてしまったみたいだ。まあ、1人でのんびり飲んでいたいときは自分にもあるしな、などと思いながら、そのお客さんの手元を見ると、ん?カレー、いや、カレーのルーだけだ。それに瓶ビール。なんだかいい感じじゃないか。メニューを確認する。あった。

 

IMG_20230624_155832目の前の隙間からコロッケの皿が出てくる。即座に「カレーのルー(300円)、お願いします。」隙間の向こうから「カレールーね。」という声が聞こえる。では、コロッケを一口・・・衣がサクッとして・・・確かに牛肉入り・・・芋の甘さが口の中に広がる。美味しい!ビール、ビール。

 



IMG_20230624_155855隙間からカレールーの入った皿が届く。待ってました!銀色のスプーンで掬って、早速、一口・・・ほー、もっと甘口かと思ったが、意外にスパイシー。中辛といったところか。これはこれでつまみとして成り立つのだが、コロッケにかけるのが本当の目的。メニューに「豚カツカレーがけ」とか「厚揚げカレーかけ」みたいなのがあって、興味をそそられるのだが、コロッケにかけたらどうかな、という気になったのだ。では、コロッケにカレーをスプーン3杯分くらいかけて、一口・・・いやー、やっぱり油とカレーってよく合うよなー。うめー。

 

IMG_20230624_161012じゃあ、次は・・・「白ホッピー(410円)、お願いします。」もう隙間から注文するのもお手のもの。白ホッピーの瓶が隙間から現れる。ビールより背が低いので、角度もそんなに窮屈ではない。氷と焼酎が入ったジョッキも届く。ではホッピーを注いで一口・・・カレールーの味に合いそうだと思ったが、その通りだった。いい感じ。

 

右隣のお客さんは、蕎麦のトッピングのかき揚げを注文。ん?蕎麦つゆをもらって浸しながら食べている。カレーといい、かき揚げといい「ぬき」専門だな。こういう楽しみ方もあるのかと感心する。これって、この店ならではと思う。「美味しそうですね。自分もやってみようかな。」などと話しかけたくなるが、我慢する。

 

IMG_20230624_164426カレールーは案外ボリュームがある。ここらでさっぱりとしたいので、「しらすおろし(250円)」を注文する。大根おろしは好物である。例によって、隙間から届く。醤油を垂らして、一口・・・おお、カレーの後だけに、とても爽やかだ。カレーとの無限ループが始まりそうだ。「ナカ(焼酎300円)、お願いします。」・・・ホッピー一本で焼酎は3杯いけそうだ。

 

IMG_20230624_164826右隣のお客さんは、結局、春菊天そばで締めて帰ってしまった。最後は「ぬき」ではなかったか。店内はお客さんが増えている。中には若い女性の1人客も何人かいる。定食のお客さんもいる。さらにナカをおかわりして飲み続ける。慣れてしまえば、この雰囲気もいいよなー。この店の近くに住んでいたら、絶対にハマるな。メニューも多すぎるくらいだし、飽きることもなさそう。

 

・・・さて、今日はここまで。隙間から、「会計お願いします。」と声をかけて立ち上がる。入口近くまで行くと、お店のお姉さんが出てきて「2810円です。」と言う。3010円渡して、200円のお釣りをもらう。「ごちそうさま。」と声をかけると、厨房から「ありがとうございました!」と何人もの声が聞こえてきた。

 

外に出る。日差しが眩しい。最初はちょっと戸惑ったけど、来てよかった。名残惜しい感じさえする。駅はすぐそこ。酒場の余韻はいつだって最高なのだ。

 

東京都台東区根岸1丁目7

03-3875-7456


Posted by hisashi721 at 14:02│Comments(0)