石破首相 続投に重ねて意欲 自民党両院議員懇談会の終了後
参議院選挙の敗北を受けた自民党の両院議員懇談会は、28日午後8時前に終了しました。このあと石破総理大臣は記者団に対し、「果たすべき責任を果たしていきたい」と述べ、重ねて続投に意欲を示しました。
「果たすべき責任を果たしていきたい」重ねて続投に意欲
午後3時半から始まった両院議員懇談会は、予定の2時間を上回り、およそ4時間半行われ、午後8時前に終了しました。
懇談会の終了後、石破総理大臣は、記者団の取材に応じ、「4時間以上にわたり非常に丁寧な議論ができた。ほとんどの方からご発言をいただき、いろいろな意見があった。これをよく踏まえて今後適切に判断したい」と述べました。その上で、記者団から続投の方針に変わりがないか問われたのに対し「ございません。果たすべき責任を果たしていきたい」と述べ、重ねて続投に意欲を示しました。
「日米合意を着実に実行していく」
「関税交渉が合意をみたので着実に実施していかなければならない。アメリカとEU=ヨーロッパ連合も大筋で合意したがそれは日米の合意を一つの基礎としてなされたものだ。日米のみならずこれから先の世界の貿易のあり方について日米合意を着実に実行していくことに私どもの内閣として重い責任を持っていると私からは申し上げた」と述べました。
「森山幹事長に心から感謝」
森山幹事長が選挙の総括が終わり次第、自身の責任のあり方を明らかにする考えを示したことについて「政権発足以来、国会対策や党運営の面で本当に献身的に支えてもらっていることに心から感謝している。森山幹事長の存在があって法案も予算も成立し、国民の生活に対して内閣として責任を果たすことができている」と述べました。
戦後80年のメッセージについて
戦後80年にあたり出したいとしているメッセージについて「80年というのは1つの区切りだ。今までの談話の積み重ねというものも踏まえながら適切に判断をすることが大事だ」と述べました。
「国民世論とわが党の考え 一致することが大事」
みずからの責任について考えを問われ「所属議員の皆様の意見が聴けたわけではない。また、国民世論とわが党の考え方が一致をすることが大事だと思っている。そういうことも総合的に踏まえて適切に判断したい」と述べました。
森山幹事長「両院議員総会開催する方向で協議」
自民党の森山幹事長は両院議員懇談会のあと記者団に対し「両院議員懇談会には236人が出席し64人が発言した。主に、執行部の責任を問う意見、両院議員総会の開催を求める意見、SNSなどの対策強化を求める意見、物価高対策、コメ、関税交渉などの政策全般に関わる意見、党改革や政治改革の推進を求める意見があった。貴重な意見を真摯(しんし)に受けとめ、改めるべき点は改め、国民からの信任が得られるよう党一丸となって取り組んでいきたい」と述べました。
また、「両院議員総会については、あすの役員会で、開催する方向で協議したい」と述べました。その上で、記者団が開催時期や議題について質問したのに対し「総会を開けという意見が非常に多かったので、できるだけ早く開いたほうがよいのではないか。一定数の署名で要求して開ける部分もあるが、役員会で決めれば両院議員総会長に招集をお願いするという手続きもある。議題については『総会を開いてほしい』と言う方々に考えてもらわないといけない」と述べました。
記者団から「『選挙の総括の報告書を取りまとめた上でみずからの責任を明らかにしたい』と発言したが、責任には進退が含まれるのか」と問われたのに対し「そういうことを含むと考えている。党内には幹事長が責任をとれという意見があり、真摯に耳を傾けないといけない」と述べました。
【懇談会終了後の議員らの反応】
中曽根青年局長「いつけじめをつけるかを早く示して」
自民党の中曽根青年局長は記者団に対し「結果責任は必ず誰かが取らなければいけない。組織のトップや執行部がけじめをつけるのは大事だという話をした。石破総理が最初から最後まで真摯に耳を傾けていたのは間違いないし、きょうの声を聞いた上で適切に判断すると言っていた」と述べました。その上で「いつけじめをつけるかを早く示してもらいたい。そうすれば進退の議論は意味が無くなり、次の党改革の話に挙党体制で挑んでいける。われわれが改革の先頭を切っていくという強い覚悟と気持ちでやっていく」と述べました。
西田参議院議員「資格あるのは総裁選やって選ばれた人」
