7月29日10時から行われたANYCOLORの株主総会。VTuberグループ「にじさんじ」を運営しており、同じく上場企業のカバーが運営する「ホロライブ」などとともにVTuber界を盛り上げています。
| 直近経営資料 | 2025年4月期決算短信、決算説明会資料、書き起こし、中期経営計画 |
|---|---|
| 株主総会資料 | 定時株主総会招集通知 |
| 前回 | ANYCOLOR株主総会2024レポ|田角陸CEO「今後の海外展開では、お客さまとの信頼関係を再構築していくために、お客さまを魅了できるコンテンツ作りの強化を引き続き行っていく。収益面では、国内とは少し異なる手法でしていきたい」 |
業績は増収増益。来期も増収増益見込み。
| - | 売上 | 営業利益 | 純利益 | PER | PBR | 時価総額 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ANYCOLOR・23年4月期 | 253億円 | 94億円 | 66億円 | |||
| ANYCOLOR・24年4月期 | 319億円 | 123億円 | 87億円 | 15.5倍 | 8.19倍 | 1653億円 |
| ANYCOLOR・25年4月期 | 428億円 | 162億円 | 115億円 | 21.4倍 | 12.8倍 | 2820億円 |
| ANYCOLOR・26年4月期予想 | 490-510億円 | 190-200億円 | 131-138億円 | |||
| カバー・25年3月期 | 434億円 | 80億円 | 55億円 | 24.7倍 | 8.33倍 | 1411億円 |
| UUUM・25年9月期予想 | 219億円 | 5億円 | 3億円 | -倍 | -倍 | -億円 |
| エイベックス・25年3月期 | 1316億円 | ▼18億円 | 11億円 | 44.8倍 | 1.07倍 | 581億円 |
| アミューズ・25年3月期 | 681億円 | 27億円 | 16億円 | 17.9倍 | 0.78倍 | 301億円 |
※株価は株主総会の前営業日終値を使用。PERは予想、PBRは実績
にじさんじ(ANYCOLOR)とホロライブ(カバー)がVTuber界の二大事務所とされますが、よく言われる違いは玉石混交のにじさんじに対して、少数精鋭のホロライブということ。
ANYCOLORの所属VTuber数は170人(2025年4月末時点)なのに対して、カバーの所属VTuber数は89人(2025年3月末時点)。
にじさんじはデビュー数も卒業数も多い一方、ホロライブの卒業は極めて珍しい出来事……だったのですが、直近ではホロライブの卒業ラッシュが目立っています。
ファン層をみると、女性演者のみのホロライブは男性ファンが多いのに対して、男性演者も女性演者もいるにじさんじは女性ファン、特に20代の女性ファンが多いことに特徴があります。
ビジネス領域別の売り上げをみると、コマース(グッズ販売など)が圧倒的。VTuberブーム初期に主流だったライブストリーミング(YouTube広告やスパチャ、メンバーシップなど)は頭打ちになっています。
このへんはVTuberという言葉から想像されるイメージと異なるかもしれません。
ここ一年の主な動き
2024年5月 Denauthデビュー
6月 いずれ菖蒲か杜若デビュー
7月 Specialeデビュー
10月21日 Webマガジン「ANYCOLOR MAGAZINE」発行開始
2025年2月21~23日 『にじさんじ 7th Anniversary Festival』開催
2月26日 新時代のVTuberライブの実現を目指し、リアルタイムMRライブシステムをANYCOLORとstuが共同開発
3月 BY THE BEATデビュー
4月 一橋綾人・五木左京デビュー
5月26日 コーエーテクモゲームスの著作物の利用に関する包括的許諾契約締結のお知らせ
7月25日 米VTuber企業「VShojo」操業停止 タレントが募った寄付金の流用認める CEO「資金調達に失敗した」(ITmedia NEWS)
手元資金(ネットキャッシュ)の推移
現預金が約160億円ありますが、中期経営計画の中で、2027年4月期までに累計の営業キャッシュフロー約400億円を目標として掲げています。
現預金と累計営業キャッシュフローを合わせた560億円を、スタジオへの投資、あるいは「にじさんじ」の派生事業としてアニメやゲームなどのメディアミックスの展開、その他サービスの開発への投資に30~50億円、手元現預金やM&A投資枠として約200億円、自己株取得を中心とした株主還元に300億円以上振り向ける方針です。
| - | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|---|
| 営業CF | +67億円 | +69億円 | +111億円 |
| 投資CF | -1億円 | -6億円 | -22億円 |
| 財務CF | 0億円 | -24億円 | -93億円 |
| - | 2023年4月末 | 2024年4月末 | 2025年4月末 |
| 現預金 | 124億円 | 162億円 | 158億円 |
| 有利子負債 | 3億円 | 1億円 | 0億円 |
| ネットキャッシュ | 121億円 | 161億円 | 157億円 |
議案
(1)取締役(監査等委員である取締役を除く。)3名選任
(2)監査等委員である取締役3名選任
| 前年株主総会 | 今回候補者 |
|---|---|
| 田角陸 | 田角陸(CEO) |
| 釣井慎也 | 釣井慎也(CFO) |
| ▼鈴木貴都(国内VTuber事業) | 【社外】有富丈之(弁護士) |
| 【社外】有富丈之(弁護士) | 【社外・監査等委員】前川俊策(元住友商事ケミカル取締役) |
| 【社外・監査等委員】前川俊策 | 【社外・監査等委員】山岡佑(公認会計士) |
| ▼【社外・監査等委員】梅田泰子(弁護士) | △【社外・監査等委員】丸山裕子(グレイスグループ社長) |
| 【社外・監査等委員】山岡佑(公認会計士) |
(3)取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。) に対する譲渡制限付株式の付与のための報酬決定→年額20百万円以内
株主総会のTwitter実況
株主総会の様子は僕のTwitter(@michsuzu)で「#ANYCOLOR株主総会」のハッシュタグをつけてツイートしていたので、まとめておきます
ちなみに、ANYCOLORのIR資料には「CONFIDENTIAL」との透かしが入っているのですが、これは上場企業の一般的なIR資料にはない表示。恐らくライバーの画像等の悪用を防ぐための形式的なもので、報道目的なら問題ないという認識で引用しています。ツイートでも確認していますが、問題があればご連絡ください’。
※クシムの田原弘貴社長(1996年8月13日生の28歳)も20代でした。
Q(事前質問) 鈴木貴都取締役が選任されていないが、その理由は
田角: 鈴木取締役は今期をもって任期満了となり、本人の意向を尊重して退任することとなった。在任中はエンタメ業界での豊富な知識と経験から、国内VTuber事業の発展に多大なる貢献をいただいた。この場を借りて、厚く御礼申し上げる
Q(事前質問) 株主優待の新設についての意向を聞きたい
田角:当社は企業価値の継続的向上とともに、株主への利益還元を経営上の重要課題のひとつと位置付けている。将来における安定的な企業成長と企業環境の変化に対応するために必要な内部の資金を確保しつつ、経営成績に応じた株主への利益還元を継続的に行うことが基本方針。
具体的には、事業から生み出される利益については、事業費用や設備投資を通じた事業の成長、株主への還元、将来の投資を見すえた内部留保のバランスを考慮しながら活用していく。
今後とも、業績の向上と利益の確保を念頭に置いて業務にまい進していく所存で、株主優待は現時点では実施していないが、ご理解たまわりたい
Q(事前質問) コマース領域を中心に、既存顧客以外の新規顧客獲得のために検討していることはあるか。現状の認識と今後の対策について
田角:今後の具体的な対策の内容については、この場での回答は差し控える。
海外圏を中心に当社コンテンツの認知度をさらに広げていきたいと考えている。グッズ展開は既存販路だけでなく、新しい販路も随時拡大している。今後は規模の大きいポップアップストアの展開も前向きに検討しているので、期待していただきたい
Q(事前質問) 既存VTuberのサポート体制の充実、イベント施策におけるVTuber間の待遇格差、VTuberのプロモーションバランスについて
田角:VTuberひとりひとりが活躍できるコンテンツを作り上げ、充実したサポート体制を構築するのが当社の使命と考えている。VTuberひとりひとりに平等に機会を用意しているので、既存・新規問わず、今後もVTuberひとりひとりに充実したサポートを構築していきたい。
また、デビュー時のバックアップ体制は当社の成長に伴い拡充してきている。デビュー時の体制は今後も拡充させていき、合わせて既存VTuberのバックアップ体制も拡充したい。
Q(事前質問) 誹謗中傷等への対策についての進捗状況は
田角:具体事案の進捗状況についてはこの場での回答は控えるが、悪質な誹謗中傷等への対応は、当社でさまざまな角度から検討を行い、対応を実施している。
