学校存続へ、官民協力求める 社会人入学生誘致の推進も 奄美看護福祉専門学校 若者の定住を促す集い
2025年07月30日
地域
奄美看護福祉専門学校の存続などに向け意見を交わした「若者の定住を促す集い」=29日、奄美市名瀬の奄美市役所
奄美市名瀬の奄美看護福祉専門学校(向井奉文校長)は29日、同市名瀬の奄美市役所会議室で「若者の定住を促す集い」を開いた。行政や進路指導を担当する高校教諭ら約30人が出席。今年度からこども・かいご福祉学科の募集を停止し、看護学科でも定員割れが続くなど、厳しい運営状況にある同校の存続に向け意見を交換した。学校側は奄美群島の教育機関として多くの医療・福祉人材を輩出し、地元交流も深い同校の役割を改めて訴え、入学者の確保や地元定住に向けて官民一体となった課題解決への協力を求めた。
同校は少子化による志願者数減などで、今年度からこども・かいご福祉学科(定員25人)の募集を停止。看護学科(同40人)についても、同校を運営する日章学園側は「学園として存続したいと前向きに考えているが、来年度の入学者数が極端に少ない場合は(募集停止の)検討もしなければならない」と述べた。
会の冒頭、向井校長や大島郡医師会の稲源一郎会長が学校存続や地域医療の人材確保への危機感を訴え、参加者へ協力を求めた。同校の池田恵子看護学科長は、在学中に得られる資格や充実した実習、支援制度など同校の利点を紹介。在校生4人も入学理由や同校の魅力を出席者へ伝えた。
奄美市側は人口流出の抑制や地元定着を図るため、2015年度から行っている同校への支援事業を報告。今年度は500万円増額の1500万円を補助するなど、同校と連携し、学生確保に努めている。意見交換では参加自治体から「奄美市がこれだけの支援をしていることを初めて知った。行政として協力できる体制を考えていきたい」「奨学金拡充を含め、役場で情報共有し支援策を検討したい」などの声があった。
高校教諭からは「将来の選択肢として考えられるよう小学生、中学生へのアピールを」との提案も。また、看護学科では例年、入学者のおよそ半数が社会人入学生であることからU、Iターン者への情報発信として、各役場の戸籍窓口にパンフレット設置を進めることなども確認した。