福井中3殺害再審無罪、検察が上告断念へ 事件から39年
1986年に福井市で中学3年の女子生徒が殺害された事件の裁判をやり直す再審で、殺人罪に問われ、服役した前川彰司さん(60)を無罪とした名古屋高裁金沢支部判決について、検察当局が上告を断念する方向で最終調整していることが30日、関係者への取材で分かった。上告期限は8月1日。上告断念となれば、事件から39年を経て前川さんの無罪が確定する。
上告には判例違反などの理由が必要で、ハードルが高いとの見方が広がっていた。判決後、前川さん側は上告を断念するよう求めていた。
7月18日の高裁金沢支部判決は、警察が知人らの供述を誘導した疑いや、検察が知人証言に一部誤りがあることを一審途中に把握しながら明らかにしなかったと指摘。有罪立証の柱だった「事件後、前川さんの服に血が付いているのを見た」といった知人らの証言は信用できないとし、無罪との結論を導いた。
前川さんは事件翌年に逮捕された。一審無罪だったが、二審で懲役7年の逆転有罪判決が言い渡され、その後確定した。服役後に再審請求。第2次再審請求で、高裁金沢支部は昨年10月、再審開始を認め、検察は異議を申し立てず確定した。今年3月の再審初公判で、検察は改めて有罪を主張したが、新たな証拠を出さなかった。〔共同〕