法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『関心領域』と、無関心の正当化と、被害者意識をもちながら無関心でいる不思議

 映画*1を視聴した後、話題になった当時の反応を見てまわったなかで、興味深いものがあった。
「関心領域」のヘスは無関心でも「凡庸」でもない ナチ研究者の警鐘:朝日新聞

「検証 ナチスは『良いこと』もしたのか?」の共著者で、ナチズムを研究する田野大輔・甲南大学教授は「ヘス夫妻は隣で起きているホロコーストに『無関心』だった、とする指摘も見られるが、それは違う」と話す。

 まずナチス研究者の田野大輔氏にインタビューした朝日記事が注目をあつめていた。
 はてなブックマークのコメントは映画や歴史へ素直に興味関心をしめしたものが多いが、映画とは無関係な社会問題への無関心が無視されているという反応がいくつかあり、はてなスターも集めていた。
[B! ドイツ] 「関心領域」のヘスは無関心でも「凡庸」でもない ナチ研究者の警鐘:朝日新聞

hunglysheep1 弱者男性が自殺しても孤独死しても朝日新聞は深い記事書かないじゃないですかー。部数伸びるかと言うとね…まぁ、日本には明確な共感格差がありますよね、知性ではなく関心がないというのはそういう話ですよね

ite 『「劣等」な成人男性を取り除いて「優れた」人々を称賛する』と言う意味では、現在のフェミニズムLGBT界隈こそがナチの後継だよな。

Shiori115 気に入らない相手を簡単に「ナチの後継者」とレッテル貼りするようなのは、愚鈍な悪などと言ってやるのも勿体無いただのゴミカス低脳キチガイですからね。/↓ゴミカス低脳キチガイの自覚あるんですね(笑)


 まずid:ite氏のコメントにid:hunglysheep1氏はともかくid:Shiori115氏もはてなスターをつけているのが不思議だ*2
 少なくとも現時点では「後継」という表現をつかっているのはite氏が最初であるし、文体からも反語的な皮肉というより「気に入らない相手」への「レッテル貼り」に読める。


 次にhunglysheep1氏のコメントだが、はてなスターを集めて注目コメントにも入っている。ite氏のコメントともども男性の苦しみが社会のなかで関心をもたれていないという被害者意識が関心をもたれやすいのだろう。
 しかし朝日新聞が弱者男性の自殺や孤独死に深い記事を書かないという批判はよくわからない。たとえば2019年から2021年にかけて孤独死記事を特集したWEBコンテンツをつくっている。
あなたは誰ですか ルポ孤独死 - プレミアムA:朝日新聞デジタル
 もちろん貧困などの社会的な弱者の立場におかれた男性を除外などせず、むしろ特集で最初にかかげた調査記事の対象に選ばれている。
あなたは誰ですか ルポ孤独死 - プレミアムA:朝日新聞デジタル
あなたは誰ですか ルポ孤独死 - プレミアムA:朝日新聞デジタル
 コメント後の2025年にも高齢ではない孤独死に注目する短い連載があり、「現役世代」の苦難として位置づけられていた。
連載「孤独死する現役世代」一覧:朝日新聞
 他にも検索すればさまざまな記事がある。自殺の統計を報じた記事では、率は男性が高いといった指摘も記述されている。
専門家「極めて深刻」と警鐘 昨年の自殺者数、2万1千人台続く:朝日新聞
 弱者男性の死そのものに本当に無関心なのは、朝日新聞ではなくhunglysheep1氏や、そのコメントにはてなスターをつけた人々ではないだろうか。
 もちろん不足を訴える自由はあるが、そのような記事が存在しないかのように主張すれば、期待や注目の機会をうばうかもしれない。
 関心をもとめているなら、たとえば朝日新聞の当該記事に注目を集めるべきではないだろうか。

