リコルヌ(licorne)というのは、フランス語で一角獣のこと。白馬の頭に一本の角が生えた想像上の動物である。ところが、コートジボワールでは、駐留フランス軍のこと。もう少し正確に言うと、2002年の南北分裂が起こったとき、フランスがコートジボワールに送り込み、それ以来、平和維持の活動を行っているフランス軍部隊である。その活動は、リコルヌ作戦と名付けられている。
2004年に、国連安全保障理事会の決議が採択されて、「国連コートジボワール活動(UNOCI)」という平和維持部隊が創設された。それ以来、平和維持の役割は国連部隊が果たすようになった。リコルヌ軍の任務は、その国連部隊への協力という副次的なものになった。それでも、リコルヌ軍はアビジャンの国際空港のすぐ脇に、数千人からなる大部隊を駐屯させ、全国に兵員を配置している。
そのリコルヌ部隊の総司令官であるウブロン将軍を訪問した。表敬訪問もさりながら、軍事的な情勢についての情報と分析を聞くためである。そうした情勢分析は、やはり全国に要員を展開している軍事組織に勝るところはない。南北分裂以来6年にわたって混乱を経たコートジボワールでは、政府軍以外に軍事組織が残っている。これらがどの程度、平和への脅威となるのか。そうした点を聞こうと考えた。
ウブロン総司令官によれば、旧反政府軍、つまり北側の「新勢力」の軍隊については、政府軍との統合が図られつつあって、もう脅威ではないという。もともと政府軍と交戦状態にあった軍隊だから、それが政府軍と一緒になるというのは簡単ではないだろうが、今や政府も南北統一政府だし、「新勢力」軍も統合に前向きに取り組みつつあるという。政府軍のマングー参謀総長と、「新勢力」軍のバカヨコ参謀総長は、毎週1回会合を行って、全ての軍事関連の懸案を、共同で片付けているということである。
部隊運用でも、南北双方の兵士により、共同行動を行いつつある。大統領選挙に向けての身分認定作業の警備のため、450人の「新勢力」軍の要員が北部からアビジャンに出てきて、政府軍と合同で安全確保の活動を行っている。また、最近のバグボ大統領の北部視察は、「新勢力」軍が身辺警護の責任を負っているという。これは今や、南北の両軍事力の間に、相当の信頼関係が出来ているということであり、はっきり言って1年前には考えられなかったことだ、とウブロン総司令官はいう。
一方、心配なのは民兵といわれる軍事勢力だ。つまり、南北分裂の混乱の時期に、カラシニコフなどの小型武器を手にした武装集団が、コートジボワールの各地に出来た。こうした武器は、隣のリベリアやシエラレオネから流れ込んできた。リベリアとシエラレオネは、内戦を何とか脱し和平を達成した。そうして不要になった大量の武器が、混乱するコートジボワールに移動したという事情がある。そうした武器で武装した勢力が、国内のいろんなところで強盗などの犯罪行為に及んだり、道路で車を停めて恐喝や集金などを行っている。
そうした勢力は、政府がしっかりしていけば、だんだん取り締まられ、小型武器は回収されていくだろう。犯罪行為の根を絶つためには、取り締まりだけでなく、民兵たちの社会復帰を考えることも重要である。しかし問題はさらに複雑だ、とウブロン総司令官は続ける。
「民兵のなかには、コートジボワールの安定化を望んでおらず、むしろ何かの切っ掛けを見つけて、混乱を作り出す動きに出ようとしているグループがある。彼らにとっては、社会が内戦で混乱しているほうがいいのだ。彼らは組織化されており、普段は社会の中で生活しながら、携帯電話などで連絡を取り合って、治安をことさらに乱そうとする。」
ここにも、アマニ・ヌゲサン国防相のいう「戦争経済」に似たものがあるのだろう。国防相が言っていたのは、戦争がなくては生活できなくなってしまった人たちの問題である。これに加えてウブロン総司令官が指摘するのは、平和を望まない人たち、戦争があったほうが自分が優位に立てる人たちである。そして、そうした人たちは、少数派とはいえ数千人もいれば、手にした武器と組織力で、その目的を達することが出来る。コートジボワールの殆どの人々が平和と安定を望む中で、ごく一部の人たちの策略で、和平への努力が阻害される。あらゆる紛争の解決にあたって、こういう人々が最も厄介なのである。