今後も所属ライバーを守るため、悪質な誹謗中傷等には実効性のある対策を講じていきたい
Q(事前質問) VTuberの健康管理についてどのような対策を実施していて、今後拡充する予定があるのか
田角:各ライバーに担当マネージャーがついていて、日ごろから密にコミュニケーションをとることで、体調面・心理面の十分なケアを行っている。
ライバーから希望があれば、当社を介することなく当社の産業医によるカウンセリングを受診できる体制も整えている。今後も引き続き、ライバーの健康管理を適切に行える体制作りに尽力していきたい
Q(すずき) コマースの売上がこれだけ伸びて、今後も重要なら、自社でグッズの製造施設や物流倉庫を持つことは考えないのか。柔軟な対応や品質管理がしやすくなり、当社の差別化要素として所属VTuberが所属し続ける理由にもなると思うが、どう考えているか
田角:具体的に何か申し上げることはできないが、発送や製造管理のところ、ここはお客さまに満足いただけるような販路や企画、発送をしっかりしていく必要がある。貴重な意見として今後の参考にさせていただく
Q 当社関係者に撮影行為をしたとされる外部音楽家の関わるコンテンツを非公開化した件について。クレジット等の記載から被害者が詮索されることを防ぐ目的とあったが、名前を挙げるXのポストやニコニコの動画がそのままなのはいかがかと思うので対応してほしい
田角:具体的に起きた事象についての対応策について、この場で回答することは難しい。
こういった不祥事や炎上が起きてしまったら、社内で適切な規定に基づいて、しっかりした対応策をとったり、必要であればリリースで公表したりするなどしている。本件に関しても同様に対処しているので、そこはご安心いただければ
Q 最近、生成AIでアバターを作って音声を付けたりしているのをみると、素人目にはVTuberに似てると感じる。そういった技術は競合とみているのか。引退後もAIに読み込ませて活動するとか、最初から中身がAIとかは検討しているのか
田角:生成AIとキャラクターを組み合わせたコンテンツは、VTuberと一見似ているが、VTuberの魅力はキャラクター性だけでなく、人間性やタレント性といった、実際にタレントとして活動しているところに、魅力を感じていただいているところにあると考えている。根本の魅力の部分は、VTuberとは違うと思う。
一方、生成AIを使ったコンテンツも徐々に浸透し始めているが、VTuberとは違う文脈かなと思っている。いろんな法的リスクや、レピュテーションリスクはありつつではあるが、社内で活用できないかなどは検討すべき事項かとは思っている
Q 当社ライバーが開設しているファンクラブの偏りについて。開設しているのは女性ライバーに偏っている。当社ファンの多くは女性で、男性ライバーのファンであることが多いので、よりバランスをとった方が望ましいのでは。どうして女性ライバーに偏っているのか
田角:ファンクラブが女性ライバーに偏っている背景については、なかなか申し上げられない。
ファンクラブだけでなく全企画そうだが、我々の方から企画を練ったり、ライバーから上がってくることもあるが、企画があって関係者も含めて適切なコミュニケーションをとった上で決まってくる。
その意味では偏りがあるのは課題感としてはありつつ、意図的にやっているというよりは、おのずとそういった形に落ち着いている状況かとは思っている
Q 金融庁が「有価証券報告書の提出は株主総会前が望ましい」と要請していて、東証プライム企業の多くが株主総会前日までに提出している。当社も来期以降は要請に従ってほしい
田角:貴重なご意見ということで、今後の参考にさせていただく
Q にじフェス2025で行ったにじさんじENとして初めての現地ライブに関して、売上を公表してほしい。決算説明会資料ではゼロになっていて、悪意ある風説の流布を助長しかねない。また、海外ライバーはイベントに力を入れるほど、配信頻度が下がる構造的な問題があるのでは
田角:具体的なデータの開示はしていない。しかし、おっしゃっていただいたことはその通りなので、貴重な意見として今後の参考にする。
イベントに出演すると、海外在住タレントは日本に渡航しなければならないので、配信機会がとりずらくなるのはおっしゃる通り。イベントを減らすというよりは、イベントに出る機会を取りつつ、配信の機会を減らさない工夫が大事かと思っている。
海外タレントへの誹謗中傷に対しては、社内の誹謗中傷対策チームに加え、海外の弁護士やアドバイザーにアドバイスしていただきながら対応していきたい。
Q 加賀美ハヤトさんが出演したAR技術のイベントがあったが、その体験会のようなものを今後実施する予定はあるのか。AR機器を使ったリアルとバーチャルの融合のようなイベントは行われるのか
