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泥沼化する大学ゴルフ“学生・監督vs社会人理事”対立の根っこはどこに? 93歳“学連の父”が嘆く過去の“不正流用”や“朝日撤退”
日本学連・白井義雄会長は8月26日(女子は27日)開幕の第78回日本学生ゴルフ選手権(長野・穂高CC)の出場枠を「関東が削減された分の26人(実際は30だったが、中四国学生ゴルフ連盟が4人分を辞退)を上積みし、172人で開催する」ことを日本ゴルフ協会(以下JGA)に陳情していましたが、却下されました。
日本学連が関東学連に課した出場枠削減は“ほぼ撤回”
「学生ファースト」とは程遠い実態が問題視されている関東学生ゴルフ連盟の改善に向け、ついに重鎮が声を上げました。関東学生ゴルフ連盟(以下関東学連)が日本学生ゴルフ連盟(以下日本学連)に対し、削減された主要大会の出場枠を復活させる仮処分を東京地方裁判所に申し立てた問題は、現場取材の模様を当コラムでも報じましたのでご存じの方も多いと思います。
日本学連・白井義雄会長は8月26日(女子は27日)開幕の第78回日本学生ゴルフ選手権(長野・穂高CC)の出場枠を「関東が削減された分の26人(実際は30だったが、中四国学生ゴルフ連盟が4人分を辞退)を上積みし、172人で開催する」ことを日本ゴルフ協会(以下JGA)に陳情していましたが、却下されました。
そのため白井会長は7月18日、筆者にコメントをメールで送ってきました。
〈先日(7月16日)の結果を報告させていただきます。池谷会長には、お時間を作っていただき、こちらの思うところをお話ししましたが、常務理事会では増員はゼロで、競技規程のままの146名となりました。私の力不足でこのような結果となり痛恨のいたみです。〉(原文ママ)
この結果を受け、関東学連のホームページでも7月22日付で大会概要が発表されました。
「仮処分命令の決定及び枠削減決定の撤回についてのお知らせ」と題されたページには仮処分の内容により、8月26日(女子は27日)に迫っていた日本学生ゴルフ選手権の関東の枠を52名、日本女子学生の枠を24名にするなど、昨年、日本学連が関東学連に課した削減内容を下表の通り“ほぼ撤回”させた旨が記されていました。
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・日本学連の通達(2024年9月4日)から仮処分後(2025年7月)の関東学連への人数割り振りの変化
2024年 2025年 (仮処分後の関東への割り振り)
日本学生: 51人 → 36人 (→50人)
日本女子学生: 25人 → 10人 (→22人)
※編注:9月4日の通達には「10月14日までにJGAのガバナンスコードに則った方法で理事の選任ができなかった場合、2025年の関東学連の出場枠を上記のように削減する」との但し書きがされていた。
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昨秋に露見した学連のゴタゴタは、東京地裁にまで持ち込まれ、一応の決着を見たわけですが、前回の当コラムでJGAの池谷会長も語っている通り、関東学連の社会人理事とゴルフ部監督や大学関係者らとの対立という根本的な問題は解消されていません。
こうした状況を厳しい目で見つめているのが1985年から日本学連と関東学連両方の会長を務め、現在は両団体の名誉会長を務めている松本富夫氏(93)。
1932(昭和7年)生まれの同氏は、慶応大学在学中の53年、54年と日本学生ゴルフ選手権を連覇。61年から2年間ニューヨーク大学に語学留学して、ゴルフ競技の運営やコース管理など本場のゴルフ全般の知識を吸収。赤星四郎氏、白洲次郎氏など黎明期のゴルフ史に登場した巨人たちとも面識がある、まさに「日本近代学生ゴルフの父」と呼ぶべき人物です。
関東学連、日本学連の礎を築いた功労者でもある同氏が、今なすべきことを学連の関係者に呼びかけました。
朝日新聞社が伝統の朝日杯・信夫杯の共催から撤退