旧安倍派の西田昌司参議院議員は記者団に対し「これから先、衆参両院で少数政党になり、政権の枠組みがどうなるかも含めて大きな判断をしていかなければならず、それをする資格があるのは、フルスペックの総裁選挙をやって新しく選ばれた人だと言った」と述べました。また「石破総理大臣は『国際環境が大変厳しい時代に各国の首脳たちとしっかり話をしていけるのは私しかいないはずだ』という趣旨のことを言っていたが、『あれっ』という感じだった」と述べました。
山田参議院議員「『続投しろ』と言ったのは7、8人」
去年の総裁選挙で高市前経済安全保障担当大臣の推薦人になった旧安倍派の山田宏参議院議員は記者団に対し「発言した64人の中で『続投しろ』と言ったのは7、8人で、『退陣しろ』と言ったのは20数人だった。トップは責任をとるためにいるわけで、トップが責任をとらないと誰も責任をとらなくなってしまう」と述べました。一方、政治とカネの問題が参議院選挙の敗北につながったという見方について「衆議院選挙では影響があったが今回はほとんどそういう声は出ていない。実質賃金が下がっている状況の中、無策の自民党に対して極めて強い審判が下ったという認識だ」と述べました。
鈴木宗男氏「歯を食いしばって頑張るのがトップリーダーの責任」
鈴木宗男氏は記者団に対し「『石破総理は辞めるべきだ』と言う人も『頑張れ』と言う人もいたが、発言した多くの人の意見は『自民党を守っていかなければならず、挙党態勢が大事だ』というもので、最大公約数はそこにあった」と指摘しました。その上で「アメリカとの関税交渉をめぐって石破総理は早期に訪米しトランプ大統領と最後の詰めをした方がいい。私からは『総理が不在ということはあってはならず、厳しくても歯を食いしばって頑張るのがトップリーダーの責任だ』と発言した」と述べました。
青山参議院議員「民意に逆らっての続投は民主主義の破壊」
青山繁晴参議院議員は記者団に対し「選挙で示された民意に逆らって続投するのは民主主義の破壊につながり、すぐに辞職するべきだと石破総理大臣の目を見て申し上げた。石破総理は『政治空白を生まないため』と言うが、民意に逆らう形で留任することがむしろ政治空白を生む」と述べました。その上で「石破総理は最後に『懇談会でどの議員が何を言ったか精査して判断する』と言った。今までは進退を判断するということばもなかったので、そこは一歩前進かもしれない」と述べました。
【自民両院議員懇談会 冒頭で首相は】
両院議員懇談会の冒頭、石破総理大臣は、参議院選挙の結果について「大変厳しい結果となり、多くの議席を失ったことに深く心からおわび申し上げる。なぜ、このような結果になったのかよく考えていきたい」と述べました。
その上で「アメリカとの関税交渉の合意の着実な実行に全力を尽くし万全を期したい。国家、国民に対して決して政治空白を生むことがないように責任を果たしていきたい。投票日の翌日に『赤心奉国』という耳慣れないことばを口にしたが一切の偽りのない、うそのない心で、国家、国民のために尽くすという思いでこれから先、臨んでいきたい」と述べ、続投に理解を求めました。
また、森山幹事長は「国民から厳しい審判をいただき、厳粛に受け止めなければならない。選挙結果を踏まえ『参議院選挙総括委員会』を設置し、選挙結果の分析と課題の洗い出しを早急に行いたい。8月中をメドに報告書をとりまとめたい。まとまった段階で幹事長としてのみずからの責任を明らかにしたい」と述べました。
このあと懇談会は非公開で行われ、関係者によりますと石破総理大臣の続投を支持する意見の一方、執行部に退陣を迫る声や、党の正式な意思決定機関で責任を問うため両院議員総会の開催を求める意見が相次いでいるということです。
【懇談会終了前の反応】
船田元経済企画庁長官「続投してほしいという人 5、6人」
両院議員懇談会を途中で退席した船田・元経済企画庁長官は記者団に対し「全体として石破総理の責任問題を強調する人が多かったが、私を含めて『続投してほしい』という人も5、6人はいた」と述べました。そのうえで「石破総理は野党の一部からテーマごとに合意を取り付け、予算や重要法案を仕上げてきた実績がある。トランプ関税の対策をするのに一番ふさわしい人物であり続投してほしいと申し上げた」と述べました。
藤川参議院議員「石破総理の責任論の話が多数」
藤川政人参議院議員は記者団に対し「石破総理大臣の責任論の話が多く、『責任を取るべきだ』とか『出直すべきだ』、『総裁選挙を行うべきだ』、という意見が出ていた。参議院選挙の検証結果は8月中に出すということだったが『それでは遅いのではないか』という意見も出ていた」と述べました。