田角:年初に行った新技術実証実験イベントについて。ARのヘッドマウントディスプレイをかぶって、ライブ会場でイベントのパフォーマンスをみるというもので、満足度は高かったものの、機材が重かったりとか、魅力的な体験はありつつも課題があるかと思っている
今後、こういったARを使ったイベントをやっていくとかはなかなか言いづらいが、形はさまざまであれ、新技術を使って、お客さまに満足いただけるようなコンテンツの提供は引き続きやっていきたい
Q 世界でも国内でも、社会情勢が目まぐるしく変化している。5年後、10年後の社会がどうなっているか予測しながら、会社のあるべき姿というのを聞きたい。せっかくなので、田角さん以外の取締役の声も聞きたい
田角:VTuberという存在はキャラクター性とタレント性という2つの特徴がある。この両方が同時に存在しているのがエンタメ業界の中で唯一無二の武器で、魅力ある部分。
5年後、10年後、もう少し長いスパンでもそうだが、VTuberがいちエンタメコンテンツ、流行というところから、エンタメ業界をひっぱっていくような、日本の誇れる文化となるような存在となるような取り組みをしていきたい
Q ライバーの卒業報告に関して、決めごとはあるのか。内容は基本秘密のメンバーシップ内で報告して、SNSでは匂わせる程度で、その後公式が周知する流れがある。他社だがカバーの湊あくあさんの卒業報告では株価が動いたので、そのやり方だと問題が発生するのでは
田角:ライバーの卒業に関しては、基本的には弊社の担当とライバーでよくすり合わせた上で、納得のいくような形で告知している。
そういった告知が株価に影響とか出ないようにとかは、まさに気を付けるべきポイント。今後の参考としていく
Q 同じ企業の案件を複数やっているケースが少ないと感じる。志摩スペイン村みたいな成功事例がある一方、実は私もある件で関わったが、思うような結果が出ず、なかなか次が通らない経験をした。今ひとつ結果が出なかった企業への再アプローチはしているのか
田角:今、企業からリピート案件をいただいているものは結構数多い。一方で、リピートいただけないものももちろんある。
そういった場合には、弊社からプラスアルファで「こういうことはできないか」とか、企画の内容を変えて提案するとか、反省を生かして今後につなげられるよう対応していく
Q 東証が4月24日、投資単位の水準として10万円程度にするよう要請した。今、ANYCOLORの単元株価は45万円ほど。単元株価の引き下げについて、会社としての見解を聞きたい
田角:おっしゃっていただいたことは認識している。現時点で何か回答することはできないが、貴重な意見として今後の参考にさせていただく
Q VTuberは熱狂的なファンもいる一方、ちょっとニッチなアイドルというイメージもある。AKB48や初音ミクのようなメジャーな存在になるよう、地上波の音楽番組やバラエティ番組に出演してはどうか。さらに知名度アップするための施策は
田角:開示している範囲でも、いろんな取り組みをしている。地上波への露出もそうだが、グッズの領域だと、横浜にぬいぐるみストアを出したりすることで、XやYouTubeを積極的に見ていただけた。
VTuberやにじさんじが身近にあるような、街を歩いていたらそこにいる、テレビをつければそこにいるような存在になれるよう、さまざまなプロモーションや取り組みを行っていきたい
Q 投資計画について。財務諸表をみると借り入れが非常に少なく、実質無借金経営。デフレだと現金が強いが、最近はインフレでこれは中長期的な傾向とも言われる。収益のみで投資していく保守的な計画なのか、それとも融資も活用していくのか
田角:具体的な方針はないが、営業キャッシュフローの中で必要な投資をした上で、株主還元もできている状況と思っている。
足元で100~200億円の大きな投資が必要なビジネスモデルではないとは思っている。ただ、M&Aとか新しい事業領域を拡張していく時に融資を検討することはあるかとは思う
Q にじさんじENの売上が、2025年4月期決算では各領域で下がっている。大きなイベントだと全体に計上される部分もあるので仕方ないとは思うが、2023年比で半分になっている領域もある。課題として海外の開拓も挙げているが、足元の業績もかんばしくない。今後の対策は
田角:にじさんじENの収益状況は少し厳しい状況にあるという認識。
ここ1~2年は、タレント・ファンとの信頼関係の構築に取り組んできた。その中で、2025年4月期第4四半期は、YouTube上のKPIも少しずつ改善傾向がみられた。マイクラ企画配信や新人デビュー、にじフェスへの出演でモチベーションが上がって配信活動を頑張るとか、足元では改善傾向にある。