*1:『関心領域』 - 法華狼の日記

*2:表現の差別性も問題だが、ここでは横におく。

  • kingate

    その瞬間その瞬間で「並行的に」「同列として」「弱者男性を取り扱わない限り」同じとは言えないってだけではないですか?
    男性というだけで、かなりのバイアスが掛かっているし、あなたも「それでいい(何が弱者か!)」と思ってるでしょう。
    女性は歴史的にも文化的にも従属させられている、という西洋史観をベースに、しかも戦後の核家族化に伴う女性の家庭への付帯化(私は隷属とは思いません)を強調する(勿論よく分かります。あなたも私も眼の前で体験していることです。でも私の母は貧乏、赤貧でしたが、不幸ではなかった。幸不幸は個人が決めるものです。私は多少不幸でしたが弱者男性として、氷河期としてサバイブして自己承認していますので不幸ではありません)のは過度に政治できてはないかと思いますよ。
    それに「無関心ではないか」という点に関しては「契機がない限り、運動員でもなければ、社会の問題に目を向けることはない(無関心ではないがそこには意識は向かない)」のは当然でしょう。
    あなたが運動員的であるということが、単に「女性の社会性における差別・虐待・不遇」に鋭敏に反応しているだけに見えるのですよ。
    言われりゃ意見を出す、のはごくごく普通。
    でもそのテーマが「弱者男性」になった途端、それを「男性というだけで強者!」から動かないのは、どっちが無関心ですか、になりかねないのでは?
    そして、私からすれば常に「あなたの言葉がない」ことを指摘しているのです。
    社会規範やメディアがどうこう言っているのはどうでもいい。それを引き合いに出して本当のところ「弱者男性なんぞどうでもいい」のか「救ってやってもいいが、女性が全部開放されてからだ(笑)」なのか、それとも「考えるリソースなんかあるかよ(笑)」なのか。
    救おうなんて気持ちがないのは、よく分かっておりますので、予算/時間/人員の問題に過ぎないんだから男どもは黙ってろ、って仰っていただいた方が私もコメントしなくて良くなります。

    俺の嫌いな瀬川とかいうはてなーも、弱者男性の主体趣味である女性性消費型オタク趣味に憎悪を向けておりますが、個人的には「被害者がいないならお気持ちは黙れ」としか思っておりませんし、繰り返しになりますが、女性性消費型コンテンツを制作する身分ですので、瀬川のような「実在しないものへの憎悪」はちゃんと暴力として還元していただきたい(何故ならコンテンツ制作者の脳の中にしかありませんから)、と切に思っております。よろしくお願いいたします。
    (あんたらの性根は、そういう憎悪があると確信があるんですよ、制作サイドの俺には)

  • hokke-ookami

    kingateさんへ
    貴方は何よりもまず、誰かに反論や批判をしたいなら、その誰かが実際にしている場合におこなうよう気をつけるべきだと思います。
    以前にひとつ誤認を指摘して、その誤認は訂正していただけたのですが、その時のコメントでまた別の誤認をされていましたよね?

    https://hokke-ookami.hatenablog.com/entry/20250626/1750949967
    >>「過ちに対して謝罪しない(草津の件です。現地で頭を下げるのが筋でしょ。頭下げたのかな?下げてたら大騒ぎになってると思うけど)」という立ち振る舞いで「多くの人たちからの理解と支援」を得られるとは思いません。
    >……やたら流れている説ですが、仁藤氏は草津について特に言及はしていないはずです。初期から草津町長についていた弁護士の吉峯氏も検索でも記憶にもないと評しています。
    https://posfie.com/@anchfemi/p/Hp0QFwH
    ちなみに私自身も一定の結論が出るまで草津町長の性加害をめぐる話題には言及したことがありませんでした。

    仁藤氏が草津現地で頭を下げるのが筋だといえるような別の情報があるなら話は変わりますが、現状では貴方はまず相手が実際に何を言っているのか確認して、その実際に言ったことに反論するという原則を守るべき段階だと思います。

コメントを書く