[映画]「北陸代理戦争」US版Blu-rayを購入
「北陸代理戦争」US版Blu-ray
深作欣二監督 高田宏治脚本 松方弘樹主演
これが初Blu-ray化だが、アメリカ盤のみで日本盤は出てない。画質はかなり良くなってる気がするが、もちろん「この時代の邦画にしては」という但し書きがつく。日本のBlu-rayプレイヤー、レコーダーで普通に再生可能。
「仁義なき戦い」に始まる、いわゆる実録ヤクザ映画の最後を飾る作品。最高に面白い映画だが、同じ深作欣二監督でも脚本家が違うので「仁義なき戦い」とはかなりタッチが違う。こっちは女性の存在感が増していて、いわば女の情念の話でもある。後の「極妻」路線の先駆けですね。かなり陰惨な話だし、しかも映画公開直後にモデルとなったヤクザが映画と同じシチュエーションで射殺されるという、あまりに衝撃的な事件が起きたせいで、呪われた作品という感じもある。つまり現実から離れた絵空事であるはずの映画が現実に影響を及ぼした例。現に深作はこれを最後にヤクザ映画を撮らなくなる。詳しくはこの映画をめぐるノンフィクションの超傑作「映画の奈落」を参照のこと。だいぶ前に読んであまりの面白さに悶絶しましたが、また今読み返している。
このBlu-rayの目玉は、出演した高橋洋子、脚本の高田宏治の最新インタビューが特典映像で収録されてること。特に高橋洋子がこの映画について語ってるのは初めて見た気がする。もう50年近く前の出演作品のことでも、ずいぶん鮮明に覚えているものだと思った。存命のキャストでいえば野川由美子にも聞いてもらいたかったけど。あとは「映画の奈落」の著者・伊藤彰彦が映画の背景について語っている。特典映像の制作は、アメリカのスタッフだろう。本当はこういうのは日本で制作すべきだが、今の東映には期待できないでしょうね。あとは当時のキネ旬等に掲載された評論の英訳が掲載されたブックレット。
限定3000枚だそうで、興味のある人はおはやめに。
(以下は「映画の奈落」が出版された直後に書いた感想)
いやー凄い本を読みました。間違いなくこれまで読んだ映画本の中でもベスト。
1977年に公開された深作欣二監督/高田宏治脚本/松方弘樹主演の東映映画『北陸代理戦争』を巡るドキュメンタリー。主人公のモデルとなった「北陸の帝王」と言われた福井のやくざ組長が、映画公開の2ヶ月後に映画と同じ状況で対立組織に射殺されたという「三国事件」で有名なこの作品がいかに作られ、それが現実の抗争事件にどんな影響を及ぼしたか。そして東映映画史においてどんな位置付けが可能なのか。映画および事件に関わった人たちのその後の人生までも、高田宏治を始めとする関係者への綿密な取材と資料分析、緻密な脚本解析によって解き明かす。一本の映画、それも数あるプログラム・ピクチュアのひとつに過ぎない作品なのに、これほどのドラマが潜んでいるとは。
タイトルの「映画の奈落」とは、本書に於ける高田の発言「生きている人、生きている事件をネタにするのはこわい。しかし、奈落に墜ちる覚悟でつくらなければ、観客はついて来えへん、見物がのぞきたがるような奈落に突き進み、それをすくいとって見せなければ映画は当たらへん、奈落の淵に足をかけた映画だけが現実社会の常識や道義を吹っ飛ばすんや」から来ている。映画という魔物にとりつかれ、振り回され、奈落に落ちていった男たちの闘争と葛藤の物語は恐ろしくも魅力的だ。読み終わるのが惜しいと思えるほど濃厚な内容でした。
ちなみに深作欣二はこの作品を最後に、生涯やくざ映画をとることはなかった。
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