ガザで飢餓が深刻化する中、イスラエルの5つの大学の学長が7月28日、この問題に緊急に対応するよう求める書簡を同国のネタニヤフ首相に送った。
エルサレムポストによると、書簡に署名したのはテルアビブ大学、エルサレム・ヘブライ大学、イスラエル・オープン大学、ワイツマン科学研究所、イスラエル工科大学(テクニオン)の学長だ。
書簡には「この国で増え続ける多くの市民と同様、私たちはガザから届く映像に衝撃を受けています。特に、飢餓や病気で日々命を落としている乳児たちの姿に胸を痛めています」と書かれ、飢餓解決に向けた努力の強化を首相に求めている。
また、書簡は「人質解放と兵士への被害を最小限にとどめることが最重要」とした上で、「ヨーロッパで起きた恐ろしいホロコーストの犠牲者だった民族として、私たちには何としても、罪のない男性や女性、子どもたちへの残酷で無差別な被害を防ぐ特別な義務がある」とも強調している。
さらに学長らは、ガザの意図的な破壊や市民の強制移動を促すようなイスラエルの政治家らの発言も批判。
「明らかに非道徳的な呼びかけであり、イスラエルや世界の著名な法学者の見解では、戦争犯罪および人道に対する罪に当たる行為を実行するよう求めるものだ」と警告している。
一方、イスラエルのキッシュ教育相はこの書簡を批判し、「戦時下のイスラエルを支持する代わりに、敵であるハマスのプロパガンダに加担している」とする声明をXに投稿した。キッシュ氏は声明で「イスラエルはガザの住民を飢えさせている」という訴えを否定している。
国連によると、現在ガザでは3人に1人が数日にわたって食べ物を口にできない状況にある。4月以降、2万人以上の子どもが急性栄養失調で治療を受けており、7月中旬以降、少なくとも16人の5歳未満の子どもが飢餓関連の原因で死亡したという。
こうした状況に、国際社会だけではなくイスラエル国内からも政権に対する批判が高まっている。
イスラエルの2つの主要人権団体「ベツェレム」と「人権のための医師団」は28日、イスラエルはガザでジェノサイドを犯しているとする報告書を発表。犯罪行為を直ちに停止するよう求めた。