2千人の若者や大人たちが、アビジャンの街角に繰り出した。手に手に、ほうきと塵取りとゴミ袋を携えている。みんな「道路はゴミ箱じゃない」と書いたTシャツを着ている。町のゴミを片端から拾い、ゴミ袋を膨らませて行く。集まったゴミは、後ろからついて来るトラックの上に乗せる。先週、都市衛生省のメレッグ大臣の音頭で始まった、アビジャン大清掃キャンペーンである。
「私は、このキャンペーンを、アビジャンの東の端ゴンザゲビル地区から始めた。何故って、隣国ガーナに行ったことのある人は、ガーナがどれだけ清潔なゴミの無い国かを知っているだろう。ガーナからアビジャンに来る人は、まずこのゴンザゲビル地区を通るのだ。私はコートジボワール人として見せてやりたい。われわれでもガーナ人のように出来るのだ、と。」
メレッグ大臣は、そう述べている。
新聞にこの記事を見つけた私は、覗きに行きたくなった。何故って、まず「ソニアの掃除」がアビジャンでも行われているというのが嬉しい気がしたし、それにメレッグ大臣とはまだ会っていないが、今年5月のTICAD横浜会議に来てくれた一人である。この運動に顔を出せば、これからの関係が出来るだろう。そういう下心も有る。
ところが、私は週半ばからトーゴに信任状捧呈に出なければならず、スケジュールの調整が付かなかった。街で掃除をしているところに行ってみたかったのであるが、それは無理だった。ただ、ロメから戻る土曜日の午後に、一週間の運動の閉会式典があるという。私は、それに参加しましょうと言うことになった。
ロメからのフライトが、ほぼ時間どおりに到着してくれたので、私は式典会場に向かった。会場は、アビジャンを囲むラギューン(湖沼)の湾奥部を埋め立てて造成した、広大な空き地に、テントを沢山張って設けられていた。コートジボワールの三色旗が、あちこちに旗めいている。3時からという案内だったので、ちゃんと3時に行った。大勢の若者たちは、「道路はゴミ箱じゃない」を着て、すでにあちこちで盛り上がっているが、来賓の姿はまばらだ。
「アビジャンは美しい街。
夜には光がいっぱい、でもゴミもいっぱい。
アビジャンはラギューンの街。
でもそのラギューンはゴミでいっぱい。
ラギューンをゴミ箱にしたら、僕たちは生きていけない。
もう悪臭にはうんざりだ。さあ、掃除に取り掛かろう。」
ラップ調のテーマソングが大音響で流れている。テントの下とはいえ、午後の日差しはきつく、汗がべっとり流れる。ラギューンからの汚物の臭いが、時折鼻を突く。しかし、式典はいっこうに始まる気配が無い。
私のほかの来賓が、ぼつぼつと到着する。アビジャン各地区の長たち、運動に学校ぐるみで参加した大学や専門学校の校長さん、スポンサー企業の代表、部族の長老らしい服装をした人々。彼らが来る度に立ち上がって、紹介を受け、握手をする。来賓が揃った頃に、メレッグ大臣が車列で到着。鼓笛隊が賑やかに迎える。そして本日の主賓、ディビ経済財務相が到着。彼はバグボ大統領の御名代なのだ。すでに午後4時である。司会者がマイクを取って、ようやく式典が始まった。
(続く)
「私は、このキャンペーンを、アビジャンの東の端ゴンザゲビル地区から始めた。何故って、隣国ガーナに行ったことのある人は、ガーナがどれだけ清潔なゴミの無い国かを知っているだろう。ガーナからアビジャンに来る人は、まずこのゴンザゲビル地区を通るのだ。私はコートジボワール人として見せてやりたい。われわれでもガーナ人のように出来るのだ、と。」
メレッグ大臣は、そう述べている。
新聞にこの記事を見つけた私は、覗きに行きたくなった。何故って、まず「ソニアの掃除」がアビジャンでも行われているというのが嬉しい気がしたし、それにメレッグ大臣とはまだ会っていないが、今年5月のTICAD横浜会議に来てくれた一人である。この運動に顔を出せば、これからの関係が出来るだろう。そういう下心も有る。
ところが、私は週半ばからトーゴに信任状捧呈に出なければならず、スケジュールの調整が付かなかった。街で掃除をしているところに行ってみたかったのであるが、それは無理だった。ただ、ロメから戻る土曜日の午後に、一週間の運動の閉会式典があるという。私は、それに参加しましょうと言うことになった。
ロメからのフライトが、ほぼ時間どおりに到着してくれたので、私は式典会場に向かった。会場は、アビジャンを囲むラギューン(湖沼)の湾奥部を埋め立てて造成した、広大な空き地に、テントを沢山張って設けられていた。コートジボワールの三色旗が、あちこちに旗めいている。3時からという案内だったので、ちゃんと3時に行った。大勢の若者たちは、「道路はゴミ箱じゃない」を着て、すでにあちこちで盛り上がっているが、来賓の姿はまばらだ。
「アビジャンは美しい街。
夜には光がいっぱい、でもゴミもいっぱい。
アビジャンはラギューンの街。
でもそのラギューンはゴミでいっぱい。
ラギューンをゴミ箱にしたら、僕たちは生きていけない。
もう悪臭にはうんざりだ。さあ、掃除に取り掛かろう。」
ラップ調のテーマソングが大音響で流れている。テントの下とはいえ、午後の日差しはきつく、汗がべっとり流れる。ラギューンからの汚物の臭いが、時折鼻を突く。しかし、式典はいっこうに始まる気配が無い。
私のほかの来賓が、ぼつぼつと到着する。アビジャン各地区の長たち、運動に学校ぐるみで参加した大学や専門学校の校長さん、スポンサー企業の代表、部族の長老らしい服装をした人々。彼らが来る度に立ち上がって、紹介を受け、握手をする。来賓が揃った頃に、メレッグ大臣が車列で到着。鼓笛隊が賑やかに迎える。そして本日の主賓、ディビ経済財務相が到着。彼はバグボ大統領の御名代なのだ。すでに午後4時である。司会者がマイクを取って、ようやく式典が始まった。
(続く)
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