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コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

バウレ族のことわざ(1)

2009-01-27 | Weblog
バウレ族は、コートジボワールに60余あるといわれる部族のなかで一番大きく、コートジボワールの中部から南東部にかけての広い地域を住処とする、森の民である。独立後30年余り国を統治した故ウフエボワニ大統領も、バウレ族の出身である。

本屋で「バウレ族のことわざ」という本を見つけた。手にとって読んでみると、風土を反映することわざが、沢山載っている。ことわざを見ると、こちらの人々の価値観が伺える。かたや一読しただけでは、何を意味するのかさっぱり分からないことわざもある。いくつかご紹介しよう。

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「椰子の木が枯れれば、友情は終わり」
コートジボワールでは、油椰子の実で酒を作る。酒があれば、人々がやって来る。ところが庭の椰子の木が枯れれば、もう酒が出来なくなるので、人々もやって来なくなる。金の切れ目が縁の切れ目、といったところか。

「果物が木から池に落ちても、魚にはなれない」
池とはそののこと。他のの人や外国人が、自分たちのに入ってきて生活をともにしようとしても、あくまでも外の人であって、区別があるということ。本によると、このことわざは、村に来て住む外国人に対して使われるという。

「羊は、ハイエナ村の市場には買い物に行かない」
飛んで火に入る夏の虫、にならないように用心するものだ、という意味。あるいは分際を弁えろということか。

「豹が居ないときに、山ネズミは米を食べる」
鬼の居ぬ間の洗濯。

「ヒヒに鍬を貸して、マニオクを盗まれる」
ヒヒはだいたい悪い奴ということになっている。ヒヒに鍬を貸したら、自分の畑のマニオク(キャッサバ芋)を掘られた、という馬鹿な話。軒を貸して母屋を取られる、と同義か。敵に塩を送ってはいけない。

「川辺で田を耕す人でなければ、蟹が唐黍を食べることを知らない」
いったい蟹がはさみでトウモロコシを摘まんで食べるのだろうか。どうも本当らしい。蛇の道は蛇。何事も現場で従事する専門家に聞くべきで、そんなことありえないとか、軽々に判断してはならない、という意味である。

「赤牛に母を殺された人は、蟻塚を見て逃げる」
コートジボワールの大地のあちこちに出現する蟻塚は、2メートル以上の高さに及び、アフリカの赤土を高く盛り上げる。あつものに懲りてなますを吹く、という意味。ところで牛がそんなに簡単に人を殺すのか。

(続く)

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