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コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

協同組合の大きな夢

2008-11-05 | Weblog
アビジャンから西200キロの町、ギトリー(Guitry)に生まれたアワさんは、地元の女性たちの地位向上と、農村開発を目的として、2002年に農業協同組合を立ち上げた。「デオ・グラシアス」という名のその組合は、ギトリー県の全域に及ぶ66ヵ村で、現在2千人からの婦人・若手農民の組合員を擁している。それぞれの村の地主と交渉して、未開発の原野を借り受ける。それを組合員の農民に分割し、農作物の作り方を指導して、自分たちの消費用の作物を作り、さらに、余剰産品が出れば出荷して、現金収入にする。同時に、教育や保健衛生や医療など、農村の生活向上に役立てるという活動をしている。

未開拓原野は広いので、農民1人あたりの割当ては最低でも1ヘクタールあるが、大概は湿地など困難の多い場所である。農業を軌道にのせるには、相当苦労があるということだ。そういう場所で、どのように農業が行われているのか、つぶさに見てみたくて、アワさんの組合が活動する農村を、いくつか訪ねることにした。

「デオ・グラシアス」のピックアップ車の先導で、村に向かう。幹線道路を外れると、全く舗装されていない道路が、森の中、原野の中に続く。緑が深く連なる中に、オレンジ色の道路。コートジボワールの三色旗の色は、この国の大地の色の組み合わせなのではないか。そう思う余裕も無く、起伏の多い悪路を走る。穴ぼこを避けながら、それでも車は左右に大きく傾ぐ。時に大きな水溜りに出くわす。車のお腹まで水に漬かりながら、勢いをつけて何とかやり過ごす。大使館の四駆車が、オレンジ色の泥に染まる。

道路が何より重要なインフラだ。これさえもっとちゃんと整備されれば、人々は病院にも学校にも行ける、農産品も出荷できるようになる。揺られながら、アワさんからそういう話をきく。診療所が村になくても、町の病院まで迅速に行けるのであれば、それで何とかなる。村に学校がなくても、通学バスが走れるようになれば、子供たちは町の学校に通える。だから、村にとって道路整備は何にもまして最優先。しかし、国はもう10年以上、何ら手をかけず放ったらかしにしている。

土で固めた土塀の小屋がいくつか並ぶ集落を通り過ぎる。これは村ですかと聞くと、アワさんは、いいえキャンプです、と答える。畑は村から数キロから十キロ近くも離れている。だから、畑の近くに、畑仕事用の作業小屋を作っておく。人々は、村から朝夕に通勤する。悪天候になれば、キャンプに泊まることもある。通勤の女性たちの列に出遭う。頭の上に道具やら収穫物やらを山盛りにして乗せている。ここでは女性のほうが、よりたくさん働くのですよ、とアワさんが言う。畑仕事は男と一緒だが、村に帰ったら男は休む。女は料理があり家事があり、子供の面倒を見る。

畑を訪れる前に、その畑が所属する村に挨拶をしなければならない。これは避けて通れない儀礼である。車が村に近づくと、女性たちを先頭に村人たちが出迎えてくれる。皆、カラフルな腰巻でおめかしをして、賑やかに歌い踊りながら私たちを取り巻く。皆と一緒に集会所に行くと、村の長と、土地の長の2人を中心に、長老たちが並んでいる。私たちが着席すると、まず水が振舞われ、次に村の長が何やら唱えながらジン酒を3度地面にたらす儀式があり、そして歓迎の演説があり、私に「消息」を述べるように促す。それから、女性陣の陽気な歌と踊り、と続くままにしておれば1時間くらいをたちまち過ごしてしまう。これを、訪れる畑ごとに、その畑がある村で行わなければならない、となると視察時間が殆ど無くなって、何をしにきたことやら。そこで、歓迎に感謝しながら、「先を急ぐ」と告げて退席する。

村には、村人たちをまとめる村長とは別に、土地の長という人がいる。地主ということだろうが、いわゆる所有者ということではなくて、土地の使い道を決定する人ということのようである。「デオ・グラシアス」は、この土地の長から、村の原野を開墾していい、という許可を得る。そして、その原野を組合員の農民に割り当てる。どの土地に何を作ったら一番いいかを判断し、その技術指導をする。

これからの課題として、まだ手作業で行っている耕作を、トラクター導入などで機械化すること、水路や井戸整備によって灌漑を確保することなど、技術向上によって生産を飛躍的に上げたいという。さらに収穫した農産品を、組合で製粉するなどの加工をして、商品としてアビジャンなどに売りに出す、というメカニズムをつくりたいのだ、という。食料が安定に供給できれば、この村々の貧困が克服できる。さらに資金が出来れば、診療所を建設し、道路を整えることができる、小額融資で村々に家内工業を興すことができる。多くの人々、とくに女性や子供の生活が、格段に向上するのだ。アワさんは、協同組合の大きな夢を語る。

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