今日から使えるAIM理論【フィッツ理論とリャングル式 AIM編】
参考程度の読み物としてみてください。
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「リャングル式 AIM」
海外の高ランク・プロ層の間で囁かれる「マウスのセンサー(=読み取り機構)を意識し、腕だけではなく指・手首の微細制御でクロスヘアを敵の頭(ヘッドライン)に乗せる」スタイルの俗称です。日本語圏では「リャングル式」と呼ばれることが多く、RedditやXで話題になった経緯からそう呼ばれています。
リャングル式 AIM の定義・理論
マウスセンサーの物理特性
「センサー中心」の握り方・関節運用法
センシティビティ設計(EDPI・cm/360・Zoom比率)
練習方法(Kovaak’s・Aim Lab・Range・DM)
実践でのミス修正とトラブルシューティング
という構成で、できる限り具体例・数値を交えて解説。
読み終える頃には「自分の手首の可動域に合わせた最適センサー設定」が作れるはず。下は前回記事です。
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リャングル式 AIM を一言で言うと(大雑把ね)
「低感度の安定性を保ちながら、高感度のような素早い微調整を手首+指だけでやる」
・肩肘を極力動かさない
・マウスを“スキャン”させず“ピボット”させる
・DPIは高め(1600~3200)にして in-game sens を低めにし、1カウントあたりの入力分解能を最大化
・その結果、軽い手首ひねりで頭に乗せ、大きめのフリックは肘を加える、という2段階制御を可能にする。
「ピボット」は“回す軸”のイメージです。
まず道具を用意
・1円玉(100円玉)を机の上に置く
・人差し指で円の真ん中を軽く押さえる
やってみる動き
・押さえた指を「軸」にして、コインをクルッと回す
・コインは円の中心(軸)からほとんどズレずに回る
(基本のわかりやすい動き↑)
指で押さえる
● ←軸(動かない)
┌────┐
│ 100円 │ ←コインがクルッと回る
└────┘
人差し指の軸は中央から動かずコインだけが動く。
このとき
・小指の付け根(マウスを持つときの支点)指ではなく小指の付け根が軸になる(難しいけど)リャングル関係なく、プリミーやメイは小指が軸になる。
軸軸とみんな言いますが軸の意味は静止点です。
マウスに触れた時の静止点。手首の下側(手首の膨らみ)」が机に軽く触れている静止点。(センサー位置はぶれることのない静止点です。それ以外は固定するものではなく動く静止点です)
・コイン=マウス本体
・中心=センサーの位置
つまり
「ピボットする」=「マウス本体を、センサーのある支点(小指の付け根など)を軸にして、クルッと回す動き」
スイングとの違い
・スイング:腕を振り子のように大きく振る → 軸が肩や肘が大きく
肩(軸)
│
│ ←腕全体が振れる
│
肘
│
│
マウス ──→ 大きく移動
(センサーも一緒に移動)
・ピボット:手首の小さな回転だけ → 軸が手首の下側
小指の付け根(軸)
●
│
│ ←手首だけが回る
│
マウス ──→ ほとんど同じ場所に残る
(センサー位置もほぼ固定)
ポイント
・マウスが“すべる”のではなく“回る”
・マウスの底面(センサー)がほとんど同じ場所に残る(センサー理論)
・それゆえ、細かい角度調整がしやすい
マウスセンサーの物理特性を押さえる
DPI/CPI
・低DPI(400)で高感度(0.5)にすると、1カウントの角度が大きく、微調整が荒くなる。
・高DPI(1600)で低感度(0.125)にすると、同じEDPIでも1カウントの角度が1/4になり、センサーの分解能をフルに使える。
→ リャングル式では後者を選択するべき。
IPS(Inch Per Second)
・手首ピボットの最高速度はおよそ1.5 m/s(60 ips)
・最新センサー(Hero 25K、Focus Pro 30K)であれば余裕。
・古いセンサー(3310世代)は35~50 ipsで既にスピンアウトするためNG。
(LoD)
・リャングル式はマウスを軸に“回す”ので、浮き気味になりやすい。
・LoD 1.0 mm以下(PureTrak Talent、G-SR-SEなど厚めパッドで浮きを吸収)を推奨。
ポーリングレート
・1000 Hzで1 ms周期以上(高くても4000Hzが理想)
・腕フリックが速くてもデータロスはほぼゼロ。
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「センサー中心」の握り方・関節運用法
握り方
・爪式(Claw)または指先式(Fingertip)
・パームグリップは指の可動域が死ぬのでNG。
・手のひらとマウス裏面に2 mm程度の隙間を作り、軸支点を“小指付け根”に置くイメージ。
