ブルキナファソの大使は、コートジボワールに13年勤続の大先達というのだから、きっと重厚な風格の大物大使だろう、と思っていたら、意外にも若くて元気溢れる紳士が登場した。表敬訪問に訪れた私を歓迎して、快活かつ能弁に語りかけてくれる。
ここで大変な時代を、すべて見てきた、と大使は言う。1995年からの勤務であるから、1999年末のクリスマス・クーデタ、2000年の大統領選挙、2002年の国の南北分裂、2004年のフランスとの間の衝突、すべて経験している。そして、今の「危機脱出」プロセスは、2007年春、ブルキナファソのコンパオレ大統領の仲介と主導で動き出したものなのだ。
その一連の出来事を、ブルキナファソ大使として経験してきたわけである。「見てきた」と彼は言うが、ただ傍観者としてではなく、いってみれば当事者の一人として、この大使は関与してきたはずだ。さすがに、政治家の人脈から社会の背景から、何でもよく知っている。こういう大使から、しっかり聞き出せば、深奥部の情報が入手できるに違いない。私のような新参者でも、親切に教えてくれるようなので、これからも親しくつきあう人間関係を作っておこう。信頼できる情報源の確保は、政務の仕事の基本である。
それほどのブルキナファソ大使でも、来る大統領選挙の帰趨については、予想が付かないという。
現職のバグボ大統領は、「コートジボワール人民戦線(FPI)」という党を率いている。中西部の出身で、彼の部族(ベテ族)は、国内では比較的少数派(約15%)である。これに対して、彼に挑戦する大統領候補、ベディエ前大統領が率いる「コートジボワール民主党(PDCI)」は、故ウフエ・ボワニ大統領、引き続くベディエ大統領自身と、独立以来40年にわたり政権を維持してきた。その時代の与党として、全国に強固な選挙母体を築きあげているはずだ。さらに、ベディエ前大統領の出身は東部の部族(バウレ族)で、人口比では多数派(25%強)である。
選挙を行って票数を数えることになると、少数派のFPI(バグボ大統領)は、多数派PDCI(ベディエ前大統領)にひっくり返される可能性がかなりあるのだろう。と思うとそうでもないらしい。つまり8年間政権から離れているうちに、PDCIにだんだん離反者がでているという。バグボ大統領には、何と言っても現職の強みがある。特に資金力があり、また行政・経済の役職に呼び込むことにより、昔の政敵だった人々を、どんどん味方に取り込んでいるという。
このFPIとPDCIの対抗関係に、第三の勢力として北部地域の勢力が絡んでくる。2002年にバグボ政権に対して反乱を起こした軍事勢力が、それ以来北部地域を支配してきた。南北の妥協が成立してからは、政治勢力に衣替えして「新勢力(FN)」となり、ソロ現首相を出して政府に参加している。こうした北部地域の部族や、彼らの中から南部に流入し、経済的に成功して活躍している人々の支持を背景に、ウアタラ元首相が「共和主義者連合(RDR)」という党を率いて、大統領候補として名乗りを上げている。ウアタラ元首相は、西アフリカ諸国中央銀行の副総裁、IMFのアフリカ部長を歴任した後、1990年に首相に任命された。トップエリートの経済官僚であり、彼の手腕に期待する声も強い。
大統領選挙では、この3つの政党が、3人の大統領候補を立てての戦いをすることになる。中西部のバグボ現大統領(FPI)か、東のベディエ前大統領(PDCI)か、北のウアタラ元首相(RDR)か。コートジボワールの大統領選挙は、三つ巴の三国志の様相である。
ここで大変な時代を、すべて見てきた、と大使は言う。1995年からの勤務であるから、1999年末のクリスマス・クーデタ、2000年の大統領選挙、2002年の国の南北分裂、2004年のフランスとの間の衝突、すべて経験している。そして、今の「危機脱出」プロセスは、2007年春、ブルキナファソのコンパオレ大統領の仲介と主導で動き出したものなのだ。
その一連の出来事を、ブルキナファソ大使として経験してきたわけである。「見てきた」と彼は言うが、ただ傍観者としてではなく、いってみれば当事者の一人として、この大使は関与してきたはずだ。さすがに、政治家の人脈から社会の背景から、何でもよく知っている。こういう大使から、しっかり聞き出せば、深奥部の情報が入手できるに違いない。私のような新参者でも、親切に教えてくれるようなので、これからも親しくつきあう人間関係を作っておこう。信頼できる情報源の確保は、政務の仕事の基本である。
それほどのブルキナファソ大使でも、来る大統領選挙の帰趨については、予想が付かないという。
現職のバグボ大統領は、「コートジボワール人民戦線(FPI)」という党を率いている。中西部の出身で、彼の部族(ベテ族)は、国内では比較的少数派(約15%)である。これに対して、彼に挑戦する大統領候補、ベディエ前大統領が率いる「コートジボワール民主党(PDCI)」は、故ウフエ・ボワニ大統領、引き続くベディエ大統領自身と、独立以来40年にわたり政権を維持してきた。その時代の与党として、全国に強固な選挙母体を築きあげているはずだ。さらに、ベディエ前大統領の出身は東部の部族(バウレ族)で、人口比では多数派(25%強)である。
選挙を行って票数を数えることになると、少数派のFPI(バグボ大統領)は、多数派PDCI(ベディエ前大統領)にひっくり返される可能性がかなりあるのだろう。と思うとそうでもないらしい。つまり8年間政権から離れているうちに、PDCIにだんだん離反者がでているという。バグボ大統領には、何と言っても現職の強みがある。特に資金力があり、また行政・経済の役職に呼び込むことにより、昔の政敵だった人々を、どんどん味方に取り込んでいるという。
このFPIとPDCIの対抗関係に、第三の勢力として北部地域の勢力が絡んでくる。2002年にバグボ政権に対して反乱を起こした軍事勢力が、それ以来北部地域を支配してきた。南北の妥協が成立してからは、政治勢力に衣替えして「新勢力(FN)」となり、ソロ現首相を出して政府に参加している。こうした北部地域の部族や、彼らの中から南部に流入し、経済的に成功して活躍している人々の支持を背景に、ウアタラ元首相が「共和主義者連合(RDR)」という党を率いて、大統領候補として名乗りを上げている。ウアタラ元首相は、西アフリカ諸国中央銀行の副総裁、IMFのアフリカ部長を歴任した後、1990年に首相に任命された。トップエリートの経済官僚であり、彼の手腕に期待する声も強い。
大統領選挙では、この3つの政党が、3人の大統領候補を立てての戦いをすることになる。中西部のバグボ現大統領(FPI)か、東のベディエ前大統領(PDCI)か、北のウアタラ元首相(RDR)か。コートジボワールの大統領選挙は、三つ巴の三国志の様相である。
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