まだ収益の回復には至っていないが、足元の回復状況に乗っかって、音楽展開やYouTube企画の展開で、お客さまを増やす取り組みをして、収益回復していきたい。
Q 今期の成長事業がコマース(グッズ)領域に偏っていると感じる。コンテンツの魅力あってのグッズだと思うが、今後の各領域ごとの事業展開についてどう考えているか
田角:コマースの収益比率が上がっているのはご指摘の通りで、今後も継続的にこの比率は高まると思っている。
一方、その他の領域もしっかりと成長させていく必要がある。例えば、ライブストリーミングだとショート動画、音楽活動、番組の活動、ユニットとしての活動もそうだが、お客さまの目に触れやすいコンテンツを増加させていく。
ここがしっかり上がると、他のコマースやプロモーション、イベントも、VTuberの人気にともなって成長していくと考えている。
Q イベント領域について。2月にチケット販売でトラブルが発生したことがニュースとなった。自社で販売ルートを構築するとか、問題が発生した際にどのように対処していくのかという施策を聞きたい
田角:個別のトラブルについてのコメントは、この場では差し控える。
いち事業者に依存することなく、さまざまな展開ルートを持つことが重要。やはり、ああいったことが起こらないよう対応していくところが重要。足元でも改めてフローや体制の見直しをしている
Q 昨年に新スタジオを開設して、うまく運用しているのは心強い。一方、前期に100人以上新しく社員を採用し、組織体制を拡大する中、現場の意見やアイデアが上まで届きにくくなったり、意思決定に時間がかかることはないか。柔軟性が大事だが工夫していることはあるか
田角:課題としてある。部署間も部署内でもそうだが、新しく入った人が多いと、コミュニケーションがすぐに円滑に進むわけではない。
部署内でコミュニケーションを図るために、飲み会の補助のようなものも用意している。そういったことをしていくことで、より密な連携がとれて組織としても施策や仕事が円滑に進むような取り組みをしている
Q 主な事業内容が4項目あるが、これはクルマの4つの車輪のような関係性で、どれが欠けてもいけないと思う。特にライブストリーミングで何かをバズらせることで他事業に波及させるのが大事。バズりを増やすことがポイントだが、増やすための施策やKPIなどはあるのか
田角:会社からライバーに対して、アドバイスを行える体制が整っている。
具体的な内容は差し控えるが、基本的な方針としてはショート動画と生放送、通常の動画をバランス良く、さまざまな目的意識を持って、新しいお客さんも既存のお客さんにもバランス良く展開していくべきとアドバイスしている
Q 人気ライバーの記念日グッズだと、普通の販売から5分後に売り切れて、翌日に再販になったりする。最初から受注販売にするとかは考えないのか
田角:受注販売は良いところも悪いところもある。お客さまに届くまでの時間がどうしても長くなってしまう。
通常の数を仕入れての販売も一定しつつ、どうしても上振れて受注販売に回してしまうものがあるのが今の状況。最初から受注販売のみにするのは少し考えにくいが、商品によってはそれでもいいかもしれないとは思っている
Q 不適切な発言や不祥事でのライバーの契約解除や卒業が多々見られるが、どのような対策を講じているのか
田角:そもそも不適切な発言や不祥事が起こらないようにする体制が重要。タレントも社員もそうだがコンプライアンス研修、ハラスメントも含めた内容を通じて、何が良くて何が悪いのかをしっかり理解してもらう。もし、不適切な言動があった場合には、社内規定に則って適切なチームを組んで、対応策を検討する。
炎上や不祥事があった後に、社内の問題意識やコンプライアンス意識を向上させるため、振り返り反省することも大事。研修資料の見直しや、もう少し早めに察知できなかったのかといったところも含めて、社内の意識を見直すことが重要だと思っている
Q コマースで海外が中長期的な成長ドライバとなる時、米国の関税措置はどうかかわってくるのか。また、日本のアニメルックなアバターについて、「見た目が不快だから規制しろ」といった表現規制が海外で入る可能性があることについてどう考えるか
田角:関税措置は、現時点ではほぼ影響がないと思う。少し長い目線で見ても、そういった影響が出ない形で対応していくことが重要かと思っている。
表現規制に関しては、そういった事象が発生した場合は、社内の弁護士チームと連携して、内容にもよるがしっかり検討した上で対応していきたい