関節マッピング
・肩:水平大フリック(90°以上)
・肘:中距離水平フリック(30~90°)
・手首:水平微調整(0~30°)
・指:垂直微調整(上下に柔らかく動くのが理想)
「肩・肘は最後の手段」「手首+指でほぼ終わらせる」を徹底。
マウスパッド配置
・デスク高さ:肘が90°~100°になるように
・パッドはキーボードより10 cm手前に置き、肩が浮かないよう椅子肘掛けを外す(くそ大事)
センサー位置の意識
・マウス底面のセンサーが手首の回転軸とできるだけ重なるように握る。
・センサーが“軸”なので、マウスを“スイング”させるのではなく“ピボット”させるイメージ(上記説明)
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センシティビティ設計
EDPIの目安
・プロ中央値:240~320 EDPI(例:1600 DPI×0.2 sens = 320)
・「手首可動域25°で画面横幅の半分をカバー」を計算基準にすると
EDPI ≒ 36000 ÷(腕の長さcm × 手首可動域°)
例:腕23 cm × 25° → 36000÷575 ≒ 63 cm/360 → 1600 DPI×0.125 sens がベンチマークになるはず(微調整は自分でしてください)Zoom Ratio(スコープ時)
・ADS倍率1.0の場合、
ADS sens = Hip sens × tan(ADSfov/2) ÷ tan(Hipfov/2)
Operator(5×スコープ)は約0.747倍に落とすのが理論値。エラー対策
・「ジャイロ効果」を防ぐため、Windowsポインタ精度向上は必ずOFF
・マウス加速度はRaw Input 0で無効化(一部Accel厨もいるが初心者は切る)感覚狂う。
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練習メニューK(1日30分モデル)
【A】Kovaak’s(10分)
1. 1wall6targets TE(手首フリック)
2. Bounce 180 Tracking(手首+指の垂直追従)
3. Thin Gauntlet V2(指先微調整)
※すべてEDPI 1.2倍にしてRandom Practice効果。
【B】Aim Lab(5分)
・Static Target Switch(Pokeball)30球 → 頭打ち速度を測定
・Speed TS 60球 → 過フリックを可視化
【C】ヴァロラント (10分)
1. ボット50体メイン:クロスヘアを頭高に置き、指だけで左右にスライド
2. スパイク設置後180°ターン → 肘を使わず手首のみで
3. Guardian 100体:手首のみでタップ、肩は一切動かさない
【D】デスマッチ(5分)
・Vandal 1タップ縛り → 頭狙いのみ
・負けても振り返らない(肩を入れない)脱力観点で大事、デスマッチでうまくいくのにコンペでうまくいかないのは大体これです。
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よくあるミスと修正法
過フリック(Over-flick)
・原因:手首の可動域より大きく動かしている
・対処:EDPIを5%下げ、マウスを小指付け根でピボットし直す。指の浮き(Finger Lift-off)
・原因:LoDが高い or パッドが硬い
・対処:ロープロファイルスキート+柔らかい布パッド。肩が凝る
・原因:肘を支点にしている
・対処:デスク高さを肘より5 cm下げ、肩でなく肘で支える。センサー軸ズレ
・原因:マウス握り位置がセンサー中心からズレている
・対処:マウス底面にシールで目印を付け、握り直す。低DPIでPixel Skipping
・症状:横に1ドット飛ばして狙う
・対処:最低でも800 DPI以上、EDPI固定で sens 調整。
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プロ実例(適当にわかりやすい人)
TenZ
Derke
primmie
Meiy
「手首+指メイン」スタイルを確認可能。
腕を使わないわけじゃないよ(ここ大事)
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リャングル式 AIM は「センサーの分解能を最大限に活かし、最小限の関節で最大の精度を得る」方法論。
高DPI+低感度でカウント分解能を稼ぐ
爪式/指先式で指・手首をフリーにする
肩肘は最後の手段に徹する
日々の練習で「指一本の精度」を測定し、徐々にcm/360を長くしていく
まずは1週間「肩を使わないDM」をやってみる。肩の疲れが減り、ヘッドラインに乗せるまでの時間が明確に短くなったことを体感できるはず。
フィッツ理論(Fitts’ Law)なぜ「法則」なのか?
