前半戦が終わったときに、既にもう、4万の観客から総ブーイングである。わがコートジボワール勢は、2点も取られてしまった。ここは、アビジャンの中央スタジアム。今日(2月22日)は「アフリカ国対抗地元選手権(Championnat d’Afrique des Nations des Locaux)」の初日である。初の対戦相手ザンビアに、すでに敗色が濃い。
サッカーの「アフリカ国対抗地元選手権」は、今年から始まった、アフリカ大陸の54カ国によるサッカー大会である。そうしたサッカーの選手権としては、2年おきに行われる「アフリカ杯(Coupe d’Afrique des Nations)」が既にある。「アフリカ杯」は昨年(2008年)ガーナで開催され、次は2010年にアンゴラ大会である。それで、「アフリカ杯」が開催されない年に、「地元選手権」を開催しようということになったのである。
なぜそんな同じような大会を重ねて行うのか。同じようで、中身が違う。「地元選手権」では、普段各国国内でプレーを行っている選手によるチームのみが出場できる。どういう意味か、というと、こういうことだ。だいたい優秀なアフリカ選手は、皆欧州でプレーしている。例えば、わがコートジボワールのドログバ選手(Didier Drogba)は、英国(イングランド)のチェルシーFCに属しており、普段はアフリカにいない。こうした欧州で活躍するアフリカ選手たちは、「アフリカ杯」や「ワールドカップ」の時にだけ、各出身国に帰ってきて、各国チームを結成して戦う。ところが、これでは各国国内でプレーし、日頃から地元で熱狂を作り出している選手たちが、肝心の「アフリカ杯」のときには、はじき出されて姿が見えない。それで、欧州に出稼ぎに出ていない地元の選手だけで、アフリカ選手権を行おうということになった。
コートジボワールが、名誉ある第一回大会の開催国に、名乗りを挙げた。アフリカ大陸の54ヶ国から勝ち抜いてきた7ヶ国と、開催国枠で出場権を与えられたコートジボワールの、計8ヶ国が、これから2週間かけて、チャンピオンを戦いとる。4ヶ国ずつA、Bの両グループに分かれてリーグ戦を行い、上位2ヶ国ずつがトーナメントで勝ちあがる、という方式である。今回の大会に出場するのは、次の国々である。
Aグループ:コートジボワール、ザンビア、タンザニア、セネガル
Bグループ:ガーナ、ジンバブエ、リビア、コンゴ民主共和国
日程は、次の通り。
2月22日:開会式の後、(Aグループ)コートジボワール:ザンビア戦、タンザニア:セネガル戦
2月23日:(Bグループ)ガーナ:ジンバブエ戦、コンゴ:リビア戦
2月25日:(Aグループ)ザンビア:セネガル戦、タンザニア:コートジボワール戦
2月26日:(Bグループ)ジンバブエ:コンゴ戦、リビア:ガーナ戦
2月28日:(Aグループ)コートジボワール:セネガル戦、ザンビア:タンザニア戦
3月1日:(Bグループ)ガーナ:コンゴ戦、ジンバブエ:リビア戦
3月4日:Aグループ第1位:Bグループ第2位戦、Bグループ第1位:Aグループ第2位戦
3月7日:敗者どうし3位決定戦
3月8日:決勝戦
第二列の選手たちだから、試合の程度が落ちるかといったら、必ずしもそうではない。むしろ「アフリカ杯」より面白い試合が見られるかもしれない。なぜなら、ひとつには選手一人一人の真剣さが違う。この「地元選手権」は、普段は国際的には表に出ることのない選手たちにとって、自らの技能を見せる絶好の機会である。実際に、大勢のスカウトが欧州から来ている。彼らの目にとまれば、いきなり何千万フランという高額の契約もありうる。各選手とも、プレーに力が入るわけだ。
もうひとつの理由は、チームワークが試されるから。「アフリカ杯」では、普段欧州の別々のチームにいる選手が、里帰りして臨時のチームを結成する。どんなに優秀な選手であっても、臨時のチームでは互いの意気が合わない。だから、2006年の「アフリカ杯」でも、2008年の「アフリカ杯」でも、エジプトが優勝した。なぜなら、エジプトは欧州に選手を余り送り出しておらず、普段から訓練しているチームワークが生きた。この「地元選手権」では、そういうことはない。日頃から国内でチーム戦を行っている選手たちばかりである。国内試合でお互いがお互いをよく知っているから、チームワークを作り出せる。
開会式には、バグボ大統領が開会宣言をした。ちょっとマイクの調子がおかしかったが、想定の範囲内である。オペラ歌手により歌われた国歌も、満場のスタジアムに朗々と響き渡った。傍らに、コンパオレ・ブルキナファソ大統領、ヤイ・ベナン大統領、ウングボ・トーゴ首相もやってきている。出場国であるガーナやセネガルから大統領が来てくれなかったのは寂しいが、まあ諸般事情があるのであろう。バグボ大統領が始球式を行ったのに続いて、第一試合が始まった。そして・・・
後半戦になってもコートジボワールは奮わず、さらに1点を追加されて、ザンビアに3対0で完敗した。これでは、コートジボワールが上位2位に残って、決勝リーグに進むことは絶望的である。残り2試合を勝利し、しかも3点の得失点差を克服する点差を挙げなければならない。翌日の新聞は、どれも一面には何も報じない。敗戦を見出しに掲げようものなら、売れなくなるからだ。「友愛朝報(Fraternité Matin)」など、記事が書けなかったためだろうか、発行が遅れて遅配になった。何より重大問題は、採算である。あきらめの早いコートジボワール人は、もう試合を見に来なくなる。そうすると、スタジアムはがら空きになり、チケットは売れ残って、おそらく大赤字である。国中ががっくりして、どうも力が入らない雰囲気になっている。
