津波から避難、高台など目指す中で…車“渋滞” 課題浮き彫りに 位置データで車などの動きを分析
30日、一時200万人以上に避難指示が出され、避難する車で渋滞も発生しました。位置情報のデータを分析すると、渋滞が発生していく様子と課題が浮き彫りになりました。
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30日、ロシアのカムチャツカ半島付近で起きたマグニチュード8.8の巨大地震。日本でも各地で津波警報が出され、200万人以上に避難指示が出されました。
しかし、課題も浮き彫りに。それが「渋滞」です。
海に近い、神奈川県藤沢市を、31日に取材すると…。
地元の人
「警報から30分しないうちに渋滞。ここが動かない感じ」
実際に神奈川では、どのように人が動いたのか。人の流れを見てみます。
匿名化したスマホアプリの位置情報から、30日の藤沢市や鎌倉市周辺の人や車の動きを可視化したデータです。赤く表示された部分が、渋滞が起きている場所。これを番組で分析すると…。
日本テレビ・調査報道班 井上直樹記者
「江の島を見ていただくと、(通常時と比べ)江の島の交通量、人の数も大きく減っていることが分かる」
津波警報が出された後、1週間前と比べ、江の島にいる人の数が大きく減少。さらに…。
日本テレビ・調査報道班 井上直樹記者
「海沿いの交通量が大きく平時より減っているので、高台に向かい人々が移動したのでは、ということが見て取れます」
海沿いの道路でも、人の数が減少しているのが分かります。当時、道路で実際に運転していた人は…。
地元の人
「津波警報が鳴ってから、海側の車が全部山側の方に向かったので、渋滞が起きました」
高台や海から遠い場所に避難したとみられますが、その際に利用したのでしょうか。
日本テレビ・調査報道班 井上直樹記者
「江の島から北へ向かう道路が赤くなっておりまして、渋滞が発生しているとみられます」
江の島から藤沢市街へ向かう道路が、渋滞していたのです。他にも…。
日本テレビ・調査報道班 井上直樹記者
「各地で内陸へ向かう道路で渋滞が継続していたと、広い範囲で渋滞が見えたということが分かります」
広い範囲で起きた渋滞。避難の妨げにはならなかったのでしょうか?
地元の人
「高台の方に逃げたいと思って車で動きましたけど、大通りの方は大渋滞で何も動いてなかったので、裏道を通って行きました」
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藤沢市は、この渋滞を課題と認識しているとしたうえで、住民や観光客に対し、なるべく車を使わずに避難するよう呼びかけています。
命を脅かすかもしれない状況で起きた渋滞。避難の方法は地域の特性に合わせて選ぶ必要がありそうです。