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コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

学校給食と日本(3)

2008-11-20 | Weblog
いよいよベスト学校給食組合コンクールの授賞式である。会場のホールには、上位にノミネートされた給食組合が来ていて、第20位くらいから順番に呼ばれて、賞状とトロフィーが授与される。賓客席から一人ずつ呼ばれて、トロフィー授与を手伝わされる。私も呼び出され、握手して記念写真。

そして賞品は、種籾と肥料と農機具である。ベスト・テンには、これにオートバイが1台ずつ。これらは、会場の外のテラスに、山と並べられているので、帰りにお持ちください。そして、なくてはならない現金の封筒。もちろん、順位が上がるにつれ、賞金額が競り上がっていく。第何位何万フラン、と順番に発表になるたびに、会場が大きくどよめく。

私の隣に座っているのは、スポンサー会社のアビジャン支社長である。今回この会社は、全国の子供たちに、同社製の「ミロ」という粉末飲料を、大量に無償供与した。子供たちの発育に助けになる栄養素が含まれている、という。支援にもなるし、宣伝にもなるし、販売促進にもなる。企業として、いいところに目をつけたものだ。「ミロ」の大きなロゴが会場中に貼ってある。おそらく全国の食堂にも、貼られているのだろう。

このアビジャン支社長は、メキシコ人で先月着任したばかりという。だから、まだ慣れていない。現金が配られているさまを見て、驚いている。第一位は、アビジャンの近くの給食組合が獲得した。80万フラン(約20万円)が賞金だ、と発表されて、組合員たちが欣喜雀躍している。全ての授賞が終わったところで、ゴシオPTA会長が立ち上がった。演台でマイクに向かって言う。
「ここに300万フラン(約80万円)ある。これは私とバグボ大統領から、本件活動を支援するために提供する資金だ。有意義に使ってくれたまえ。」
歓声と拍手。メキシコ人支社長は、目を丸くしている。

私は彼に言う。これで式が終わったから、あとは音楽と踊りですよ。そして、私の予言どおり、民族舞踊団が出てきた。太鼓をぼんぼこ打ちまくる。
「太鼓はね、コートジボワールでは音楽というより言語なのです。」
私の説明に、支社長は頷いている。ゴシオPTA会長が、財布を取り出して、高額紙幣を何枚か踊り子に渡す。支社長は、また目を丸くしている。

コメディアンが出てきた。会場は大喝采。相当人気のある人らしい。いくつか漫談で会場を沸かせた後、私のほうを指差す。
「日本大使閣下がご臨席である。日本といえば、私はあるときトレシュビルからプラトーまで(注:それぞれ、アビジャンの下町と中心街)、タクシーに乗った。」

おっと、日本に話がふられた。何の話だ、居直って聞く。
「走っていると、別のタクシーがビューンと追い越していく。おい、何だあれは。
運転手が答える。
トヨタ。速い、速い、それ当たり前。メイディン・ジャパン。

しばらくすると、今度は四駆がビューンと追い越していく。おい、何だあれは。
ミツビシ。速い、速い、それ当たり前。メイディン・ジャパン。

また走っていると、二輪車がビューンと追い越していく。おい、何だあれは。
カワサキ。速い、速い、それ当たり前。メイディン・ジャパン。

プラトーに到着。いくらだ、と運転手に聞いた。旦那、3万フランで。
そ、そんな馬鹿な、せいぜい千フランの距離だ。
運転手が答える。
タクシー・メーター。速い、速い、それ当たり前。メイディン・ジャパン。」

最後に日本で、オチがついた。

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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (地球)
2008-11-22 05:46:38
踊りとか、畑とか、給食の中身とか、写真があるともっといいと思う。
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