2004年に、国連安全保障理事会の決議が採択されて、「国連コートジボワール活動(UNOCI)」という平和維持部隊が創設された。それ以来、平和維持の役割は国連部隊が果たすようになった。リコルヌ軍の任務は、その国連部隊への協力という副次的なものになった。それでも、リコルヌ軍はアビジャンの国際空港のすぐ脇に、数千人からなる大部隊を駐屯させ、全国に兵員を配置している。
そのリコルヌ部隊の総司令官であるウブロン将軍を訪問した。表敬訪問もさりながら、軍事的な情勢についての情報と分析を聞くためである。そうした情勢分析は、やはり全国に要員を展開している軍事組織に勝るところはない。南北分裂以来6年にわたって混乱を経たコートジボワールでは、政府軍以外に軍事組織が残っている。これらがどの程度、平和への脅威となるのか。そうした点を聞こうと考えた。
ウブロン総司令官によれば、旧反政府軍、つまり北側の「新勢力」の軍隊については、政府軍との統合が図られつつあって、もう脅威ではないという。もともと政府軍と交戦状態にあった軍隊だから、それが政府軍と一緒になるというのは簡単ではないだろうが、今や政府も南北統一政府だし、「新勢力」軍も統合に前向きに取り組みつつあるという。政府軍のマングー参謀総長と、「新勢力」軍のバカヨコ参謀総長は、毎週1回会合を行って、全ての軍事関連の懸案を、共同で片付けているということである。
部隊運用でも、南北双方の兵士により、共同行動を行いつつある。大統領選挙に向けての身分認定作業の警備のため、450人の「新勢力」軍の要員が北部からアビジャンに出てきて、政府軍と合同で安全確保の活動を行っている。また、最近のバグボ大統領の北部視察は、「新勢力」軍が身辺警護の責任を負っているという。これは今や、南北の両軍事力の間に、相当の信頼関係が出来ているということであり、はっきり言って1年前には考えられなかったことだ、とウブロン総司令官はいう。
一方、心配なのは民兵といわれる軍事勢力だ。つまり、南北分裂の混乱の時期に、カラシニコフなどの小型武器を手にした武装集団が、コートジボワールの各地に出来た。こうした武器は、隣のリベリアやシエラレオネから流れ込んできた。リベリアとシエラレオネは、内戦を何とか脱し和平を達成した。そうして不要になった大量の武器が、混乱するコートジボワールに移動したという事情がある。そうした武器で武装した勢力が、国内のいろんなところで強盗などの犯罪行為に及んだり、道路で車を停めて恐喝や集金などを行っている。
そうした勢力は、政府がしっかりしていけば、だんだん取り締まられ、小型武器は回収されていくだろう。犯罪行為の根を絶つためには、取り締まりだけでなく、民兵たちの社会復帰を考えることも重要である。しかし問題はさらに複雑だ、とウブロン総司令官は続ける。
「民兵のなかには、コートジボワールの安定化を望んでおらず、むしろ何かの切っ掛けを見つけて、混乱を作り出す動きに出ようとしているグループがある。彼らにとっては、社会が内戦で混乱しているほうがいいのだ。彼らは組織化されており、普段は社会の中で生活しながら、携帯電話などで連絡を取り合って、治安をことさらに乱そうとする。」
ここにも、アマニ・ヌゲサン国防相のいう「戦争経済」に似たものがあるのだろう。国防相が言っていたのは、戦争がなくては生活できなくなってしまった人たちの問題である。これに加えてウブロン総司令官が指摘するのは、平和を望まない人たち、戦争があったほうが自分が優位に立てる人たちである。そして、そうした人たちは、少数派とはいえ数千人もいれば、手にした武器と組織力で、その目的を達することが出来る。コートジボワールの殆どの人々が平和と安定を望む中で、ごく一部の人たちの策略で、和平への努力が阻害される。あらゆる紛争の解決にあたって、こういう人々が最も厄介なのである。
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