フィッツの法則は 1954 年に心理学者ポール・フィッツが提唱した「人間の指や手の届く速度と正確さの関係式」です。
一言で言うと 「ターゲットが遠いほど、または小さいほど、正確に届くまでに時間がかかる」
「思考のフレームワーク」として非常に有用です。
という当たり前のことを「数式」にしたもの。しかしこの数式をマウス感度や重量、ゲーム内設定に落とし込むと、意外と命中率が上がるんです。
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Fitts’ Law の式をゲーム用に翻訳する
オリジナルの式
MT = a + b・log₂(D / W + 1)
MT:Movement Time(到達時間)
D:ターゲットまでの距離
W:ターゲット幅(許容誤差幅)
ゲームに置き換えると、
→「D/W を小さくすれば、同じ正確さでより速くフリックできる」になる。
MT = a + b・log₂(D / W + 1)
この式は、一見すると難しそうですが、パーツごとに見るとクソ単純です。
MT (Movement Time) = エイムが合うまでの時間
フリックショットやターゲット切り替えにかかる時間。この時間を短くするのが目標。
D (Distance) = クロスヘアから敵までの距離
画面上で、今あなたの照準がある場所から、敵の頭までのピクセル的な距離をイメージ。
W (Width) = ターゲットの大きさ
敵の当たり判定の幅です。特にヘッドショットを狙うなら「敵の頭の大きさ」になる。
a, b = あなたのスキルやPC環境
aは反応時間、bはあなたの脳の情報処理速度のようなものです。これらは練習やデバイスによって向上する、個人の能力値だと考えてください。
エイムの「難しさ」は『D/W』で決まる
この法則で最も重要なのが D / W の部分。 これは単純な割り算で、「敵までの距離 ÷ 敵の大きさ」を意味します。この数値が、エイムの「難易度 (Index of Difficulty)」そのものになる。
難しいエイムの例↓
敵がすごく遠くに(Dが大きい)いて、豆粒のように小さい(Wが小さい)。
D ÷ W の計算結果が非常に大きな数字になり、エイム時間(MT)も長くなります。
簡単なエイムの例↓
敵がすぐ近くに(Dが小さい)いて、的が大きい(Wが大きい)。
D ÷ W の計算結果は小さな数字になり、エイム時間(MT)も短くなる。
どうすれば速く正確なエイムができるか?
