【プレイバック’15】実は30人が亡くなっていた!? 群馬大病院医療事故〝問題医師〟を直撃した!
責任をなすりつけ合う医師と病院
《「『簡単な手術だし、回復も早い』『体力的にも今がチャンス!』と強く手術を勧められたことしか記憶にありません。10分〜20分程度の、ごく簡単な説明でした。すぐに退院できるとも言われたのに……。自分の主張をしたいなら、私たちの前に来て、自分の口で説明してほしい」(70代の母を亡くした女性)
80代の父親を亡くした男性は、絞り出すように言う。
「こちらと会おうとしないばかりか、執刀医は当時の上司との連名でワープロ打ちの謝罪文1枚と、大学へ提出した反論文13枚を遺族にも送りつけてきたんです。謝罪の言葉は『患者さんの救命を達成することができず、大変申しわけなく思っております』という一文しかなく、責任を大学に転嫁したり、否定する主張に、圧倒的な分量を割いていました」》
群大病院は’15年3月に発表した最終報告書でX医師の手術技術の拙さや、手術に耐えられるか判断するために必要な肝臓の容量計算をしなかったこと、カルテの記載不備、本人や家族へのインフォームド・コンセントも不十分だったなどと指摘した。
しかし、X医師はこの報告書に対する反論を病院側に送付し、同月末に退職。コメントにもあるように、同じ反論文を同年6月17日付で、さらに遺族とその弁護士に送ってきた。その内容はカルテの記載に関する不備は認めたものの、「大学の調査報告は間違っており、全例について過失はないと考えている」「患者側への説明も1時間以上かけて行った」という、病院批判と自己保身に終始したものだった。遺族の心情は完全に無視されていたのだ。