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梨さんの依談『てうぶく』について考えてみた

こちらは、梨さんが九大のSCP同好会の新歓用に書き下ろしたtaleを加筆修正して投稿したもの。↓

スレッド形式の文章を読んでいくので、わりと取っつきやすいし、それこそ洒落怖やオカルト板に馴染みのある人なんかはニヤリとすること請け合いです☺️
未読の方は是非読んでくださいね。

ネタバレしつつ感想、考察を書いていきたいと思います。



◆ざっくりしたあらすじ

「最近体験した変なことの話をする」という2006年8月のスレッドの過去ログを読者は読むことになる。

佐賀の実家に帰省中のスレ主『雛』は、夜中に人気のない道で、祭りの楽器のような音を聞いた。
不審に思って、音に近づいていくと灯りがついており、謎の文字が書かれた萎んだ風船のようなものが木に打ち付けられているのを発見。
怖くなって急いで逃げ帰ってきた。

……という体験を、総勢4名しかいない過疎スレに書き込む。
そこからスレ主による凸を見守る形になるのだが……

◎梨さんの遊び心

この作品に登場する人たちの名前やIDが、実は2ちゃんねるで有名なスレッドから来ている……というお楽しみ要素があります😊
サッと書き出してみます。

◈スレ主『雛』さんのID
PhwWyNAAxY」で検索すると、「倉敷蓋事件(通称  :  蓋スレ)」のスレ主『HINA』と一致。

◈『白帯』さんのID
「tGLUbl280s」で検索すると、上記の蓋スレに出てくる『黒帯』という人物と一致。

◈『幽戸ゆかり』さんのID
「ZjHMPybZ0」で検索すると「俺の後ろに何かいる」というタイトルのまとめサイトがヒット。
スレ主の男性『幽戸』と女幽霊『ゆかり』の心温まる感動エピソードのようです。

◈『うぶくて』さんのID
「iGZ5enWl0」を検索にかけると「おつかれさま」で有名なスレがヒット。


◎隠し要素


◈画像のファイル名
スレに上げられた画像「k6aCqoKzgsiCog==」をbase64でSHIFT_JISにデコード
→すると「逃さない」というメッセージが出てきます😇

◈反転文字
『うぶくて』さんの、最後のレスの空白に隠されてる文章。
反転させると
「どちらにせよ、もう手遅れですが。」
と出てくる😭

はい、今作もしっかり「おつかれさま」仕様です!

◈タイトルの意味

てうぶく【調伏】

呪詛。
まじないなどによって、人をのろい殺すこと。

他にも意味がある単語だけど、
たぶん、この意味。


◆考察

あとは物語内で気になったことを、ちょこちょこ書いていきます。

✤「しぼんだゴム風船みたいなの」とは何?

まあ、「胞衣(えな)」なんでしょうね……(胞衣とは、臍帯を含む胎盤のこと)
こんなもの木に打ち付けてるなんて、ヤバい儀式しか想像できない😣

✤鳥居を見ることが大事?

・うぶくてさんが、「IDのせいでそこの場所の写真が隠れちゃってもあれですからね」と言ってるのは……
→肉眼では見えない鳥居をきちんと写真におさめるさせるため?
遠隔地にいても、鳥居を見てしまうと「おつかれさま」なんですかねぇ。

・前回より手前で光が見えたのは、うぶくてさんが手前にライト持ってきてたのかな?
確実に鳥居を撮影させて、なおかつそれをスレに上げられるように、電波が届くエリアにしたとか。

✤うぶくてさんの闇

・うぶくてさん、おそらく流産か何かで子供を失ってるぽいよね。

子供がめいっぱい声を張り上げて泣く。それが、この集落一体の厄除けや子供たちの無病息災に繋がるんだと。」

「当時は無理やり子供を泣かせるなんて、と少し不快に感じたものですが、今になって考えるとその気持ちも少し分かるような気がします。」

(本文より)

→たぶん、産声を上げず亡くなった子を想像しての言葉のように感じる。
泣き声を上げられるのも、生きているからこそ、ですもんね……

・打ち付けられた胞衣に書かれていた文字は『穢 名 嬰 児 命』(えなみどりごのみこと)
→この『嬰児命(みどりごのみこと)』の部分は、神道で葬儀をしたときに与えられる「諡名(おくりな)」ですね。
3歳未満の男女幼児はみんな「みどりご」と名付けられる。

(付け方の例)
「◯◯◯◯(氏名)+(諡名)+命」

氏名が入るところに『穢名(えな)』ときてるので、これが子供の名前なんでしょうが……😰
随分と禍々しい名前……女の子かな?
音的に「胞衣」と掛けてるんだろうね。

名字を書いてないことから、きちんと名付けられる前に死産した……とか、望まれた妊娠ではなかった……とか想像できて嫌ね。

✤胞衣女の仕事

・ひいばあさんが『胞衣女(えなめ)』という職についており、死産や墮胎したときの赤子と胞衣を回収して、それを弔うようなことをしていた。

・「鬼灯の煎じた〜」とあるから、墮胎薬を与えたのちの中絶作業にも関わっていたとみられる。

・「えなづか」は水子たちの墓場であり、ひいばあさんの他は誰も居ない。
何十年も一人で続けていた。

→“生まれたかったけど、それが叶わなかった” 魂を鎮めていたんでしょうね。
他に管理する人がいなかったのは「誰彼構わずもっていってしまう」からというのもあるだろうけど、ひいばあさんは仕事を押し付けられていた可能性も……

✤うぶくてさんの動機

・「その話を聞いた数年後、私はある事がきっかけで、再びこの話を思い出すことになりました。」
→おそらく、自身の子を亡くして、
「えなづか」に供養。
そして、そこにいる我が子(+ひいばあさんが気にかけていた水子たち)が淋しくないようにと、魂を送り込んでいる?

・「出来れば、えなみどりごのみこと、と、声に出してよんであげてください。」
「読んで」じゃなくて「呼んで」だよね……
呼ぶと “来ちゃう” んだろうね。
よばなくても、もう手遅れですけどね……😌


⛩️



読みやすく、オチがしっかりついてるので好きです🤗
めっちゃ呪ってきますけどね!
はい、おつかれさま。おつかれさま〜

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コメント

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ホラー作品の考察が大好きです。
梨さんの依談『てうぶく』について考えてみた|はづき
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