フリックを速くするには、この「難易度(D/W)」をいかに小さくするかが鍵になる。
D (距離) を小さくする
クロスヘアを常に敵がいそうな場所に置く(置きエイム)ことで、いざ敵が現れたときの D を最小限にできます。これがフリックを速くする最も効果的な方法。
W (大きさ) を大きくする
これは「敵に近づく(接近戦を挑む)」という立ち回りの問題になります。遠距離戦を避け、得意な交戦距離に持ち込めば、相対的に敵は大きく見え、エイムは簡単になる(相手も同様の条件)
b (スキル) を向上させる
同じ「難易度(D/W)」の敵に対しても、反復練習によって b の値を小さくすることができます。これがエイム練習の本質です。練習すればするほど、脳と筋肉が動きに慣れ、より速く処理できるようになるため、エイム時間(MT)が短縮される。
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D/W を小さくする3つのレバーを考える
レバー1 D(距離)を減らす
・置きエイム(クロスヘアプレイスメント)(プリエイム)を徹底する。
レバー2 W(ターゲット幅)を増やす
・敵の頭部を大きく見せる
① FOV を下げる(Valorant は固定)
② 解像度を下げる(敵がぼやけるので非推奨)
③ 画面を近づける(距離 50 → 40 cm で W 約 1.2 倍)
・「見かけの W」を増やす=敵を大きく見せる工夫
レバー3 a, b 係数を小さくする
・a:知覚遅延(OS・モニタ・ネット)
・b:筋力・重量・摩擦
→ 軽いマウス、滑りの良いパッド、軽いクリックで b を減らす
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練習メニュー(Fitts ベンチマーク)
Kovaak’s「1wall6targets small」
・D/W 固定シナリオ
・毎回 MT と命中率を CSV 出力
・週ごとに b 値を Excel で傾き計算Aim Lab「Microshot Speed」
・ターゲットサイズを 50 px → 40 px → 30 px と段階的に小さく
・MT 変化を観察し、b 値を可視化Valorant Range「Hard ボット 30 体」
・タイマーアプリを並行起動
・180° フリック時の MT をスプリット計測
・1 日 5 セット、7 日間で b 値 5 % 減を目標
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応用テクニック
5-1 動的ターゲットでも使う
敵がジャンプ=W が時間変動
→「平均 W」を事前推定し、センシティビティを 1.1 倍に「事前ブースト」(Valorant では不可、Apex では可)
5-2 マウス重量チューニング
・軽いマウス=b 値減、しかし微振動が出やすい
・重いマウス=b 値増、しかし振動抑制
→ 60 g → 65 g → 70 g と 3 段階で AB テスト
誤クリック率最低の重量を採用
5-3 画面距離の法則
・画面までの距離を 5 cm 近づけるだけで
D は変わらないが W が 1.2 倍 → D/W が 17 % 改善
・ノート PC プレイヤーはすぐ実行可能
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Web ツール「Fitts Analyzer」
・ブラウザで D / W / MT を入力すると
推奨 EDPI を即座に出力
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(FAQ)
Q1. 敵が動いてるのに「静的ターゲット前提」でいいのか?
→ 動く敵は「予測ライン上の仮想ターゲット」を作れば OK。つまり Fitts の W を「敵の未来位置に対する許容誤差」として扱う。
Q2. 低解像度にすると敵が大きく見えて有利?
→ 見かけの W は増えるが、ピクセルスキップも増える。両者を足し合わせた「有効 W」を計算して最適解を探す。
Q3. マウス加速度を掛けたら Fitts は崩れる?
→ 加速度は b を速度に応じて変化させるため、式が非線形になる。Raw Input 0 にしておけば問題ない。
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Fitts の式を「敵までの角度 ÷ 敵の見かけ幅」に置き換える
MT(到達時間)を測定し、a, b 係数を数値化
b を下げる=軽量マウス、低摩擦パッド、低遅延モニタ
D/W を下げる=最適 EDPI、画面距離、FOV 調整
Kovaak’s・Aim Lab・Valorant で毎日 10 分計測
科学実験のシミュレーションであり、そのまま実践するのは困難だと思います。重要なのは「Dを小さく(置きエイム)」「見かけのWを大きく(画面距離)」「bを小さく(練習・デバイス)」という方向性を理解し、自分の設定や練習法を試行錯誤するためのヒントとして活用することです。
1 週間やるだけで「180° フリックの命中率 5 %UP」は簡単に達成できるはず。理論を裏付けた練習は、ただの「撃ちまくり」と違って改善が明確に数値化できるので、ぜひ試してみてください。
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