2025年7月25日、「ジャングリア沖縄」がオープンした。事業を主導するのは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン出身の有名マーケター森岡毅氏が率いる刀だ。構想約10年の念願のパーク開業だが、開業当初の評判には賛否両論がある。日経クロストレンドはオープン直前に森岡氏と、プレオープンのジャングリア沖縄に取材を実施。同施設の勝ち筋を分析する。
沖縄県初となる本格的なテーマパーク「ジャングリア沖縄」(沖縄県今帰仁村)が、2025年7月25日にオープンした。開業前から多くのメディアで、パークの様子が取り上げられたことによって注目を集めているが、その評判は様々だ。実際にアトラクションを体験した人によるポジティブな称賛の声が上がる一方で、チケットシステムの不具合や待ち時間の長さに対してネガティブな声を上げる人も少なくない。
日経クロストレンドでは、プレオープン時にジャングリア沖縄を訪れて、現地取材を実施。記者の目線でパークの出来上がりを評価すると同時に、刀(大阪市)代表取締役CEO(最高経営責任者)の森岡毅氏を直撃し、同氏が考えるジャングリア沖縄の勝ち筋について聞いた。
- 沖縄美ら海水族館の来客数をベンチマーク
- 「沖縄=海」のイメージ、ジャングルのテーマパークは刺さるのか
- 施設増設には刀の需要予測メソッドを活用
- 滞在時間は平均7~8時間を想定
沖縄美ら海水族館の来客数をベンチマーク
まず多くのビジネスパーソンが注目するのが、そもそもジャングリア沖縄がテーマパークとしての経営が成功するかどうかだろう。最大の課題とされるのが、その立地だ。
「東京ディズニーリゾート」や「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」などの大規模テーマパークが大都市圏にあるのに対し、ジャングリア沖縄は観光産業を中心とした沖縄県にある。しかも県内の経済中心地である南部エリアではなく、那覇空港から車で約1時間半~2時間かかる北部に位置する。十分に来客数を確保して、ビジネスを成り立たせられるのか。
この疑問に対して森岡氏は、「ジャングリア沖縄を(沖縄県の)南部につくったほうが集客しやすい。これはイエスだ。飛行機で来る必要がある沖縄ではなく、東京のど真ん中につくったほうが集客しやすい。それは間違いない」と言う。
その上で、「だからこそ、これまで沖縄に大型テーマパークはできてこなかった。沖縄の南北のバランスある発展を実現し、沖縄が豊かになることで日本の観光業が発展する。僕たちはそれに挑戦したい」(森岡氏)と、沖縄北部にテーマパークを開業したことへの意気込みを語る。
では、実際どのように集客をしていくのか。経営上の採算を考える上では、ジャングリア沖縄と同じく北部に位置し、ジャングリア沖縄から車で20分程度の距離にある「沖縄美ら海水族館」(沖縄県国頭郡)がベンチマークになる。
「(年間で)300万~400万人が訪れる北部の今の状況でも、採算が取れるパークを設計できれば、持続性のある事業をつくれる。沖縄美ら海水族館の半分でも集客できたら経営が成り立つパークをつくれれば全然問題はない。ジャングリア沖縄の目標はもっと高いが、たとえそれくらいであったとしても、経営が成り立つのであれば大丈夫」と森岡氏。
沖縄美ら海水族館が毎年発表する「沖縄美ら海水族館年報」によると、24年度の入館者数の合計は343万8536人。この半数程度の集客数を需要予測の底値の基準とした上で、経営が成り立つことをベースに投資額を決定したという。
「それが(ジャングリア沖縄の総事業費である)700億円だ」と森岡氏は語る。この金額は東京ディズニーリゾートやUSJなどの大規模テーマパークと比べると、かなり少額だ。従来の北部来客数の構造から、最低集客数を考えることで、手堅い経営ができるのだという。
急激な集客による交通渋滞への懸念もあり、初年度は「沖縄美ら海水族館ほど集客しなくてもいい」と森岡氏は語る。
「沖縄=海」のイメージ、ジャングルのテーマパークは刺さるのか
テーマパークの最重要事項である立地上では、需要予測に基づいた手堅い運営ができるということだが、気になるのは沖縄を訪れた観光客にいかにジャングリア沖縄を想起させられるのか、という点だ。
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