サッカーの「アフリカ国対抗地元選手権」は、今年から始まった、アフリカ大陸の54カ国によるサッカー大会である。そうしたサッカーの選手権としては、2年おきに行われる「アフリカ杯(Coupe d’Afrique des Nations)」が既にある。「アフリカ杯」は昨年(2008年)ガーナで開催され、次は2010年にアンゴラ大会である。それで、「アフリカ杯」が開催されない年に、「地元選手権」を開催しようということになったのである。
なぜそんな同じような大会を重ねて行うのか。同じようで、中身が違う。「地元選手権」では、普段各国国内でプレーを行っている選手によるチームのみが出場できる。どういう意味か、というと、こういうことだ。だいたい優秀なアフリカ選手は、皆欧州でプレーしている。例えば、わがコートジボワールのドログバ選手(Didier Drogba)は、英国(イングランド)のチェルシーFCに属しており、普段はアフリカにいない。こうした欧州で活躍するアフリカ選手たちは、「アフリカ杯」や「ワールドカップ」の時にだけ、各出身国に帰ってきて、各国チームを結成して戦う。ところが、これでは各国国内でプレーし、日頃から地元で熱狂を作り出している選手たちが、肝心の「アフリカ杯」のときには、はじき出されて姿が見えない。それで、欧州に出稼ぎに出ていない地元の選手だけで、アフリカ選手権を行おうということになった。
コートジボワールが、名誉ある第一回大会の開催国に、名乗りを挙げた。アフリカ大陸の54ヶ国から勝ち抜いてきた7ヶ国と、開催国枠で出場権を与えられたコートジボワールの、計8ヶ国が、これから2週間かけて、チャンピオンを戦いとる。4ヶ国ずつA、Bの両グループに分かれてリーグ戦を行い、上位2ヶ国ずつがトーナメントで勝ちあがる、という方式である。今回の大会に出場するのは、次の国々である。
Aグループ:コートジボワール、ザンビア、タンザニア、セネガル
Bグループ:ガーナ、ジンバブエ、リビア、コンゴ民主共和国
日程は、次の通り。
2月22日:開会式の後、(Aグループ)コートジボワール:ザンビア戦、タンザニア:セネガル戦
2月23日:(Bグループ)ガーナ:ジンバブエ戦、コンゴ:リビア戦
2月25日:(Aグループ)ザンビア:セネガル戦、タンザニア:コートジボワール戦
2月26日:(Bグループ)ジンバブエ:コンゴ戦、リビア:ガーナ戦
2月28日:(Aグループ)コートジボワール:セネガル戦、ザンビア:タンザニア戦
3月1日:(Bグループ)ガーナ:コンゴ戦、ジンバブエ:リビア戦
3月4日:Aグループ第1位:Bグループ第2位戦、Bグループ第1位:Aグループ第2位戦
3月7日:敗者どうし3位決定戦
3月8日:決勝戦
第二列の選手たちだから、試合の程度が落ちるかといったら、必ずしもそうではない。むしろ「アフリカ杯」より面白い試合が見られるかもしれない。なぜなら、ひとつには選手一人一人の真剣さが違う。この「地元選手権」は、普段は国際的には表に出ることのない選手たちにとって、自らの技能を見せる絶好の機会である。実際に、大勢のスカウトが欧州から来ている。彼らの目にとまれば、いきなり何千万フランという高額の契約もありうる。各選手とも、プレーに力が入るわけだ。
もうひとつの理由は、チームワークが試されるから。「アフリカ杯」では、普段欧州の別々のチームにいる選手が、里帰りして臨時のチームを結成する。どんなに優秀な選手であっても、臨時のチームでは互いの意気が合わない。だから、2006年の「アフリカ杯」でも、2008年の「アフリカ杯」でも、エジプトが優勝した。なぜなら、エジプトは欧州に選手を余り送り出しておらず、普段から訓練しているチームワークが生きた。この「地元選手権」では、そういうことはない。日頃から国内でチーム戦を行っている選手たちばかりである。国内試合でお互いがお互いをよく知っているから、チームワークを作り出せる。
開会式には、バグボ大統領が開会宣言をした。ちょっとマイクの調子がおかしかったが、想定の範囲内である。オペラ歌手により歌われた国歌も、満場のスタジアムに朗々と響き渡った。傍らに、コンパオレ・ブルキナファソ大統領、ヤイ・ベナン大統領、ウングボ・トーゴ首相もやってきている。出場国であるガーナやセネガルから大統領が来てくれなかったのは寂しいが、まあ諸般事情があるのであろう。バグボ大統領が始球式を行ったのに続いて、第一試合が始まった。そして・・・
後半戦になってもコートジボワールは奮わず、さらに1点を追加されて、ザンビアに3対0で完敗した。これでは、コートジボワールが上位2位に残って、決勝リーグに進むことは絶望的である。残り2試合を勝利し、しかも3点の得失点差を克服する点差を挙げなければならない。翌日の新聞は、どれも一面には何も報じない。敗戦を見出しに掲げようものなら、売れなくなるからだ。「友愛朝報(Fraternité Matin)」など、記事が書けなかったためだろうか、発行が遅れて遅配になった。何より重大問題は、採算である。あきらめの早いコートジボワール人は、もう試合を見に来なくなる。そうすると、スタジアムはがら空きになり、チケットは売れ残って、おそらく大赤字である。国中ががっくりして、どうも力が入らない雰囲気になっている。
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