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【解説】トランプ大統領が対ロシア転換

アメリカのトランプ大統領はNATO=北大西洋条約機構の加盟国が防空システム「パトリオット」を含む兵器をアメリカから購入し、ウクライナに送ることを明らかにしました。一方で、ロシアが50日以内に停戦に応じない場合、「2次関税として100%を課す」と述べ、厳しい関税を課すと表明しました。

トランプ大統領の「重大な声明」は、ロシアに対する融和的な姿勢から圧力強化へと、大きく転換したものと受け止められています。望月麻美キャスターの解説です。

(「キャッチ!世界のトップニュース」で2025年7月15日に放送した内容です)

 

・NATOを通じた兵器供与

発表の内容は大きく2点です。

1つめは、NATOを通じてウクライナに兵器を供与すること。2つめは、ロシアが50日以内に停戦に応じなければ、厳しい関税を課すことです。このうち1つめの、ウクライナに供与される武器には、防空システム「パトリオット」が含まれます。

 

「パトリオット」は、ロシアが大量の無人機を使って毎晩のようにウクライナへの攻撃を続ける中、ウクライナが強く求めてきました。

 

トランプ大統領はほかにどのような兵器を供与するか明らかにしませんでしたが、「数十億ドル相当」の兵器が供与されるとし、同席したルッテ事務総長はミサイルや弾薬も含まれると強調しました。そしてこれらの兵器は、アメリカがいわゆる”白紙の小切手”で送るのではなく、ほかのNATO加盟国がアメリカから購入しウクライナに送る形で供与するとしています。

ウクライナへの武器の供与はロシアにとっては痛手です。そして何より、これまでウクライナへの軍事支援に消極的だったアメリカのトランプ政権が、ヨーロッパと手を携えて行うことになり、大きな方針の転換だと言えます。トランプ大統領としても、NATO加盟国が費用を負担する形をとることで、ある程度、支持者を納得させられるとふんだものとみられます。

 

・厳しい関税 効力は

一方、2つめの、期限を設定した上で厳しい関税を課すとしたことにはその効力に懐疑的な見方も出ています。

 

「50日以内」という期限は、アメリカが求めてきた「即時」の停戦、ましてや、トランプ大統領が以前、プーチン大統領に侵攻を終わらせる意思があるのか判断するとして示した「2週間以内」という期間からも後退しています。

そして、プーチン大統領を止める圧力としては弱く、むしろロシアに、50日間ウクライナ侵攻を続ける猶予を与えてしまったという指摘も出ています。また、トランプ大統領が関税措置で発動の時期をたびたび延長してきたように、50日の間にトランプ大統領が考えを変え、期限を延ばすことも危ぐされているのです。

ただそれでも、アメリカで、ロシアに対する制裁強化の議論が一歩前に進んだということには違いありません。

 

・ロシアの出方は

次の焦点となるのが、ロシアの出方です。

プーチン大統領は「危機の根本的な原因の排除」をウクライナ侵攻の理由に掲げる姿勢を一向に変えていません。これらはウクライナがNATO加盟を断念することやウクライナの非軍事化などを指しています。こうした条件が整わないかぎり停戦に応じないとするプーチン大統領が、再び停戦交渉に応じる姿勢を見せながら、のらりくらりと協議を長引かせ、その間に支配地域を広げようと攻撃を強めることも予想されます。

 

ロシアによるウクライナ侵攻はいますぐにでも終わるべきで、トランプ大統領の方針転換が変化をもたらすことが待たれています。

 

■関連記事(2025年7月14日)

 

■NHKプラスでは、放送後から1週間ご視聴いただけます。

 

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放送[総合]毎週月曜~金曜 午前10時5分

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