93歳。「周りがみんないなくなって、最古参になった」と学生ゴルフ界の草分けを自認する松本氏は、対立の構図が続く現状をこう嘆きました。
「こんな問題は(当事者同士の)話し合いでなんとかなるもの。訴訟を起こすなんて、そんなことをしてはだめだよ。これまで仲良くやってきたんだもの。僕が会長をやっていた頃は、月に1回ぐらいは話し合う機会があった。日本学生(ゴルフ選手権)の前日には各地区連盟の会長が集まっていたけど、もめることもないから、お酒を飲んでさよならだった。訴訟なんてことをしたら日本の連盟と関東の連盟とでギクシャクしていくから、いずれにしても良くない」
そうした話し合いができなくなったのは、2012年から会長を務めた「中島(敬夫)会長のあたりから」(松本名誉会長)。それまでは松本会長自らが大会初日からコース入りして4人の社会人理事が「ルール、競技、進行、集計」を担当。その下に学生の担当がそれぞれ付き、大会を運営していました。
「そのためトラブルにも即対応できたし、難しい競技裁定はJGAに問い合わせて対応もしていた。現場では監督たちと話もできたから、仲は良くないかもしれないが、お互いに言いたいことを言えていた」。
ところが、松本氏が80歳になったのを機に名誉会長に退くと、中島会長以降は最終日にしか現場に行かない光景が増えます。結果、監督たちとも疎遠となり、両者の距離が広がっていきました。
かつては国際大会も行われ、注目度もそれなりにあった大学ゴルフ界ですが、2000年代に入るとさらに寂しい状況となります。
2010年に東北福祉大に進学した松山英樹が「なぜ大学ゴルフだけがこんなに注目度が低いのか」と関係者に嘆いたのがこの頃。さらに16年8月、関東学生ゴルフ選手権に、北口博現会長と同じ立教OBの中島元会長が出場資格のなかったK選手を「会長特別推薦枠」で出場させたことが大問題に発展。会長や理事が辞職する事態となりました。
黒須一雄会長に引き継がれたあとも人気回復の兆しが見られず、国際試合の場もない状況に業を煮やした東北福祉大、日大などの強豪校が中心となり、18年から「スーパーリーグ」への動きが活発化します。これに対して学連側は「スーパーリーグとは関係ない」と反発。関西の強豪校なども参加せず、足並みが揃わない状態での運営が続きました。
深刻な地盤沈下を象徴する出来事が起きたのは21年。学生ゴルフのシンボル的な大会だった個人戦の「朝日杯争奪日本学生ゴルフ選手権・日本女子学生ゴルフ選手権」と団体戦の「信夫(しのぶ)杯争奪日本学生ゴルフ対抗戦・日本女子学生ゴルフ対抗戦」を日本学連とともに共催していた朝日新聞社が「すでに一定の役割を終えた」との理由から撤退を決めます。
これが引き金となり、68回(女子は24回)の歴史を重ねた朝日杯と65回(女子は22回)開催の信夫杯がこの年限りで消滅。コロナ禍の直撃もあり、大学ゴルフ界の注目度はさらに落ちていきました。
大学ゴルフ界のこうした現状を松本氏は深刻に受け止め、黎明期の頃をこう語ります。
「大のゴルフ好きで朝日新聞の専務だった信夫韓一郎さんから『学生ゴルフを盛り上げましょう』と声がかかって、有楽町の日劇の上にあった朝日新聞の事業部の片隅に机を一つ借りて、僕が連盟の規約を作ったんです。そんないきさつから朝日杯がスタートしたんですよ」
「その後、山形杯(1975~2008年)やトピーカップ(1990~2012年)と、海外の大学を招いての試合も続けていましたが、中島会長になってから2つともなくなっちゃった。それでもう、内部もガタガタになっちゃって、黒須会長になってからはさらに日大など強豪校のグループを抑えられなくなっちゃった。その後、長いこと会長不在が続いたんですよね。今は全然、学連からも連絡も何も相談もないです」
松本氏の言を借りれば、トップの指導力不足により統制が効かずに迷走状態が続き、多くの問題が発生。学生理事たちがたまらずにJGAへと相談を持ち掛けたということになります。
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