老境のアナアキスト
S
老境のアナアキスト
死にたさを歯軋りに換へればゆめの中ゆららさららと琴のつる鳴り
われ思ふことなくわれ在りほととぎす乳房のあひだに奈落を求めつ
つや消しの黒ヘルメットは苔むして革命はゆつくりしつとり到来す
北へゆくひとの懐にトロツキイあり鰆の群れに曰(のたま)ふことなし
にぎにぎしく待てば意味の形骸(カケラ)からきつと満ちゆくさざめきがある
胸に眼の行つてしまへば沈丁花あるいは魚あるいは祠
口淫をしながら乳首に触れむとすプロレタリア革命は其処まで来り
手淫の女(オムナ)が唾液を絡めてゐる。無痛文明に育つた我らは
しろたへの乳房に至つて果てる旅みちづれもなしにわがカナンの地
目を凝らす見やうとする意志を持つむなしいだけの日日を横切る
老境のアナアキスト S @poetry1030
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