最近、アニメのキャラやアイドルなどのぬいぐるみを「ぬい」と呼び、ゆかりのある場所で一緒に写真を撮る「ぬい撮り」といった「ぬい活」が活発に行われていると聞く。
しかし、私はぬいを所有したことがない。楽しそうだなーと思いながら見ているだけだ。
そんな折、我が愛する親友が仕事の関係でタイに出張することになってしまった。しかもそこそこ長期。
親友とは趣味が合うので、「今度の週末ここに行こう」とか「このお店行きたくない?」みたいな話をしょっちゅうしていて、隔週くらいのペースで一緒に出かけている。そんなお前がいなくなるなんて……
ふと思いつく。そうだ、ぬいを作ろう。遠く離れた親友をぬいにして、行きたいところに行って、写真を撮ったり一緒にご飯を食べたりするんだ。
これでもう寂しくないぞ!
さっそく作りました
こちらが、本人に無許可で錬成された、我が友のぬいです。
色々なところに持ち歩くという点や、単純に愛が重いことからクオリティに妥協はしたくなかったので、「ぬいのボディ wawaちゃん」「ぬいのおかおワッペン」といった素晴らしい商品をフル活用しました。
ということでさっそく連れ回します。遠くタイにいる本体に想いを馳せながら……
親友のぬいでぬい活
向かいに座っている同居人に「何それ」と聞かれていますが、無視です。
ぬいと暮らしてみてわかったこと
親友のぬいを持ち歩いていて、初めてわかったことが色々あったので、報告します。
- 服がかなり重要
ユザワヤなどの手芸屋さんに行くと、「推し活コーナー」なるものがあり、ぬいのための服や帽子、小物などがたくさん売られている。その中で、「親友が着てた服に似てる!」とか「これ似合いそう!」みたいなものを見つけると際限なく買ってしまう。ちょっとやばいと思う。でも、服を似せるだけでかなり本人っぽくなるので不思議。
- 屋外でのぬい撮りはそこそこ緊張する
一人でぬいを持ち歩き、思い出の場所に行き、ぬいを掲げて写真を撮る行為は、ふと我に帰ると結構緊張する。万が一、通行人から「それ誰のぬいですか?」とか聞かれたらヤバイ。親友です。本当です。逃げないでください。
- 持ち歩いてるだけで結構楽しい
カバンの中を見るとぬいがいる。それだけでちょっとうれしくなる。今度もっといいケースを買ってあげるからね。
よぎる一抹の不安
親友のぬいと共に過ごすことによって、それなりに寂しさを紛らわすことはできた。検証としては大成功。
しかし、それ以上に不安な要素があった。やってることがキモすぎて、本体がこの行為を知った時にどう思うのだろうという懸念だ。
めちゃくちゃキモいと思う。しかも無許可だ。
考えれば考えるほど、早めに本体の承認を得た方がいいような気がしてきた。
しかし、テキストメッセージでこのことを伝えられたらキモさが増すばかりだろう。「君がいなくて寂しいから、君を模した人形を作って持ち歩いてるよ」って、かなり特殊なストーカー行為と言っても過言ではない。
ということで
タイに来ました。
空港で親友(本体)と合流する。
久しぶりに親友(本体)に会えた感動はひとしおだった。しかし、一緒にタイティーを飲み、バンコク市内を散策している間、私のカバンには隣にいる彼女を模したぬいが入っている……やや緊張感がある。うっかり見られたりしたら終わりだ。期が熟すのを待とう。
ついに本体とぬいが対面
美味しいご飯を食べてのんびりデザートを食べているタイミングで、あえてぬい自体は見せずに「あなたがいない間、こんなことを考えてみたんすよね」的な切り出し方をした。
史上初、一般人にぬいにされる(実際は既にされている)ことを提案された一般人の第一声は「うわ、キモいな〜」だった。ですよね。
でも……実は……もう作っちゃってます!ジャーン!
現物を見せた途端、一気に好感触になった。イケる!これはイケるぞ!
「すご!」「めちゃそれっぽい笑」「待って、なんでこんなにそれっぽいぬいが作れんの?」とキャッキャと質問攻め。クオリティに妥協しなくてよかった。
結果的に、本体は喜んでくれた。ぬい活の様子を見せるとやや引いてはいたが、本体ストップはかからなかった。良かった……
そして何より、ぬいと本体の邂逅が見られたのが作り手冥利に尽きる瞬間だった。
最初にぬいを手渡された瞬間は戸惑った様子を見せていたが、「なんか、見ているとだんだん愛着がわいてくる〜」と言っていた。大成功だ!
人型のぬいぐるみ作りというと、結構ハードルが高いように感じてしまう人が多いと思う。でも、今は誰でもぬい作りが始められるように、今回私が使ったようなキットも多く売られている。
みなさまも、好きなアイドルやキャラクターだけではなく、家族や友達、身近な大切な人をぬいにしてみてはいかがでしょうか?
行為としてはキモくても、愛があれば本体に伝わります。
おしまい
この記事は読者投稿でお送りいただいた記事です。
編集部より寸評
単純に作って一緒にお出かけまでで終わるかと思いきや、まさかの海外渡航、そして友人との対面と、どんどん展開の広がるダイナミックな記事でした。かつそれが長すぎずスピーディーに描写されていくのも印象的。
ご友人に見せる時も、あえて現場まで趣旨を伝えず、そのあと趣旨を伝えるも実物を見せず、最後にぬい登場…と3段構成で生の反応を引き出しているのが秀逸だと思いました…!(編集部・石川)
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