御法川衆議院議員「『続投』『辞めるべき』両方の意見」
御法川信英衆議院議員は記者団に対し「私自身は聞いているだけだったが、『続投すべき』『辞めるべき』という両方の意見が出ていた。責任の取り方ということは考える必要があると思う」と述べました。
工藤衆議院議員「何をするにも遅い」
麻生派に所属する工藤彰三衆議院議員は記者団に対し「何をするにも遅く、来月1日に召集される予定の臨時国会までにスピード感をもって対応しなければ、国民に三くだり半を突きつけられてしまう。地方組織にも多大な迷惑がかかりかねない」と述べました。
大岡衆議院議員「法案通せる体制つくることが総理の責任」
大岡敏孝衆議院議員は、記者団に対し「『ただちに辞任することが責任の取り方ではない』と申し上げた。退路を断ってやっていると見えないから国会議員たちが怒っている。秋に臨時国会があるので、期限を決めて必死に、法案を通せる体制をつくることが総理大臣の責任の果たし方だ」と述べました。
鈴木元外務副大臣「けじめをつけていただきたい」
旧茂木派の鈴木貴子元外務副大臣は、記者団に対し「衆議院選挙、東京都議会議員選挙、そして、政権交代の意味合いを帯びた参議院選挙での大敗の責任というものがあり、やはり組織の長をはじめ執行部にはけじめをつけていただきたい」と述べました。
中谷防衛大臣 視察先で「内閣の一員として引き続き職責を全う」
中谷防衛大臣は、視察先の山口県山陽小野田市で記者団に対し「石破総理大臣は両院議員懇談会で『国家、国民に対して決して政治空白を生むことがないよう責任を果たす』という旨を述べられたと承知している。石破内閣の一員として、引き続き職責を全うして総理を支えていくことは当然だ。防衛・安全保障も、党内で混乱するようなことは決して良くない」と述べました。
自民党 両院議員懇談会とは?
自民党の「両院議員懇談会」は、党所属の議員から意見を聴く場で党の意思決定機関ではありません。
一方、「両院議員総会」は自民党の党則上、党大会に次ぐ正式な意思決定機関です。
党の運営や国会活動における、特に重要な事項を審議、決定するとされ、特に緊急を要する時は、総会の決定をもって、党大会の議決に代えることができるとされています。
総会は、毎年1月の通常国会の召集日などに開かれますが、党所属国会議員の3分の1以上からの要求があった場合、7日以内に招集すべきものとされています。
28日時点の党所属議員は、衆参両院の議長を除き308人で、総会を開くべきだとして署名集めを進めている旧茂木派や旧安倍派、それに麻生派などの中堅・若手議員らは、すでに、3分の1にあたる103人以上、署名が集まったとしています。
総会や懇談会の開催をめぐっては麻生政権の末期の2009年に、東京都議会議員選挙での敗北の総括を行うため、中川元幹事長や中堅・若手の有志の議員が総会の開催を要求する署名活動を行いました。
この時には、3分の1以上の署名が集まったとされ、当時、農林水産大臣だった石破総理大臣も署名をしました。
ただ、執行部は、総会ではなく懇談会を開催することを決め、麻生総理大臣が党の結束を呼びかけました。
その後、衆議院は解散されて民主党政権が誕生し、自民党は野党に転落しました。
野党からは
国民 玉木代表「速やかに方針を決めてもらいたい」
国民民主党の玉木代表は記者団に対し「日米の関税交渉を円滑に進めることと、選挙で出た結果に対してどう責任をとるかは別だと思うので、どういう結論が出るのかを見定めたい。このまま進むにせよ、辞めるにせよ、速やかに方針を決めてもらいたい」と述べました。また、記者団から、石破総理大臣が続投した場合の内閣不信任決議案の取り扱いについて問われたのに対し「一義的に提出の権限があるのは立憲民主党なので野田代表の判断を見定めたいが石破政権には厳しく向き合っていきたい」と述べました。
共産 小池書記局長「国民不在の党内抗争」
共産党の小池書記局長は記者会見で「参議院選挙で国民が下した審判は『自民党政治ノー』というものでそれに応えることが必要だ。自民党の中で総理大臣の顔がかわったからといって解決する問題ではまったくなく国民不在の党内抗争としか言いようがない」と述べました。また、内閣不信任決議案の扱いについては「野党第一党である立憲民主党が判断する問題で、それを受けて対応を検討していく」と述べました。
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