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コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

町の診療所の日本人助産師

2009-01-03 | Weblog

ベナンに行った話を続ける。ベナンには、日本の青年海外協力隊員が派遣されている。彼らの活躍の様子を見に行って、激励しようと考えた。ベナンの首都ポルトノボから北に10キロの町アブランク(Avrankou)に、内田早苗さんを訪ねた。

内田さんは、この村の保健診療所に派遣されている助産師さんだ。ピンク色の白衣に身を包んで、母親たちに応じていた。一般患者の診療を行っている診療所と並んで、出産のための施設がある。ベナンの85%の女性が、自宅ではなくて施設でお産をする。自宅だと万が一の危険な出産になったときに対応が困難だから、殆どの母親が病院や診療所での出産を希望するようになった。だから村の女性の殆ど全員が、この保健診療所を訪れ、ここで健康管理をしている。

内田さんは、日本ではもちろん助産師の資格があり、前には国立国際医療センターで勤務していた。でも、ここベナンでは医師法上の問題が生じるので、医療行為は行わない。診療所の医師や看護師と一緒に、母親たちの検診を行い、健康相談に応じるのが仕事だ。内田さんは、診療所の仕事のやり方をみていると、診察の方法やどういう妊婦に問題があり得るかの判断、お母さん方への接し方などについて、日本のやり方との比較でいろいろ助言できることがあるという。

たとえば、内田さんは、来診にくる母親たちのカルテを、漏れの無いように整理する方式を考案した。整理整頓と几帳面というのは、日本人の得意とするところ。この方式で、順次やってくる母親たちの診療データが、間違いなく記録され、いつごろ誰に次の定期検診をしなければならないかが、すぐ分かるようになった。

まだ若いお母さんが診察に来ている。内田さんが血圧などを測っている。
カルテに書き込みながら、内田さん「エ・ニョン・カンジー。」
トリ語で、異常ないですよ、という意味だという。お母さんたちの多くは、フランス語が話せない。来診の人たちとの意思疎通には、地元の言葉が欠かせない。この地域では、トリ語だけではなく、グン語、ヨルバ語、フォン語のあわせて4言語が話されている。それぞれの部族ごとに異なる言語だ。内田さんは、その4言語を使い分けるほどになっている。

産室の横に、出産後の手当てを要する母子の部屋があって、内田さんはそこに入っていく。赤ちゃんに授乳したり、赤ちゃんを洗ったりしているお母さんたちに、明るく呼びかける。内田さんは、赤ちゃんを抱いて、お母さんたちとお話をしている。こういうふうに地元の人々と意思疎通をするのは、なかなか難しいものだが、内田さんはすっかりとけ込んでいる。

約10万人の人口のアブランク市に、医師は保健診療所のたった一人だけ。そして2006年の医療改革で、診察費が見直され、お産にかかる費用は2300フラン(600円)と安くなった。だから、皆が診療所にお産に来るので、この診療所はとても忙しい。一日に、妊婦が20人から30人ほど検診にくる。そして毎月、ここで80人の赤ちゃんが生まれている。助産師の資格のある内田さんは、とても重要な戦力になっている。

内田さんの同僚、ミイガンド看護士長は、日本の技術者招待の枠組みで、以前に日本に研修に行った経験がある。だから、日本の仕事のやり方を高く評価している。また、診療所長のカポ医師は、内田さんの存在が診療所の大きな力になっている、彼女はこの診療所に欠かせないと言う。
「内田さんが2年の任期を終えて日本に帰らなければならなくなったらどうしよう、と皆で話しているのです。内田さんをなるべく長くここに置いていただけるか、そうでなければ、後任の人を是非続けて送っていただけるよう、大使からもご尽力下さい。」
診療所長の先生からお願いをされてしまった。

アブランク保健診療所

 お母さんの血圧を測定する

 赤ん坊を抱く内田さん

 アブランク村保健診療所の母子たち


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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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さなえちゃん (海老原 豊)
2009-06-30 20:45:53
私は 早苗ちゃんが日本にいた時の患者です
本人の気持しだいですが 返してください
日本の産科も大変ですよ
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