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【解説:検察官の誤謬】 これは、アメリカのコリンズ裁判という実際の事件の話です。第一審では陪審員が検察官の主張を認めて有罪判決が宣告されましたが、カリフォルニア州上級裁判所は検察官の主張が確率論として間違っていることを理由に有罪判決を破棄しました。 第一に、6つの条件の中には互いに独立しているとはいえないものがあります。「顎鬚の黒人」と「口髭の黒人」という要素は独立しておらず、「顎鬚も口髭もはやしている黒人」はこれらを乗算した確率の特徴ではありません(女性の髪形も同様)。サイコロで1の目が出る確率は6分の1であるところ、「奇数(1/2)」「3以下の目(1/2)」「1の目(1/6)」の確率を掛け合わせて「奇数で3以下で1の目が出る確率は1/24」だと言うような主張なのです。 第二に、仮にそれらの見積もりが正しくて1200万分の1の確率の特徴であったとしても、大量の人を捕まえれば同じ特徴の二人組が発見される確率は高くなります。例えば、日本に約10人同じ特徴を有する二人組がいることになり、被告人ら以外が犯人である可能性があります。 これは「検察官の誤謬」と言われる問題で、裁判の事実認定において注意されるべきものと言われています。
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@YoshiyukiNishi_
【問題】 強盗事件で目撃者から次の証言が得られました。 「犯人は黄色い車に乗った二人組、一人は顎髭と口髭をたくわえた黒人男性、もう一人はブロンドでポニーテールの白人女性。」 これらの特徴に合致する2人組が逮捕され、検察官は次のような主張をしました。 「顎髭の黒人という特徴の確率は1/10
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