古賀及子さんが『好きな食べ物がみつからない』という本を出した。中に僕の記事に触れてくれるパートがあって、その関係でいただいて早めに読むことができた。
これは古賀さんが好きな食べ物を探す本。エッセイというと、短い話がたくさん入っているものしか読んだことがなかったが、これは一冊ずっと、食べに行ったり作ってみたり、とにかく好きな食べ物(自己紹介で発表する時の「好きな食べ物」)を探している。
終盤近くで候補が増えすぎてもう決まらないのでは、という雰囲気が漂ってから、一つの結論に向かっていくところが気持ちよかった。確かにこれだけ長い試行錯誤が必要だよな、と納得しちゃうシーンだった。
結論の評判がちょっと悪いところも良かった。きっと内容じゃなくて、人の習性なんじゃないかと思ったのだ。悩んでる人の背中は押したくなるし、覚悟を決めちゃった人には「ちょっと待てよ」と言いたくなる。だから大歓迎されなかったってことは、古賀さんの目に迷いがなかったってことなんだ。そう思った。
そして読んでいて「自分はどうしよう」とずっと思っていた。そういう本だから。考えてみよう。
宣言したい好きな食べ物
過程は省略するけど下の4つが候補に挙がった。
・おそば
・里芋を茹でたやつ
・カレーうどん
・ブリ
それぞれこんな意図がある。
おそば:よく家で乾麺を茹でて食べるし、お店でも食べる。「蕎麦」や「そば」と表記すると「そば通」っぽさが出るが、そうじゃない。そば粉のこととかよく知らない。たまに食べて、質に関わらずそばでしか回復できないポイントを保っている感じ。そういう記号っぽさとリスペクトを含んだ表現として「おそば」とした。
里芋を茹でたやつ:里芋が好きな気がする。家でよく煮物を作る。気を抜いて作ってもおいしくできる。でも「煮物」って言うといかにも和食やってます、って感じが出て腰が引けてしまう。「茹でたやつ」にしよう。里芋のコロッケもおいしかった。
カレーうどん:最近、カレールーじゃなくカレー粉で作ってみたらすごくおいしかった。これからチーズ入れたりラー油かけて食べてみたりしたい。好きだ。カレーうどん屋さんでアルバイトをしていたこともある。
ブリ:魚が好きな気がする。飛び抜けて「これ」というのはブリかもしれない。お刺身でも焼き魚でも何でも好きなんだけど、よく食べるのは照り焼き。でもサンマも好き。数ヶ月前、ニュースで「今の時期は安いしおいしいです」と言っているのを見て、急いで買って祈るように食べた。普段はほとんど食べない。
足も手も動かさず頭だけで考えているので、自分で見ても頼りない。逃げる表現のことばっかり考えている。ブリのところでサンマって言ってるし。
今無理にでも1つに決めるのならカレーうどんかもしれない。逃げずに語っていたから。でも夏はカレーうどんって言わないだろうな。半年以内に変わっちゃう自信がある。でも今は好きなんだよな。