第1回「断れば懲戒解雇も」母の介護中に告げられた北海道転勤、なぜ白紙に

有料記事

編集委員・森下香枝
[PR]

 大手医療機器メーカー(本社・東京)の東海地方の営業所に勤めていた男性は今年2月に突然、北海道への転勤を言い渡された。

 次の誕生日がくれば、60歳でシニア社員になるタイミングでのこと。85歳の母親の介護のため、希望して東海の営業所に着任してまだ1年もたっていなかった。

 男性は約2年前に離婚し、元妻や子どもと一緒に暮らしていた関東地方の自宅を出た。「ひとりっ子なので母親は自分がみなければ」と異動を希望し、勤務先と実家に近いマンションに移り住んだ。65歳の定年までそこで働くつもりだった。

 母は脳梗塞(こうそく)で左半身が不自由になり、要介護状態になっていた。平日は訪問介護やデイサービスを利用し、週末は男性が実家に行き、母をみた。

 そんな中での突然の転勤の言い渡し。動揺したが、嫌な予感はあった。

 共働き世帯が増え、育児・介護と仕事をなんとか両立させている働き手にとって「予期せぬ転勤」「望まぬ転勤」は避けたいもの。人材流出への危機感から転勤制度を見直す企業も相次いでいます。転勤について、働き手や企業の視点から連載で考えます

 所属していた部署が今春、統…

この記事は有料記事です。残り1791文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
森下香枝
編集委員|ここからTIMES編集長
専門・関心分野
終活、中高年のセカンドライフ、事件など
  • commentatorHeader
    小林恭子
    (在英ジャーナリスト)
    2025年7月26日17時1分 投稿
    【視点】

    ひどい雇用環境でしたね。本人の粘り強い努力によって、なんとか解決できたようですが、このようなことを命令するような会社はあまり良い会社とは言えないのではないでしょうか。 筆者は在英ですが、日本のこのような転勤辞令は働く人の人権を侵害するもの

    …続きを読む

連載介護・育児中の望まない転勤(全9回)

この連載の一覧を見る