Q にじさんじENのサポート体制について。今年4月に突然、アイク・イーヴランドさんの卒業発表があった。メンタルヘルスに問題があったと記憶している、スウェーデン在住を公言していたが、ライバーサポートの品質を向上させるためにどのようなことをしていくのか
田角:タレントに対するコミュニケーションのところでは、担当マネージャーが日々のコミュニケーションの中で心理面・体調面の問題を検知できるようにしている。もし不調があるようなら、一時的な休みを取ったり、活動をペースダウンするとかしている。
マネージャー以外にも、ライバーから要望があれば、当社の産業医と直接コミュニケーションをとって、カウンセリングしてもらえるような体制も構築している。ライバーの心理面・体調面は、継続的な活動をしていただくために非常に重要だと認識しているので、体制として良いものを作れるようにしていきたい
Q 日本を代表するIP企業のサンリオは意識しているか。当社IPは属人的な要素が強く、サンリオのようなコラボの設計がない。また、個人投資家向けの説明会を検討してほしい。あと、新スタジオもすぐスケジュールが埋まると聞いたので、さらなるスタジオの増設をお願いしたい
田角:サンリオは同じエンタメ業界だが、VTuberはキャラクター性とタレント性を備えているという観点で少し違う領域。先日発表したが、サンリオとは一緒にコラボする関係性。引き続きご一緒できるところはしていきたい。
我々としてはサンリオを意識してという観点ではないが、にじさんじというブランドグループが、サンリオのようにより認知される存在となれればいいと思っている。
それ以外のご意見もありがとうございます。参考にさせていただく。
Q VTuberはあまり詳しくないが、バイトの子が関心を持っていたので株を買った。VTuberの卒業という話はよく聞くが、独立したりホロライブに移るとかはあるのか。ゴールが卒業しかないとなるとどうなのかと、先々を見すえた時に気になっている
田角:生身のタレントと比較すると、キャラクター性とタレント性が同時に存在することが違う部分。
生身のタレントだと自分で動けばいいだけだが、VTuberだと動かすためのスタジオや、Live2Dのようなイラストを動かす仕組みを必要とする。
それ以外でも、キャラクターグッズの企画やプロモーションのところで、なかなか独立してやっていくことは難しい領域かとは思っている。だからこそ弊社に応募いただける数も多いし、それがVTuberの魅力にも直結していると思っている
Q デビュー戦略に関してVTAを挙げていたが、VTAは2023年8月にルール違反で在校生が大幅に減少した。違反者が公開されていないことで、元在校生全体に違反行為の疑いがかかっている。業界の未来を見据えると設立時に言っていたが、この状況をどう思うか
田角:具体的なコメントはしづらいが、VTAではVTuber業界を広げるため、中長期的に活躍できるような人材を輩出することを目指して、レッスン・座学・研修を行っている。
これからデビューする子たちが長く活躍できるよう、不祥事や不適切な発言をしないようなコンプライアンス研修をしている。デビューしたメンバーもしっかりコンプライアンス研修や、先ほど申し上げた対応をしていくことで、今後より長く活躍できるような人材になるのではないかと思っている
Q 本日も真摯にすべての質問に答えていただきありがとうございます。ただ、社長のみが答えているのが気になる。社内の雰囲気を感じるためにも来ているので、社長以外の取締役・監査役、一部でいいので5年後のビジョンでも何でもいいので話を聞きたい
(田角さんが少し事務局と相談した後、有富丈之さんと前川俊策さんが回答)
有富:私は弁護士で、VTuber業界にもともと詳しかったわけではない。ただ、取締役会などに参加して、すごく魅力的で、今後伸びていく業界だと思っている。
タレント性とキャラクター性の両立はなかなか甘いものではないとは思うので、そんな文化を支えていけるようなサポートをしていきたい。
前川:私は監査等委員という立場で、取締役の業務執行をみているが、例えばサステナビリティという問題がある。当社の事業そのものは地球温暖化に直接関係はしないが、地域社会、広くは地球環境も含めて大きな影響を持っているところがある。
また、ネット社会での権利侵害、ライバーへの誹謗中傷に対して、会社がどのような対応をしているかも監査等委員としてみている。誹謗中傷チームを作っているという説明があったが、活動がどのように行われているかを経営会議やコンプライアンス委員会に出て確認している。
多くのステークホルダー……株主、提供しているサービスを楽しむファン、取引先のみなさま、すべての利益を守るというか、みんながWINWINになるような業務の遂行がなされているかを、監査等委員の立場から常に監視・検証している。これを引き続き続けていきたい